55 / 86
本編
55 父親としての想い(国王視点)
しおりを挟む
「分かっただろう? 俺が、自分が愛したのが、どんな男か」
生涯誰にも打ち明けるつもりはなかった俺の真実。
聞かされた王妃は、ただただ呆然としていた。
「君には、もう何も残らない。生きている唯一の子供であるアルバートからの愛は得られず、夫への愛もなくなった。それが自分を慕う娘を切り捨てた君の当然の報いだ」
子供を取り替えられた王妃も被害者だとリズは言うだろう。
けれど、王妃にも咎はあるのだ。自分の取り巻きを管理できなかった彼女の王妃としての能力不足故に起こった事だからだ。
だのに、自分が産んだ娘ではなかったというだけで、自分がこの世で最も嫌いな女が産んだ娘というだけで、十六年も自分を母として慕ってくれた娘を切り捨てた。
だから、俺も切り捨てる。
俺の娘を切り捨てる王妃など俺には要らない。
「……どうして、妾の貴方への愛がなくなるなどと思うのですか?」
長い沈黙の後、王妃がぽつりと言った。
「貴方がどなたの御子でも、国王陛下でなくても、妾は貴方を、リチャード・テューダ様を愛しているのです」
王妃の真摯な顔を見れば、彼女が真実そう思って言っているのが分かる。
だからこそ、俺には理解できなかった。
「……俺を愛しているだと? 俺は神に背く行為の結果生まれてきた呪われた人間だ。真実を知れば、誰も俺を愛せるはずがない!」
俺は最後は叫ぶように言った。
「妾は愛しています」
王妃は繰り返した。俺が国王でなくても、俺が呪われた人間でも、愛しているのだと。
俺は哄笑した。
人間、許容範囲を超えると笑うか泣くかだというが、その通りだと思う。
もう笑うしかない。
だって、そうだろう?
「……だったら、なぜ、リズは切り捨てるんだ?」
俺は唐突に笑いをおさめて言った。
「こんな俺の事は愛せるのに――」
俺の真実を知っても愛してくれた感謝など微塵も感じなかった。
むしろ、怒りが倍増した。
誰もが嫌悪して拒絶するのが当然の俺の事は愛せて、なぜ、自分を慕う娘は切り捨てるんだ?
「要らない」
俺は王妃に向かって、はっきりと言った。
「俺の娘を切り捨てるお前など要らない」
俺の倍増する怒気に当てられたのか、震えて身動ぎもできないらしい王妃に、俺は目だけは笑っていない一見優しげな微笑を向けた。
「――消えろ。二度と俺や子供達の前に現われるな」
「陛下。お聞きしてもよろしいでしょうか?」
王妃を追い払った後、「空気に徹していた」妾妃が甘くまろやかな声を発した。
国王が怒りを露にすれば大抵の人間は先程の王妃のように竦むものなのだが、生憎、妾妃は「大抵の人間」などではない。部屋に漂う微妙な沈黙も意に介さず、ごく普通に話しかけてきた。
「何だ?」
「それだけの想いがあるのに、どうして、あの子達に見せないのですか?」
妾妃が聞いてきたのは、これからの王妃の処遇ではなく、あの子達、リズとアルバートについてだった。
俺が意外そうな顔をしたからだろう。妾妃は鈴を転がすような笑い声をあげた。
「わたくしがこんな事を訊くのは、おかしいでしょうか?」
「……ああ。王妃のこれからについてだと思ったからな」
つい先程まで国王と王妃が目の前で会話していたのだ。普通なら国王が「消えろ」と言った王妃について気にするものだろう。……この女を「普通」に当てはめるほうがおかしいのは熟知しているが。
「あの方がどうなろうと、わたくしには興味ありませんわ。なので、あの方の事は陛下にお任せします。わたくしが何かするより陛下からされたほうが、あの方の精神的打撃は大きいだろうし」
最初の子を殺された復讐として王妃の子と自分の子を取り替えた妾妃だが、今は復讐ではなく生きている唯一の子であるリズの幸せだけを願っているのは知っている。
そのリズを切り捨てたのだ。王妃がどうなろうと自業自得だと思っているのだ。
「……分かった」
「それよりも、先程の答えを聞かせてください」
俺が頷くと、妾妃は先程の質問の答えを求めてきた。
「ここで聞いた事、起こった事は、他言無用でしょう? 勿論、あの子達に言ったりなどしませんわ」
他の誰よりも、あの子達にだけは知られたくない俺の気持ちを妾妃は分かっているのだ。
この女は平気で嘘を吐くが、彼女が誰よりも大切に想う娘に関してだけは信じられる。
それに、俺自身も誰かに知ってほしかったのかもしれない。
あの子達には知られたくない俺の父親としての想いを――。
「……お前が子供を取り替えるのを黙認していた俺も共犯だ。お前だけではない。俺も、あの瞬間、あの子達の親ではなくなったんだ」
むしろ、実際に子供を取り替えた妾妃よりも黙認していた俺のほうが卑怯だろう。
「わたくしが勝手にした事です。その事で陛下が負い目を抱く必要はありませんわ」
妾妃は俺を慰めるためではなく真実そう思っているから言っているのだ。彼女には王妃と違って俺に対する恋愛感情など全くない。俺を気に掛ける事などしないのだ。
「それに何より、俺は最終的には、あの子達の父親ではなく国王である事を優先する。そのためなら、あの子達さえ犠牲にする。そんな俺を父親だと思う必要などないだろう」
「あなたがそれほど国王である事に拘るのは、『お父様』を犠牲にして王位に就いたと思っていらっしゃるからですか?」
妾妃は「お父様」という言葉に含みを持たせている。だから、彼女が言っているのは、俺の形式上の父親、前国王ハインリッヒではない。
――妾妃は知っていたのだ。
俺が王妃に出生を語るのを「空気に徹して」聞いていた以前から。
だから、俺は妾妃がいても構わず王妃に語った。
リズメアリは不義の子を産むのに、乳母だったシーモア伯爵の母親を頼った。前シーモア伯爵夫妻の尽力により、リズメアリは自分の死を偽装し俺を産む事ができたのだ。
だから、シーモア伯爵も俺の出生を知っている。
養女にした妾妃に俺の真実を全て語り「命に代えても陛下をお守りしろ」と厳命し、後宮に送ったのだ。
「……思っているじゃない。俺は、あの人を犠牲にしたんだ」
リズに語ったように、俺は王になりたいから兄弟姉妹を皆殺しにしたのではない。
けれど、真実は誰にも明かせない。特にリズやアルバートには絶対に知られたくない。
そうである以上、「王になるために兄弟姉妹を殺したのだ」と思ってもらったほうがいい。
俺は、ただあの人に、リックに生きてほしかったのだ。
だから、リックの命を狙う兄弟姉妹と形式上の父親を排除した。
最後は俺の自殺で締めくくるつもりだったのに、肝心のリックに邪魔された。
リックが最愛の女が亡くなってから心の奥底で彼女の後を追いたいと願っていたのは知っていた。それでも生きていたのは、彼女との間に生まれた我が子がいたからだ。
王になれなければ死ぬ以上、生き残るために兄弟姉妹でも争うのがテューダ王国王家だ。
そんな中に、我が子を独りにしておけなかったのだろう。
誰よりも王に相応しい能力を周囲に示して、弟妹の殺意が自分だけに向くようにしたのだ。我が子を守るために。
最愛の女に続いて我が子まで死んだらリックの心に消えない傷は残るだろうが、それでも、唯一生き残った王子として王となり国を改革してくれるだろうと思ったのだ。それが彼の心の支えになると。
親になった今ならリックの気持ちも分かるのだ。
普通の親なら我が子を犠牲にして王になどなりたいものか。
――悪いな。お前の命と引き換えにして王位に就く気は、私には更々ないんだ。
けれど、俺だって父親を犠牲にして王になどなりたくなかった。
だから、リックが望んだ改革をしない事が俺の唯一の抵抗だ。
無論、俺だって王位を巡って我が子達が争う事など望んでいない。
幸い、あの子達は王位など望まず、それどころか互いに押し付け合おうとした。
今はリズが女王になる決意をした以上、リックが望んだ改革は実現するだろう。リズの望みだ。あのアーサーが叶えないはずがないのだから。
リックが息子に望んだ事を孫娘がしてくれるのだ。
生涯誰にも打ち明けるつもりはなかった俺の真実。
聞かされた王妃は、ただただ呆然としていた。
「君には、もう何も残らない。生きている唯一の子供であるアルバートからの愛は得られず、夫への愛もなくなった。それが自分を慕う娘を切り捨てた君の当然の報いだ」
子供を取り替えられた王妃も被害者だとリズは言うだろう。
けれど、王妃にも咎はあるのだ。自分の取り巻きを管理できなかった彼女の王妃としての能力不足故に起こった事だからだ。
だのに、自分が産んだ娘ではなかったというだけで、自分がこの世で最も嫌いな女が産んだ娘というだけで、十六年も自分を母として慕ってくれた娘を切り捨てた。
だから、俺も切り捨てる。
俺の娘を切り捨てる王妃など俺には要らない。
「……どうして、妾の貴方への愛がなくなるなどと思うのですか?」
長い沈黙の後、王妃がぽつりと言った。
「貴方がどなたの御子でも、国王陛下でなくても、妾は貴方を、リチャード・テューダ様を愛しているのです」
王妃の真摯な顔を見れば、彼女が真実そう思って言っているのが分かる。
だからこそ、俺には理解できなかった。
「……俺を愛しているだと? 俺は神に背く行為の結果生まれてきた呪われた人間だ。真実を知れば、誰も俺を愛せるはずがない!」
俺は最後は叫ぶように言った。
「妾は愛しています」
王妃は繰り返した。俺が国王でなくても、俺が呪われた人間でも、愛しているのだと。
俺は哄笑した。
人間、許容範囲を超えると笑うか泣くかだというが、その通りだと思う。
もう笑うしかない。
だって、そうだろう?
「……だったら、なぜ、リズは切り捨てるんだ?」
俺は唐突に笑いをおさめて言った。
「こんな俺の事は愛せるのに――」
俺の真実を知っても愛してくれた感謝など微塵も感じなかった。
むしろ、怒りが倍増した。
誰もが嫌悪して拒絶するのが当然の俺の事は愛せて、なぜ、自分を慕う娘は切り捨てるんだ?
「要らない」
俺は王妃に向かって、はっきりと言った。
「俺の娘を切り捨てるお前など要らない」
俺の倍増する怒気に当てられたのか、震えて身動ぎもできないらしい王妃に、俺は目だけは笑っていない一見優しげな微笑を向けた。
「――消えろ。二度と俺や子供達の前に現われるな」
「陛下。お聞きしてもよろしいでしょうか?」
王妃を追い払った後、「空気に徹していた」妾妃が甘くまろやかな声を発した。
国王が怒りを露にすれば大抵の人間は先程の王妃のように竦むものなのだが、生憎、妾妃は「大抵の人間」などではない。部屋に漂う微妙な沈黙も意に介さず、ごく普通に話しかけてきた。
「何だ?」
「それだけの想いがあるのに、どうして、あの子達に見せないのですか?」
妾妃が聞いてきたのは、これからの王妃の処遇ではなく、あの子達、リズとアルバートについてだった。
俺が意外そうな顔をしたからだろう。妾妃は鈴を転がすような笑い声をあげた。
「わたくしがこんな事を訊くのは、おかしいでしょうか?」
「……ああ。王妃のこれからについてだと思ったからな」
つい先程まで国王と王妃が目の前で会話していたのだ。普通なら国王が「消えろ」と言った王妃について気にするものだろう。……この女を「普通」に当てはめるほうがおかしいのは熟知しているが。
「あの方がどうなろうと、わたくしには興味ありませんわ。なので、あの方の事は陛下にお任せします。わたくしが何かするより陛下からされたほうが、あの方の精神的打撃は大きいだろうし」
最初の子を殺された復讐として王妃の子と自分の子を取り替えた妾妃だが、今は復讐ではなく生きている唯一の子であるリズの幸せだけを願っているのは知っている。
そのリズを切り捨てたのだ。王妃がどうなろうと自業自得だと思っているのだ。
「……分かった」
「それよりも、先程の答えを聞かせてください」
俺が頷くと、妾妃は先程の質問の答えを求めてきた。
「ここで聞いた事、起こった事は、他言無用でしょう? 勿論、あの子達に言ったりなどしませんわ」
他の誰よりも、あの子達にだけは知られたくない俺の気持ちを妾妃は分かっているのだ。
この女は平気で嘘を吐くが、彼女が誰よりも大切に想う娘に関してだけは信じられる。
それに、俺自身も誰かに知ってほしかったのかもしれない。
あの子達には知られたくない俺の父親としての想いを――。
「……お前が子供を取り替えるのを黙認していた俺も共犯だ。お前だけではない。俺も、あの瞬間、あの子達の親ではなくなったんだ」
むしろ、実際に子供を取り替えた妾妃よりも黙認していた俺のほうが卑怯だろう。
「わたくしが勝手にした事です。その事で陛下が負い目を抱く必要はありませんわ」
妾妃は俺を慰めるためではなく真実そう思っているから言っているのだ。彼女には王妃と違って俺に対する恋愛感情など全くない。俺を気に掛ける事などしないのだ。
「それに何より、俺は最終的には、あの子達の父親ではなく国王である事を優先する。そのためなら、あの子達さえ犠牲にする。そんな俺を父親だと思う必要などないだろう」
「あなたがそれほど国王である事に拘るのは、『お父様』を犠牲にして王位に就いたと思っていらっしゃるからですか?」
妾妃は「お父様」という言葉に含みを持たせている。だから、彼女が言っているのは、俺の形式上の父親、前国王ハインリッヒではない。
――妾妃は知っていたのだ。
俺が王妃に出生を語るのを「空気に徹して」聞いていた以前から。
だから、俺は妾妃がいても構わず王妃に語った。
リズメアリは不義の子を産むのに、乳母だったシーモア伯爵の母親を頼った。前シーモア伯爵夫妻の尽力により、リズメアリは自分の死を偽装し俺を産む事ができたのだ。
だから、シーモア伯爵も俺の出生を知っている。
養女にした妾妃に俺の真実を全て語り「命に代えても陛下をお守りしろ」と厳命し、後宮に送ったのだ。
「……思っているじゃない。俺は、あの人を犠牲にしたんだ」
リズに語ったように、俺は王になりたいから兄弟姉妹を皆殺しにしたのではない。
けれど、真実は誰にも明かせない。特にリズやアルバートには絶対に知られたくない。
そうである以上、「王になるために兄弟姉妹を殺したのだ」と思ってもらったほうがいい。
俺は、ただあの人に、リックに生きてほしかったのだ。
だから、リックの命を狙う兄弟姉妹と形式上の父親を排除した。
最後は俺の自殺で締めくくるつもりだったのに、肝心のリックに邪魔された。
リックが最愛の女が亡くなってから心の奥底で彼女の後を追いたいと願っていたのは知っていた。それでも生きていたのは、彼女との間に生まれた我が子がいたからだ。
王になれなければ死ぬ以上、生き残るために兄弟姉妹でも争うのがテューダ王国王家だ。
そんな中に、我が子を独りにしておけなかったのだろう。
誰よりも王に相応しい能力を周囲に示して、弟妹の殺意が自分だけに向くようにしたのだ。我が子を守るために。
最愛の女に続いて我が子まで死んだらリックの心に消えない傷は残るだろうが、それでも、唯一生き残った王子として王となり国を改革してくれるだろうと思ったのだ。それが彼の心の支えになると。
親になった今ならリックの気持ちも分かるのだ。
普通の親なら我が子を犠牲にして王になどなりたいものか。
――悪いな。お前の命と引き換えにして王位に就く気は、私には更々ないんだ。
けれど、俺だって父親を犠牲にして王になどなりたくなかった。
だから、リックが望んだ改革をしない事が俺の唯一の抵抗だ。
無論、俺だって王位を巡って我が子達が争う事など望んでいない。
幸い、あの子達は王位など望まず、それどころか互いに押し付け合おうとした。
今はリズが女王になる決意をした以上、リックが望んだ改革は実現するだろう。リズの望みだ。あのアーサーが叶えないはずがないのだから。
リックが息子に望んだ事を孫娘がしてくれるのだ。
0
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる