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ひま☆やん

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第二部【ツキニナクケモノ】

序章 《陸の孤島》

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 通常、要塞と言えば堅牢な軍事施設の事を指す。だが、武器こそ保有していないものの、一般企業が所有する、ある意味要塞とも言える施設がある。それがデータセンターだ。
 入退室を厳格に管理し、許可無き者は立ち入る事を許されない。停電に備えて複数系統から電源供給を受けられるような仕組みに、火災や地震といった災害に対する備えも万全で、食料さえ用意すれば長期間の籠城も可能であろう。
 そんなデータセンターの役割は、主に企業の社内システムや、情報インフラを機能させる為の、サーバやストレージの保持・運用にある。今では当たり前のように利用されている携帯通信端末やオンラインバンクも、各地に配備されているデータセンターが存在しなければ機能しなくなるだろう。現代のIT社会を支える要とも言える、重要な拠点である。
 そんな重要拠点であるが故、セキュリティの観点から、所在地や役割を一般には非公開にしている事業者が多い。一般人からすれば、自分が利用している情報サービスは、どこのデータセンターのどのサーバが機能を提供しているのか、全く分らないだろうし、それについて知る必要も無いだろう。一部の専門知識を持ったエンジニアだけが、24時間年中無休で保守・運用に携わっている。その程度の認識で問題無い・・・はずだった。
「全員手を上げて壁際に整列しろ!今すぐにだ!」
 男達の怒号が館内に響く。全員黒い目出し帽を被り、その手には銃が握られていた。
「何なんだね、アンタ達は?どうやってここに入り込んだんだ?」
 職員がそう質問するが、覆面の男達は動じない。迷う事無く、その職員に向けて発砲した。館内に悲鳴と怒号が響き渡る。
「これは脅しでは無い!銃も本物だ!死にたくなければ命令に従え!」
 この日、世界各国で複数のデータセンターが、テロリストに占拠されてしまったのだ・・・。
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