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第二部 異世界転生

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 三歳間近、話せるようになってからディウエスに問い詰められた。

 王妃とフェブルウスが「私」を見て「美音」と呟いた事を疑問に思ったディウエスは、赤ん坊の私の前で二人を問い詰め、結果、今生の私が前世の妻だと知ったのだ。

 その話に関連して、今生の双子の兄フェブルウスが、前世で自分が殺した義父だと知り驚愕していた。

 そして、なぜ、フェブルウスが自分の妻を寝取り子まで産ませ、自分の子の形式上の父親にした理由も、ようやく分かったようだ。

 今生の兄にも妻にも興味なかったディウエスは、兄と妻が浮気しできてようと、生まれた子の形式上の父親にされようと気にしなかった。だから、兄に自分の妻を寝取った理由を訊く事もしなかったし、妻を責める事もしなかった。心底どうでもよかったからだ。

 それを聞くと、フェブルウスの「嫌がらせ」は、あまり効果がなかったようだ。今までは。

 けれど、フェブルウスの「正体」を知った今は、それなりにショックを受けているようだから、彼の「嫌がらせ」も効果が出てきたと言っていいのだろう。

「……本当に、美音なのか?」

 お祖母様とフェブルウスが嘘を吐く理由がないと分かっていても、ディウエスは私本人の口から聞きたいのだろう。だから、こうして私が話せるようになってから問い詰めに来たのだ。

「ええ。前世のあなたの妻で、あなたを殺した豊柴美音ですよ」

 私は、にっこり笑って付け足した。



 ディウエスは、げんなりした顔になった。超絶美形も台無しだ。

「……やめろ。『お父様』と呼ばれたくない」

「形式上は、私の父親ですもの。そう呼ばないと不審に思われるわ」

「……では、二人きりの時だけでいいから『お父様』ではなく名前で呼んでくれ」

「そこまで言うなら」

 ディウエスの要望を頑なに拒絶する理由もないので私は頷いた。

 前世の私を殺した男だが別に恨んではいない。そもそも、その前に(平行世界パラレルワールドではと言うべきか)私は彼を殺したのだ。私が彼に殺されたのは、その報いを受けただけだと思っているので。

 この世界に転生し、赤ん坊から幼児になって約三年、ろくに動けない身でも中身は成人した女なので人の会話を理解し思考はできる。逆に、それらしかできなかったとも言えるが。

 だから、分かった。

 ディウエスには前世の私に殺された記憶はあっても、自分が私を殺した記憶がない。

 フェブルウスも同じで、前世のディウエス、娘婿に殺された記憶はあるが、目の前で娘婿がわたしを殺した記憶がないのだ。

 二人にとっては、美音わたしがこの世界から消え、自分達の「娘」として転生して戻ってきたという認識しかないようだ。





 




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