102 / 113
第二部 祐
102 私が死んでも、どうか悲しまないで
しおりを挟む
アンディはいなくなり、部屋には私とロザリーが向かい合ってソファに座っている。
侍女であるロザリーはソファに座る事を最初渋ったが私が「話したい事があるから」と言って強引に座らせた。
ロザリーが私の慰めになるようにココアを持ってきてくれたのは分かっているが、今は申し訳ないが飲む気にはなれない。
目の前に置かれたココアには目もくれず私は話し始めた。
「……私は今でも自分をジョゼフィーヌだと思えないの」
ジョセフと祐を同一だと思えないように――。
「お嬢様?」
ロザリーだけは私がブルノンヴィル辺境伯を襲爵しても変わらず「お嬢様」と呼んでいる。
「あなたが言った事は間違ってはいない。魂が同じなら、今生の記憶を持っているのなら、私もまたジョゼフィーヌだわ。……頭では分かっている。でも、心が納得できないの」
自分をジョゼフィーヌ・ブルノンヴィルだと思えない。
けれど、だからといって、「今の私」は《ローズ》こと相原祥子でもないのだ。
相原祥子の肉体は死に、異世界のジョゼフィーヌ・ブルノンヴィルとして生まれ変わったのだから。
ジョゼフィーヌ・ブルノンヴィルではない。
《ローズ》こと相原祥子でもない。
「今の私」は、前世の記憶と人格と今生の記憶と肉体を持って生きる人間なのだ。
「それでも、私にとっては今ここにいらっしゃる『貴女』もまた私の大切なお嬢様です」
ロザリーには、なぜ私がこんな事を言い始めたのか分からないだろうに、以前と同じ言葉を返してきた。
「……それでも、私にとって、あなたは『母親』ではないの」
私のこの科白も以前と同じだ。
「確かに、あなたが産んだのは私が今生きているこの体だわ。けれど、本来この体で生きる人格は、あなたの娘は、今ここにいる『私』ではなく……三歳で消えたジョゼフィーヌなのよ」
「私」もまたジョゼフィーヌだからと、ロザリーは「私」を受け入れた。
けれど、今となっては、ジョセフのように娘の体を乗っ取ったと責められたほうがよかった。
そうすれば……祐と戦って私が死んでもロザリーは悲しまない。
自分が産んだ娘の人格が「私」になっても変わらず気遣ってくれるロザリーに好意を持っている。だからといって、彼女を「今生の母親」だと思っている訳ではない。
だから、こんな薄情な私が祐に殺されても、どうか悲しまないでほしい。
「母」とは思えないけれど、だからといって、私を愛してくれる彼女に悲しんでほしくないのだ。
「……貴女が突然そんな事を仰るのは、肉体こそジョセフですが、人格がジョセフではなくなったあの方が現われたからですか?」
ロザリーの問いかけに私は黙っていたが、この沈黙は肯定と同じだと彼女も気づいているだろう。
「……あの方は、貴女やウジェーヌ様やアンディ様と前世で係りがあるのですね?」
ロザリーでなくても、あの場での会話を聞けば推測できるだろう。
「……ええ、前世で私が殺した男よ。そして――」
息を呑むロザリーに私は更なる爆弾発言をした。
「――私が唯一恋した男でもあるわ」
言わなくていい事なのは分かっていたが、私はあえて口にした。
私は前世で大勢の人間を殺した。私にとって祐は私が殺してきた人間達の一人というだけではないのだ。
「……どうして」
と言いかけてロザリーは口を噤んだ。おそらく「どうして唯一恋した男を殺したんですか?」と訊きたかったのだろう。けれど、いくら今生の母親とはいえ前世では何の係わりもない自分が踏み込むべきではないと口を噤んだのだ。
「前世の私の両親を彼が殺したからよ」
隠す事でもないので私はロザリーの疑問に答えた。
「……その復讐のために?」
「いいえ。私のためよ」
両親を殺したのが祐でなければ、そもそも復讐などしなかった。
復讐に人生を捧げる事ほど虚しいものははない。復讐を果たしても両親は生き返らないのだから。
両親だって死ぬ間際に言ったのだ。
「私達の復讐などしなくていい。自分のためだけに生きろ」と。
両親を殺したのが祐でなければ、その言葉に従った。
両親に言われたからではなく自分の人生を復讐になど捧げたくなかったからだ。
だから、「両親の復讐のため」とは絶対に言わない。
両親を殺したのが祐でなければ何もしなかった薄情な娘が両親を復讐の言い訳に遣うなど自分が許せないからだ。
「目の前で両親を殺した祐に一目で恋をした。そんな自分が許せなかったから復讐に人生を捧げたの」
そして、《アイスドール》、前世のアンディを犠牲にして祐を殺した。
それで全てが終わったはずだったのに――。
「……転生者である以上、異世界で新しい肉体に生まれ変わっても、前世の因縁からは逃れられないのね」
私はほろ苦く微笑んだ。
いや、厄介なのは前世の因縁ではなく祐の性だろう。
祐の今の肉体はジョセフであり、その記憶もあるのに、彼が「彼」である以上、「殺し合いでしか生きる実感がない」のだ。
そして、そんな自分の性を祐自身が疎ましく思っていたのに、私やウジェーヌやアレクシスが目覚めさせてしまった。
「目覚めたくなかった『彼』を目覚めさせてしまった責任は、とらなければならない」
私はロザリーを真っ直ぐ見つめて言った。
「だから、彼の望む形で決着をつける。そして、それは殺し合い以外ではありえないの」
「……まさか貴女は」
ロザリーには私が言わんとする事が理解できたようだ。前世の私に酷似した顔を真っ青にした彼女に私は微笑んだ。
「私が死んでも、どうか悲しまないで。私は『あなたのジョゼフィーヌ』ではないのだから」
「いいえ! 貴女が何と言おうと『貴女』もまた『私のお嬢様』です! だから、いくら貴女自身が望んでも貴女の死を許容するなど私にはできない!」
必死に言い募るロザリーとは対照的に私は冷静に切り返した。
「私だって最初から死ぬつもりで彼に挑むつもりはないわ。今生は天寿を全うしたいもの」
「だったら」
「『彼』との殺し合いなどやめてください」と言いかけたのだろうロザリーの言葉を私は決然と遮った。
「結果的に死ぬのだとしても、これは私がやらなければいけない事だから」
前世の因縁。
今生で目覚めたくなかった祐を目覚めさせてしまった責任。
そして――。
「――今生で『彼』の娘として生まれてしまった宿命だから」
あの祐を野放しには絶対にできない。
私が死ぬ事で悲しむ人達がいると分かっていても。
これは、私がやらなければいけない事だ。
侍女であるロザリーはソファに座る事を最初渋ったが私が「話したい事があるから」と言って強引に座らせた。
ロザリーが私の慰めになるようにココアを持ってきてくれたのは分かっているが、今は申し訳ないが飲む気にはなれない。
目の前に置かれたココアには目もくれず私は話し始めた。
「……私は今でも自分をジョゼフィーヌだと思えないの」
ジョセフと祐を同一だと思えないように――。
「お嬢様?」
ロザリーだけは私がブルノンヴィル辺境伯を襲爵しても変わらず「お嬢様」と呼んでいる。
「あなたが言った事は間違ってはいない。魂が同じなら、今生の記憶を持っているのなら、私もまたジョゼフィーヌだわ。……頭では分かっている。でも、心が納得できないの」
自分をジョゼフィーヌ・ブルノンヴィルだと思えない。
けれど、だからといって、「今の私」は《ローズ》こと相原祥子でもないのだ。
相原祥子の肉体は死に、異世界のジョゼフィーヌ・ブルノンヴィルとして生まれ変わったのだから。
ジョゼフィーヌ・ブルノンヴィルではない。
《ローズ》こと相原祥子でもない。
「今の私」は、前世の記憶と人格と今生の記憶と肉体を持って生きる人間なのだ。
「それでも、私にとっては今ここにいらっしゃる『貴女』もまた私の大切なお嬢様です」
ロザリーには、なぜ私がこんな事を言い始めたのか分からないだろうに、以前と同じ言葉を返してきた。
「……それでも、私にとって、あなたは『母親』ではないの」
私のこの科白も以前と同じだ。
「確かに、あなたが産んだのは私が今生きているこの体だわ。けれど、本来この体で生きる人格は、あなたの娘は、今ここにいる『私』ではなく……三歳で消えたジョゼフィーヌなのよ」
「私」もまたジョゼフィーヌだからと、ロザリーは「私」を受け入れた。
けれど、今となっては、ジョセフのように娘の体を乗っ取ったと責められたほうがよかった。
そうすれば……祐と戦って私が死んでもロザリーは悲しまない。
自分が産んだ娘の人格が「私」になっても変わらず気遣ってくれるロザリーに好意を持っている。だからといって、彼女を「今生の母親」だと思っている訳ではない。
だから、こんな薄情な私が祐に殺されても、どうか悲しまないでほしい。
「母」とは思えないけれど、だからといって、私を愛してくれる彼女に悲しんでほしくないのだ。
「……貴女が突然そんな事を仰るのは、肉体こそジョセフですが、人格がジョセフではなくなったあの方が現われたからですか?」
ロザリーの問いかけに私は黙っていたが、この沈黙は肯定と同じだと彼女も気づいているだろう。
「……あの方は、貴女やウジェーヌ様やアンディ様と前世で係りがあるのですね?」
ロザリーでなくても、あの場での会話を聞けば推測できるだろう。
「……ええ、前世で私が殺した男よ。そして――」
息を呑むロザリーに私は更なる爆弾発言をした。
「――私が唯一恋した男でもあるわ」
言わなくていい事なのは分かっていたが、私はあえて口にした。
私は前世で大勢の人間を殺した。私にとって祐は私が殺してきた人間達の一人というだけではないのだ。
「……どうして」
と言いかけてロザリーは口を噤んだ。おそらく「どうして唯一恋した男を殺したんですか?」と訊きたかったのだろう。けれど、いくら今生の母親とはいえ前世では何の係わりもない自分が踏み込むべきではないと口を噤んだのだ。
「前世の私の両親を彼が殺したからよ」
隠す事でもないので私はロザリーの疑問に答えた。
「……その復讐のために?」
「いいえ。私のためよ」
両親を殺したのが祐でなければ、そもそも復讐などしなかった。
復讐に人生を捧げる事ほど虚しいものははない。復讐を果たしても両親は生き返らないのだから。
両親だって死ぬ間際に言ったのだ。
「私達の復讐などしなくていい。自分のためだけに生きろ」と。
両親を殺したのが祐でなければ、その言葉に従った。
両親に言われたからではなく自分の人生を復讐になど捧げたくなかったからだ。
だから、「両親の復讐のため」とは絶対に言わない。
両親を殺したのが祐でなければ何もしなかった薄情な娘が両親を復讐の言い訳に遣うなど自分が許せないからだ。
「目の前で両親を殺した祐に一目で恋をした。そんな自分が許せなかったから復讐に人生を捧げたの」
そして、《アイスドール》、前世のアンディを犠牲にして祐を殺した。
それで全てが終わったはずだったのに――。
「……転生者である以上、異世界で新しい肉体に生まれ変わっても、前世の因縁からは逃れられないのね」
私はほろ苦く微笑んだ。
いや、厄介なのは前世の因縁ではなく祐の性だろう。
祐の今の肉体はジョセフであり、その記憶もあるのに、彼が「彼」である以上、「殺し合いでしか生きる実感がない」のだ。
そして、そんな自分の性を祐自身が疎ましく思っていたのに、私やウジェーヌやアレクシスが目覚めさせてしまった。
「目覚めたくなかった『彼』を目覚めさせてしまった責任は、とらなければならない」
私はロザリーを真っ直ぐ見つめて言った。
「だから、彼の望む形で決着をつける。そして、それは殺し合い以外ではありえないの」
「……まさか貴女は」
ロザリーには私が言わんとする事が理解できたようだ。前世の私に酷似した顔を真っ青にした彼女に私は微笑んだ。
「私が死んでも、どうか悲しまないで。私は『あなたのジョゼフィーヌ』ではないのだから」
「いいえ! 貴女が何と言おうと『貴女』もまた『私のお嬢様』です! だから、いくら貴女自身が望んでも貴女の死を許容するなど私にはできない!」
必死に言い募るロザリーとは対照的に私は冷静に切り返した。
「私だって最初から死ぬつもりで彼に挑むつもりはないわ。今生は天寿を全うしたいもの」
「だったら」
「『彼』との殺し合いなどやめてください」と言いかけたのだろうロザリーの言葉を私は決然と遮った。
「結果的に死ぬのだとしても、これは私がやらなければいけない事だから」
前世の因縁。
今生で目覚めたくなかった祐を目覚めさせてしまった責任。
そして――。
「――今生で『彼』の娘として生まれてしまった宿命だから」
あの祐を野放しには絶対にできない。
私が死ぬ事で悲しむ人達がいると分かっていても。
これは、私がやらなければいけない事だ。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
婚約者の妹が結婚式に乗り込んで来たのですが〜どうやら、私の婚約者は妹と浮気していたようです〜
あーもんど
恋愛
結婚式の途中……誓いのキスをする直前で、見知らぬ女性が会場に乗り込んできた。
そして、その女性は『そこの芋女!さっさと“お兄様”から、離れなさい!ブスのくせにお兄様と結婚しようだなんて、図々しいにも程があるわ!』と私を罵り、
『それに私達は体の相性も抜群なんだから!』とまさかの浮気を暴露!
そして、結婚式は中止。婚約ももちろん破談。
────婚約者様、お覚悟よろしいですね?
※本作はメモの中に眠っていた作品をリメイクしたものです。クオリティは高くありません。
※第二章から人が死ぬ描写がありますので閲覧注意です。
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
処刑された人質王女は、自分を殺した国に転生して家族に溺愛される
葵 すみれ
恋愛
人質として嫁がされ、故国が裏切ったことによって処刑された王女ニーナ。
彼女は転生して、今は国王となった、かつての婚約者コーネリアスの娘ロゼッタとなる。
ところが、ロゼッタは側妃の娘で、母は父に相手にされていない。
父の気を引くこともできない役立たずと、ロゼッタは実の母に虐待されている。
あるとき、母から解放されるものの、前世で冷たかったコーネリアスが父なのだ。
この先もずっと自分は愛されないのだと絶望するロゼッタだったが、何故か父も腹違いの兄も溺愛してくる。
さらには正妃からも可愛がられ、やがて前世の真実を知ることになる。
そしてロゼッタは、自分が家族の架け橋となることを決意して──。
愛を求めた少女が愛を得て、やがて愛することを知る物語。
※小説家になろうにも掲載しています
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました
みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。
日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。
引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。
そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。
香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……
【完結】野垂れ死ねと言われ家を追い出されましたが幸せです
kana
恋愛
伯爵令嬢のフローラは10歳の時に母を亡くした。
悲しむ間もなく父親が連れてきたのは後妻と義姉のエリザベスだった。
その日から虐げられ続けていたフローラは12歳で父親から野垂れ死ねと言われ邸から追い出されてしまう。
さらに死亡届まで出されて⋯⋯
邸を追い出されたフローラには会ったこともない母方の叔父だけだった。
快く受け入れてくれた叔父。
その叔父が連れてきた人が⋯⋯
※毎度のことながら設定はゆるゆるのご都合主義です。
※誤字脱字が多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる