俺ら2人の恋愛同盟

Rin

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「ねえ、ちょっといい?」

 ようやく1時間目が終わって心がぐったり疲れた俺の所に、三ッ橋さんが来た。山野さんは、違う友達と話している。

「ん?いいけど」

 ホントは、ちょっと休みたい…。

 廊下に出た三ッ橋さんが、俺を手招きする。教室じゃないのかよ。

 とか思いながらも、俺は廊下に出る。教室も廊下も、同じような人の量。あんま変わんないじゃん。

「何かな?三ッ橋さん」

「麻友子でいいよ。…で、さっき、授業中、堀田くん、いきなり立ったでしょ?」

 思い出したくない記憶…。

「うん」

「それって、夏花のせいだよね?」

 まあ、そうだよ。

 俺は、小さめに頷く。

「あ、やっぱり」

 そう言って、三ッ橋さん…麻由さんが頭を下げる。

「夏花が迷惑をかけて、本当にごめんなさいっ」

「え、ちょっと、頭上げてよ」

 そりゃ迷惑だけどさ、周りに人がいるなかで頭を下げられるほうも、同じくらい迷惑。どうして今年は、こんなに憂鬱が続くんだろう…。

「それで、夏花に、何言われた?」

 ようやく頭を上げてくれた麻由さんが言った。

「それは…ちょっと言えないかな?」

 爽やかな笑みを顔に張り付け、俺は言う。…今日はもう。この笑顔も限界かも。

「そっか。もうどうしようもなく迷惑になったら、私に言って。どうにかする」

 お、頼もしい。

「あ、もう時間だ。戻ろっか」

 やっと戻れる…のか?戻っても、また山野さんに絡まれる気がする。



 そして、2時間目。やっぱり絡まれる。

『さっきの話しの続き。同盟だから、私の恋心も手伝って!帰宅部だから、暇でしょ?』

 まあそうだけどさ?暇とは言われたくなかったなー?

『いいよ。ただし、俺のを解決した後ね』

 そう書いて渡す。山野さんは、少しニコッとした。

『夏花でいいよ』

 …心読まれた?なわけないよね、うん。

『放課後、忘れないでね!』

 まじか。さっきもちょっと思ったけど、放課後も一緒って、ウザい。

『うん』

 ま、そんなこと、口が割けても言えないけどね。

 山野さん…夏花さんは花が咲いたような笑顔を浮かべる。何でこんなに嬉しそうなんだろ。意味分かんない。

「はい、堀田くん。(3)の答えは?」

 いきなり、先生に当てられる。あれ、今、何ページだっけ?

 急いで教科書を開く。

「おや堀田くん。先生の話、聞いてなかったのかい?」

 うっ…。こんなところで成績下げたくないのにっ。夏花さんめ!
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