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13(シオン視点)
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前世の記憶があろうと、今の私は、あくまでもシオン・アーテルだ。
前世で愛した女性がいようと、その女性を死にいたらしめようと、今の私には何ら関係ないはずだった。
今生で尊厳を踏みにじられた日々は前世で犯した罪の報いだと思おうと所詮報いにはならないという事なのか。
タリアがエレクトラと共に邸に戻って来たと聞いた時は耳を疑った。
毒にしかならない家族から引き離すために、中等部からタリアを学園の寮に入れた。タリアと離れて暮らすのは寂しいしつらかったが、彼女が家族から理不尽な目に遭うよりもずっといい。
タリアが自主的に実家に戻る事はなかった。まして、妹と共になど。
アーテル公爵と夫人が邸にいなかったのは幸いだ。いれば、理不尽な言動でタリアを傷つけるに決まっているからだ。
普段冷静沈着な私だが、この時だけは慌てて双子がいるエントランスホールに向かった。
そこで、見てしまった。
強張った顔で不安そうなタリアの傍らに立つ少女。
双子どころか姉妹とは、とても思えないほどタリアには全く似ていない、けれど、同じくらい美しい少女。
赤みがかった金髪も琥珀色の瞳も白磁の肌も女性美の極致の肢体も、タリアの双子の妹エレクトラと全く同じだ。
けれど、その表情、瞳に宿る輝きが、まるで違う。
ふんわりのほほんとした、しまりのない表情ではなく、こちらが気圧されるほど強い意思と怜悧さが宿る瞳。
この瞳を知っている。
「彼女」独自の瞳。
けれど、そんなはずはない。
なぜなら、「彼女」は死んだ。
俺が殺したのだ。
「――藤子」
「彼女」の名を呟いて、私は、その場でぶっ倒れた。
前世で愛した女性がいようと、その女性を死にいたらしめようと、今の私には何ら関係ないはずだった。
今生で尊厳を踏みにじられた日々は前世で犯した罪の報いだと思おうと所詮報いにはならないという事なのか。
タリアがエレクトラと共に邸に戻って来たと聞いた時は耳を疑った。
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