異能力正義社

アノンドロフ

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桐島凧

01

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「──時間が余ったな。よし、席替えするぞ!」
「やったー!」
 ……何故席替え一つでこんなに盛り上がってるんだ? おかげで目が覚めたじゃないか。
 俺は今の席(教室一番後ろの隅)が気に入ってんだ。席替えしたくねェよ。
 まぁ、そんなことを言えば一番前にされるのは目に見えているので、仕方なくあみだくじに自分の名前を書いて、前の席の奴にまわした。
 それが、十分前。
 そして、現在。席替え終了後。
 ……見事に一番前を引き当ててしまった。しかも、教卓の前。
「……まじかよ」
 もう一回寝て、起きたら教室の隅の席だった、なんてことはないよな……?
 よし、寝よう。
 
 Zzz……。

「──君、桐島君!」
 ──誰かが、俺の名を呼んでいる。少しだけ目を開けて声のする方を見てみると、隣の席の女子が、頭をペチペチ叩いてきた。地味に痛い。
 っていうか、誰だこいつ。ま、いっか。寝よ。
「桐島君、起きてるよね? 今英語で、ペアで音読練習してるんだけど、やろーよー」
「いやだ、お前一人でやれ」
 腕の中に顔を埋め、寝る体勢に入る。これで、大抵の奴が諦める。
 しかし。
「無理だよ。一人じゃできないし。それに、二人でやるから意味があるんでしょ? あと、このあとはゲームするんだよ? やろーよー」
 大人しく諦めてくれなかった。ペチペチ頭を叩き続けている。
 ペチペチペチペチ……。
「あ"ーもう分かった分かったから頭叩くのと耳元でギャンギャン言うのをやめろ」
 耐えきれなくなってそう言うと、そいつは嬉しそうに笑った。
 入学してから一度しか開いたことのない英語の教科書をめくりながら、そいつの名札をそっと見る。
 日向小春、と書かれていた。
 ◇◇◇◇
 その次の授業は、数学だった。
 いつものように寝ていると、また日向に起こされた。
「桐島君桐島君」
「……なんだ?」
「この問題、分かんないんだけど……」
 めんどくせェ。
 ってか、どうして授業聞いてた奴が授業聞いてない俺に問題を訊くんだ。
 しかし……ここで断ったらまたさっきみたいなペチペチ攻撃が……。
「──しゃァねェな、どこだ見せろ」
「ここ……」
 解き方を教えてやっていると、真横を通っていった先生がとんでもなく驚いた顔で俺を見た。
 ……冷水、かけてやりてェ……!
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