たとえばこんな恋模様

響 恭也

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お付き合いは順調に

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 それから俺は週末になると実家にいそいそと帰り、ねーちゃ・・・いや佳代さんと過ごした。体が弱っていることもあり、最初は部屋で過ごしていたけど、なんか俺がこっちにいない間にリハビリをすごく頑張ってくれてたみたいで、一緒に散歩ができるほどになったと聞いた時は出先にもかかわらず抱きしめてしまった。そんなこんなで年末、年明けと俺たちは一緒の時間を過ごしていった。

 社会人2年目を迎え俺にも後輩ができた。といっても大学の後輩だったやつで、別に目新しい顔ではない。外回りで一緒に取引先を回り、いろいろと顔をつなぐ。まあ、そんな感じで仕事をこなす。
「先輩、なんかそわそわしてますね?」
「ん?別に何もないじょ?」
「なに噛んでるんですか・・・あやしい」
「なんもないって、あ、定時だし上がりますねー」
「お疲れ様です」

 まあ、あれだ、そわそわもするよな。佳代さんがこっちに遊びに来てくれるのだ。いろいろと体力的、精神的にどん底だった彼女は見事なまでの回復を見せ、病院で愛の力ねとからかわれたと耳まで真っ赤にして話してくれた。胸の奥がなんかじわっと暖かくなる感じ。これが幸せかと思わず口からポロッと出ったらしい。佳代さんはさらに顔を赤くして俺の胸に顔を埋めてグリグリとしていた。かわいい。

 駅に駆け込む、改札の外で待っていると見知った顔が階段を降りてきた。俺に気づくと花のように笑顔がほころぶ。あー、俺多分すっごいにやけてるな-と自覚しつつ手を振る。
「ゆーくん、来たよ!」
「うん、お疲れ様。ご飯食べた?」
「ううん、まだ。買い物行こうか」
「え?ああ、んじゃスーパーかな?」
その瞬間、今週頭から考えていたおしゃれなレストランはとりあえず棚上げした。
バッグを受け取り右手に。左手っていうか腕には佳代さんがしがみついている。まだちょっと人前に出るのは怖いらしい。んで、こうやってくっついてると怖くないのとか言われると、そりゃもうデレデレになるわけで、そんな時俺の方を叩く不届き者が現れた。

「先輩、なにしてるんですか-?」
「うげっ、お前どっから湧いてきやがった!?」
「ゆーくん?」
「っかーーー、なんスカそのラブラブな風情は??」
「ああ、こいつ、大学時代からの後輩で・・」
「そりゃこんな美人お彼女さんいたら浮かれますよね-」
「ああ、それは一つ訂正しよう」
「へ?彼女さんじゃない?」
「彼女プラス婚約者だ」
「ってゆーくん、恥ずかしいよ」
「えー、先輩そんなキャラでしたっけ?」
「うん、意外なものが見れたね?だからさ、今日はそれでいいか?」
「あ、あー、すいません、お邪魔しちゃって」
「や、いいよ、また週明けにな」
「はーい、んじゃまたー」
「おう、気をつけてな」
「うう、先輩なんて爆発してしまえ-」
「やかましいわ!」

 後輩と別れて、むしろ追い返してスーパーに寄る。レストランでディナーより彼女の手料理。絶対そっちが良いよね。そう思い直しご機嫌でかごに食材を入れてゆく。そして俺は佳代さんの「新婚さんみたいだね」の一言に顔を真赤にして撃沈してしまったのだ。
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