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保護者に内緒で冒険準備

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 彼女は見た目も精神も5.6歳で、
十云年前にもこどもを経験しているので、
 少しでも危険があることをしようとすると、周りの大人は、
絶対にそれを阻むことを知っていた。
 この世界では、それをするのはソフであった。
 今は、ホビット文明世界までであれば、
しぶしぶ送り出してはくれるようになった。
 鬼人文明世界のミツキの家にも遊びに行ってることは内緒にしている。
次に行こうとしている吸血鬼文明世界のことは絶対に秘密だ。
秘密だが、吸血鬼はさすがにちょっと怖いので、吸血鬼が嫌がると
ポロスに聞いたエルフの薬をできるだけ手に入れたい。目的は隠したままに。

「そういえばエルフの薬ってどうやって作るの?
ソフが作ってるの?」
「どうしたの急に?」
「いや 材料集めとかあるなら手伝えるかなと思って」
「そんな手間はないよ 今日一緒にとりに行こうか?」
ソフおそるるに足らず。お手伝いアピール作戦成功。

 彼女がご機嫌で、ソフの手をつないで歩いていると、
「僕も外に出られたら ずっと一緒に居られるんだけどな」
とソフは独り言のように言った。
 彼女はもしそうなったらちょっと困ると思った。
ソフはポロスみたいに吸血鬼文明世界にノリノリで
一緒に行ってくれないだろうし、そもそもばれたら止められるだろうし。
「チサトがエルフ文明世界から出られないようになっても
ずっと一緒に居られるね」
「え?嫌だ」
とっさに思ったことが口から出てしまった。
「そっか」
 と悲しそうにソフは笑った。

 エルフ文明世界には他にも沢山エルフがいるのに、
ソフはどうして私にこだわるんだろう。
 そう言えば、エルフ文明世界ではソフより若い姿をした
エルフを見ない。だから寂しいのかな?
だったらソフも外の文明世界に
行けるようになった方がいいのかもしれない。
ミツキみたいな友達だってできるはずだし、楽しいだろう。 
 
 最初に目が覚めた休憩所に着いた。
「ここにエルフの薬があるの?」
「この裏の奥にあるんだよ」

「ここだよ」
 ソフが立ち止まったのは綺麗な水が湧きだす泉だった。
「ここに 君は倒れていたんだよ」
 え?こんなところに?本当にただの泉だった。
その岸に倒れていたとソフは言った。
 目覚めたとき彼女はこどもの姿をしていて、
見たことのない世界にいた。
 そのインパクトが大きすぎて、違う時空に来てしまったことを
すんなり受け入れてしまった。
 だから今何の変哲もない泉を見て、彼女が思うことはこうだった。
 あの日、川に落ちて、目を覚ますことなく私は死んでしまって、
ここはあの世という所ではないのだろうか?
 それとも、病院のベットの上で、眠ったまま夢を見ているのかもしれない。

「大丈夫?怖い?」
ソフにそう言われて、彼女は小さく首を振った。

「この泉の水がエルフの薬だよ」
 は?

 
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