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一週間耐久生活
一日目
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「赤川さん、凄い大きい家持ってたんですね……」
二階建てだが、一般的な家よりも明らかに部屋の数が多そうなその建物を見て、伊川隼人は感嘆の息を漏らした。
今日から、隼人を含めた異能力正義社の男性社員たちが住むのは、この家である。
話は二日前に遡る。
いきなり社長室に呼び出された男性社員たちにむかって、社長の赤川頼朝は、こう言ったのだ。
「君たち、一週間共同生活したまえ」
最初は声をあらげた彼らだったが、社長の命令である。結局逆らうことができず、彼らは赤川が用意した建物で過ごすことになってしまった。
荷物を建物の中に運び込み、息をついたのもつかの間。
「今日から女子がいないだと……?」
「返せ、俺らのオアシス……!」
テレビが置かれた部屋の隅から、じめじめした空気が漂ってきた。柊カイトと、真田正八である。
「あの二人、またあんなことを……」
柊と真田は、毎日こんな感じだ。呆れている隼人のそばを誰かが通りすぎる。
「お二人さん、これでもやってて」
いつの間にか、相田康介が二人の後ろに立っていた。柊は、ほとんど力の入っていない右腕を持ち上げ、相田から何かを受けとる。
それは、ゲーム機だった。画面にはアイドルの少女たちが写っており、キラキラしたアイドルソングが流れている。
目に輝きが戻ってくる柊と真田。しかし、彼らとは反対に、相田はひどく落ち込んだ顔をしている。
「相田さん……?」
心配そうな隼人の声に反応を見せずに、相田は壁の方へ向かうと、崩れ落ちるように座りこみ、ドンドン壁を叩き出した。
「頼ちゃんいない頼ちゃんいない頼ちゃんイナイ頼チャアアン‼」
相田康介。彼は、赤川頼朝から半径50メートル以上離れると、発狂する。
あまり見てはいけないものを見てしまった隼人は、まだ比較的明るい声のする方へ目を向けた。
そこには、谷川純一がいた。
「はあ、良かったー。生きてたー」
天使の笑顔でビンを開けていく純一。それらの中には、子グモ、ムカデ、ウジ虫、ゴキブリ───が、ぎっしりとつまっている。
「あ、ダメだこりゃ、まともな人いねーわ」
こんな人らと一週間はきついわ。隼人は頭を抱えた。
そして、彼らを見ることで、極力視界に入れないようにしていた荷物の山を見て、ため息をつく。
「あのー、誰か荷物の片付け手伝ってくれませんか?」
隼人の呼び掛けに、答えるものはいない。
「よっしゃきたー! フルコンボー!」
「お前って、ほんとこーゆーのうまいよなー」
「頼ちゃん頼ちゃん頼ちゃん……そうだ、電話しよう」
「このあたり、幼虫が食べそうなものあるかなー?」
「あのー、聞いてます?」
隼人の声は、もちろん誰にも届いていない。
「プククク……ヘッタクソ」
「うそだろ……一つもかすらなかった……」
「……五回もかけたのに、繋がらない……」
「明日、建物のうらの山に登ってみよーかなー」
「いい加減僕の話を聞けよ‼」
隼人はおもいっきり壁を叩いて、大きな音を出した。
隼人に集まった皆の目は、「やらかした」と言っているようだ。
「大体、君ら全員順番が逆なんだよ。荷物を片付けろ。僕一人で片付けさせる気か?」
隼人の口調が変わっている。ガチギレのサインだ。
「僕は知らないからな! もうどーなっても知らないからな!」
隼人はそう言って、近くの部屋に入った。
バタンと閉めて、カギをかける音が響いた。
「……えーと、どうする?」
「どーせそのうち出てくるだろ。ほっとけほっとけ」
「でも、あの人引きこもったの、トイレだよ?」
ピキッと空気が凍りついた。
トイレ、それは生活上必ず必要となるもの。それが無くなると、今後の生活に支障がきたす。
「隼人ごめんマジでごめん‼」
「なんでもやるから許してください!」
全力で謝る真田と相田。しかし、ドアはかたく閉ざされている。
「まーまー、みんな落ち着いてよー」
純一はそう言いながら、ドアの前に立った。
「隼人さん、あれ持ってきたよー」
「……本当ですか?」
隼人は、少しだけドアを開けた。
「ホントだよー。あとでわたすから、はやく出てきてよー」
隼人は、ドアから出てきた。
謝っている柊たちに聞こえないように、相田はこっそり純一に訊いてみた。
「君、何で隼人君を釣ったんだい?」
純一は、黒い笑みを浮かべた。
「それでは、役割分担を決めましょう」
荷物を片付け終わったあと、リビングのテーブルに全員が集まっていた。隼人は、ルーズリーフを一枚テーブルに置いて、シャープペンを二、三回ノックする。
いつの間にか、この場は隼人が仕切るようになっている。
「えっと、掃除は各自でするとして……分担しないといけないのは、料理と買い出しと洗濯と……風呂掃除? ですかね」
几帳面に定規を使って表を描き、そこに仕事内容を書き込んでいく。
「ここには五人いるんで、洗濯を二人でするとして……じゃんけんで勝った人から順に好きなの選びますか?」
特にそれで困るようなこともなかったので、彼らはじゃんけんをして順に選んでいった。
隼人が料理。相田が買い出し。純一が風呂掃除で、柊と真田が洗濯になった。
「そうだ、もうひとつ決めておきたいことが」
隼人は新しいルーズリーフを取り出す。
「これから一週間ともに過ごすんで、一人一つずつ禁止するものを決めましょう。さっきみたいに好き勝手されても困りますし」
隼人は、そう言ってにこりと笑う。純一の悪魔の微笑みとはまた違う、人に恐怖を感じさせるような笑みだ。
隼人はその表情のまま、まず柊と真田を見た。
「二人は、女性がいないと言ってわめくのなしです」
隼人の威圧感に負け、二人は軽くうなずく。
「相田さんは、赤川さんがいないってピーピー騒ぐのなしです」
「それはちょっと勘弁してくれよ……」
「なしです」
「はい」
大きいため息とともに机に突っ伏す相田。
「純一くんは……えーと」
「虫ならちゃんと皆が見ないようにしておくよ~」
「それならいっか」
隼人は、今言ったことをルーズリーフに書き込んで、シャープペンの芯を戻した。
「あと決めることはないですよね。皆さん一週間頑張りましょう」
「いや、ちょっと待てよ!」
立ち上がろうとする隼人を、右手で制する真田。隼人は不思議そうな顔で真田を見た。
「真田さん? 何かありましたか?」
「何かありましたかじゃなくて。お前、まだ自分のを決めてないだろ」
「僕も決めないといけませんか?」
「そりゃそうだろ。俺らにはあんのに、お前だけないのは不平等すぎる」
「……それじゃあ、皆さんが決めてください」
隼人がそういったとたん、待ってましたと言わんばかりに柊が右手を高く挙げる。
「あんたは、キレないことだな!」
「待って、それってあなたたちのせいじゃないですか」
「やーい怒ってやんの~!」
「小学生か!」
はやし立てながら逃げる柊を、追いかける隼人。二人が部屋を出ていったのを見て、残った彼らは大きくため息をついた。
「とりあえず、隼人君の刺激になるようなことだけはいわないっと。これが一番だね」
この中では年長者の相田が、呆れながらそう呟いた。
隣の部屋から大きなものを落としたような音がする。彼らは、追加のため息を用意した。
二階建てだが、一般的な家よりも明らかに部屋の数が多そうなその建物を見て、伊川隼人は感嘆の息を漏らした。
今日から、隼人を含めた異能力正義社の男性社員たちが住むのは、この家である。
話は二日前に遡る。
いきなり社長室に呼び出された男性社員たちにむかって、社長の赤川頼朝は、こう言ったのだ。
「君たち、一週間共同生活したまえ」
最初は声をあらげた彼らだったが、社長の命令である。結局逆らうことができず、彼らは赤川が用意した建物で過ごすことになってしまった。
荷物を建物の中に運び込み、息をついたのもつかの間。
「今日から女子がいないだと……?」
「返せ、俺らのオアシス……!」
テレビが置かれた部屋の隅から、じめじめした空気が漂ってきた。柊カイトと、真田正八である。
「あの二人、またあんなことを……」
柊と真田は、毎日こんな感じだ。呆れている隼人のそばを誰かが通りすぎる。
「お二人さん、これでもやってて」
いつの間にか、相田康介が二人の後ろに立っていた。柊は、ほとんど力の入っていない右腕を持ち上げ、相田から何かを受けとる。
それは、ゲーム機だった。画面にはアイドルの少女たちが写っており、キラキラしたアイドルソングが流れている。
目に輝きが戻ってくる柊と真田。しかし、彼らとは反対に、相田はひどく落ち込んだ顔をしている。
「相田さん……?」
心配そうな隼人の声に反応を見せずに、相田は壁の方へ向かうと、崩れ落ちるように座りこみ、ドンドン壁を叩き出した。
「頼ちゃんいない頼ちゃんいない頼ちゃんイナイ頼チャアアン‼」
相田康介。彼は、赤川頼朝から半径50メートル以上離れると、発狂する。
あまり見てはいけないものを見てしまった隼人は、まだ比較的明るい声のする方へ目を向けた。
そこには、谷川純一がいた。
「はあ、良かったー。生きてたー」
天使の笑顔でビンを開けていく純一。それらの中には、子グモ、ムカデ、ウジ虫、ゴキブリ───が、ぎっしりとつまっている。
「あ、ダメだこりゃ、まともな人いねーわ」
こんな人らと一週間はきついわ。隼人は頭を抱えた。
そして、彼らを見ることで、極力視界に入れないようにしていた荷物の山を見て、ため息をつく。
「あのー、誰か荷物の片付け手伝ってくれませんか?」
隼人の呼び掛けに、答えるものはいない。
「よっしゃきたー! フルコンボー!」
「お前って、ほんとこーゆーのうまいよなー」
「頼ちゃん頼ちゃん頼ちゃん……そうだ、電話しよう」
「このあたり、幼虫が食べそうなものあるかなー?」
「あのー、聞いてます?」
隼人の声は、もちろん誰にも届いていない。
「プククク……ヘッタクソ」
「うそだろ……一つもかすらなかった……」
「……五回もかけたのに、繋がらない……」
「明日、建物のうらの山に登ってみよーかなー」
「いい加減僕の話を聞けよ‼」
隼人はおもいっきり壁を叩いて、大きな音を出した。
隼人に集まった皆の目は、「やらかした」と言っているようだ。
「大体、君ら全員順番が逆なんだよ。荷物を片付けろ。僕一人で片付けさせる気か?」
隼人の口調が変わっている。ガチギレのサインだ。
「僕は知らないからな! もうどーなっても知らないからな!」
隼人はそう言って、近くの部屋に入った。
バタンと閉めて、カギをかける音が響いた。
「……えーと、どうする?」
「どーせそのうち出てくるだろ。ほっとけほっとけ」
「でも、あの人引きこもったの、トイレだよ?」
ピキッと空気が凍りついた。
トイレ、それは生活上必ず必要となるもの。それが無くなると、今後の生活に支障がきたす。
「隼人ごめんマジでごめん‼」
「なんでもやるから許してください!」
全力で謝る真田と相田。しかし、ドアはかたく閉ざされている。
「まーまー、みんな落ち着いてよー」
純一はそう言いながら、ドアの前に立った。
「隼人さん、あれ持ってきたよー」
「……本当ですか?」
隼人は、少しだけドアを開けた。
「ホントだよー。あとでわたすから、はやく出てきてよー」
隼人は、ドアから出てきた。
謝っている柊たちに聞こえないように、相田はこっそり純一に訊いてみた。
「君、何で隼人君を釣ったんだい?」
純一は、黒い笑みを浮かべた。
「それでは、役割分担を決めましょう」
荷物を片付け終わったあと、リビングのテーブルに全員が集まっていた。隼人は、ルーズリーフを一枚テーブルに置いて、シャープペンを二、三回ノックする。
いつの間にか、この場は隼人が仕切るようになっている。
「えっと、掃除は各自でするとして……分担しないといけないのは、料理と買い出しと洗濯と……風呂掃除? ですかね」
几帳面に定規を使って表を描き、そこに仕事内容を書き込んでいく。
「ここには五人いるんで、洗濯を二人でするとして……じゃんけんで勝った人から順に好きなの選びますか?」
特にそれで困るようなこともなかったので、彼らはじゃんけんをして順に選んでいった。
隼人が料理。相田が買い出し。純一が風呂掃除で、柊と真田が洗濯になった。
「そうだ、もうひとつ決めておきたいことが」
隼人は新しいルーズリーフを取り出す。
「これから一週間ともに過ごすんで、一人一つずつ禁止するものを決めましょう。さっきみたいに好き勝手されても困りますし」
隼人は、そう言ってにこりと笑う。純一の悪魔の微笑みとはまた違う、人に恐怖を感じさせるような笑みだ。
隼人はその表情のまま、まず柊と真田を見た。
「二人は、女性がいないと言ってわめくのなしです」
隼人の威圧感に負け、二人は軽くうなずく。
「相田さんは、赤川さんがいないってピーピー騒ぐのなしです」
「それはちょっと勘弁してくれよ……」
「なしです」
「はい」
大きいため息とともに机に突っ伏す相田。
「純一くんは……えーと」
「虫ならちゃんと皆が見ないようにしておくよ~」
「それならいっか」
隼人は、今言ったことをルーズリーフに書き込んで、シャープペンの芯を戻した。
「あと決めることはないですよね。皆さん一週間頑張りましょう」
「いや、ちょっと待てよ!」
立ち上がろうとする隼人を、右手で制する真田。隼人は不思議そうな顔で真田を見た。
「真田さん? 何かありましたか?」
「何かありましたかじゃなくて。お前、まだ自分のを決めてないだろ」
「僕も決めないといけませんか?」
「そりゃそうだろ。俺らにはあんのに、お前だけないのは不平等すぎる」
「……それじゃあ、皆さんが決めてください」
隼人がそういったとたん、待ってましたと言わんばかりに柊が右手を高く挙げる。
「あんたは、キレないことだな!」
「待って、それってあなたたちのせいじゃないですか」
「やーい怒ってやんの~!」
「小学生か!」
はやし立てながら逃げる柊を、追いかける隼人。二人が部屋を出ていったのを見て、残った彼らは大きくため息をついた。
「とりあえず、隼人君の刺激になるようなことだけはいわないっと。これが一番だね」
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