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次の日。幸運なことに、登校の時、夏花さんには絡まれなかった。昨日は偶然一緒になっただけ、だったらしい。
夏花さんは三ッ橋さん以外にも仲の良い友達が何人かいるようで、学校でも絡まれるということはなかった。それにしても、友達があんなにいるなんて…まあ、当たり前のことなんだろうけど。
今日は集中して授業も受けられたし、隣に憂鬱の原因がいる割には、静かな学校生活も送れた...と思ったけど、この後”あれ”があるんだったっけ。
「堀田くーん、あれ、忘れないでよね、」
帰り学活も終わり、あとは帰るだけの状態になって、夏花さんに耳元で囁かれる。
…わかってるっつーの。周りの俺への評価はなるべく下げたくないし。
玄関まで移動し、靴箱から靴をとる。
「真希ー!お前今日、どーっだったよ。あの昨日の子」
玄関を出たところで、後ろから翔に声をかけられた。
「んー、うん。なんかちょっと…うざったい」
翔にだけ聞こえるように、ぼそっと呟く。
それを聞いた翔は少し苦笑いを浮かべながら、頭をかく。
「それが真希だからなあ、まあとにかく、頑張ってよ」
翔と俺は肩を並べて歩く。今日はサッカー部は休みらしく、グラウンドからは野球部の声がきこえる。
「…それはそうと、翔はどうなんだよ。新しいクラス」
俺がそう聞くと、翔はまた苦笑いを浮かべる。
「まあね、去年よりは、あれかな…うん」
つまり、去年の方が楽しいと。俺もそうだけどな。
「でも、俺には花恋がいるから!」
うっ、今の俺に一番ダメな話題が来た。でも、実はこの二人はまだ付き合っていない、両思いなのは見ていて確実だけど。
「そっかあ。てかさ、お前まだ花恋に告んないの?」
「うっ…うーん、別に今の関係も嫌じゃないし?花恋が誰かを好きな気配も無いし?まだ良いかなあ」
そんなこと考えてたら、いつか誰かに花恋取られるぞ。…例えば俺、とか。
「へー、そうなのか。ま、つくづく頑張れよ。じゃな」
翔と帰る分かれ道に来て、軽く手を上げる。
「ん、じゃな」
翔も軽く手を上げ、二人別れる。
はあぁぁ、あれで無自覚。無自覚の恐ろしさとは。両思いだって疑ってない様子だったな。
「あー、しょうがない。公園行くかあ」
俺はため息を一つはいて歩きを早めた。
夏花さんは三ッ橋さん以外にも仲の良い友達が何人かいるようで、学校でも絡まれるということはなかった。それにしても、友達があんなにいるなんて…まあ、当たり前のことなんだろうけど。
今日は集中して授業も受けられたし、隣に憂鬱の原因がいる割には、静かな学校生活も送れた...と思ったけど、この後”あれ”があるんだったっけ。
「堀田くーん、あれ、忘れないでよね、」
帰り学活も終わり、あとは帰るだけの状態になって、夏花さんに耳元で囁かれる。
…わかってるっつーの。周りの俺への評価はなるべく下げたくないし。
玄関まで移動し、靴箱から靴をとる。
「真希ー!お前今日、どーっだったよ。あの昨日の子」
玄関を出たところで、後ろから翔に声をかけられた。
「んー、うん。なんかちょっと…うざったい」
翔にだけ聞こえるように、ぼそっと呟く。
それを聞いた翔は少し苦笑いを浮かべながら、頭をかく。
「それが真希だからなあ、まあとにかく、頑張ってよ」
翔と俺は肩を並べて歩く。今日はサッカー部は休みらしく、グラウンドからは野球部の声がきこえる。
「…それはそうと、翔はどうなんだよ。新しいクラス」
俺がそう聞くと、翔はまた苦笑いを浮かべる。
「まあね、去年よりは、あれかな…うん」
つまり、去年の方が楽しいと。俺もそうだけどな。
「でも、俺には花恋がいるから!」
うっ、今の俺に一番ダメな話題が来た。でも、実はこの二人はまだ付き合っていない、両思いなのは見ていて確実だけど。
「そっかあ。てかさ、お前まだ花恋に告んないの?」
「うっ…うーん、別に今の関係も嫌じゃないし?花恋が誰かを好きな気配も無いし?まだ良いかなあ」
そんなこと考えてたら、いつか誰かに花恋取られるぞ。…例えば俺、とか。
「へー、そうなのか。ま、つくづく頑張れよ。じゃな」
翔と帰る分かれ道に来て、軽く手を上げる。
「ん、じゃな」
翔も軽く手を上げ、二人別れる。
はあぁぁ、あれで無自覚。無自覚の恐ろしさとは。両思いだって疑ってない様子だったな。
「あー、しょうがない。公園行くかあ」
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