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学園編 § 学校生活編
第77話 龍脈の調査
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翌日。
僕は学校は休んで、二重陣が発見された辻を回っていた。
この京を守護する結界は、二重陣を排除し、新たに設置されているはず。
だけど、なんでこんなに京の状態は変わらないんだろう。
僕はうんざりしながら、有象無象溢れる道を、霊力のバリアで無双しながら歩いて行く。
結界はちゃんと作動しているんだ。
でもなんだろう?詰まったみたいな状態?
汲み上げるはずの霊力が、以前より少ない気がする。
どの結界の起点の発生装置をチェックしても、そんな風に感じてしまう。
いくつめかの結界をチェックしているとき、背後に高度な霊力の塊を感じて後ろを向く。
「天一・・・」
そこには陰陽師が操る最高峰の式神の一柱、天一が微笑んでいた。
『久しいですね。』
「うん。・・・騰虵に会ったよ。』
同じく十二天将の式神の名を言う。
『ええ。彼も焦っているのでしょう。邪気が増えてますから。』
「邪気?ごめん、僕にはわからないや。」
『まだ人には無理でしょう。龍脈が傷つけられているのです。』
「龍脈が?」
『ええ。見たいですか?』
「うーん。見た方がいいのかなぁ。」
『くさびが何本も打ち込まれています。』
「ふう。分かったよ。でもここじゃまずいなぁ。場所を借りよう。」
僕は天一を連れて、近くにあった西福寺へと向かった。
組織のことを知っている住職に、幽体離脱をするから、と、場所を借り、僕は天一に身をゆだねた。
龍脈は、だいたい古くからの宗教施設の下には走っている。当然この寺の下にもあり、僕は天一に手を引かれつつ、地下へと潜った。
霊体になって移動するのは初めてじゃない。
何度か経験があるが、その視界はあやかしの視界に近くなる。いや存在そのものが重なった次元にある、という方がいいのか。
僕は抵抗を受けることなく地下へと潜り、時折ある力の塊を興味深く見る。
不定形だったり、球体だったり、希に何かの獣のようだったりする、ぼんやり光って見えるもの。それらは通常暮らす次元に重なる次元に存在する力の塊だ。
普通は意志持たぬ者、なんだけど、何かの拍子に、急に目覚めたりする。
意志を持った力は、より自分の欲するあり方へと向かって姿を変え、時には地上に出て、僕らの次元に影響を与えることもある。
いうならばあやかしどもの子宮といったところ。
しかし、何か多くないか?
僕は少し疑問を抱く。
力の塊が、どうしても多すぎる気がするんだ。
もう少し沈むと、龍脈が現れる。
なんというか、ブルーライトに照らされた青い蓄光塗料が川を作る感じ、といえば分かるだろうか?
本来なら、この澄んだ青い光が蕩蕩と流れているんだ。
だけど、なんだろう、虫食いじみた黒い空間が、看過できないほど光の中に存在していた。
それだけを確認して、僕は体に戻った。
『どこもかしこもあんな感じです。』
「一番多いのはどこか分かる?」
『いいえ、全部見たわけではありませんので。』
「あれが何かは?」
『おそらく何か術の残滓ではないかと?』
「人間の?」
天一は小さく申し訳なさそうに頷いた。
「分かった。教えてくれてあれがとう。」
その後、僕は天一と別れて、近くの稲荷神社を訪れた。
稲荷の狐だって霊的存在だ。
神社は霊的につながりがあり、それらは、大元は本山の神に繋がっているらしい。
僕は、伏見の威光を纏って稲荷の狐に呼びかけた。
呼びかけが終わるよりずっと早く、僕の前には1匹の狐が。
「あんさん、おひいさまの力を纏って何者ですねん。」
「ああ悪かった。彼女から君たちを自由に使っていいって言われてたからちょっとお願いしたいな、と思って。」
「ひょっとして飛鳥様でっしゃろか?」
「うん。直江飛鳥。一応、伏見のおひいさまの加護は受けてる。」
「あほいいなさんな。どこが一応、なんですか?バリバリの加護ですやん。ま、いいです。で、依頼はわて本人でっか?眷属総動員でっか?」
「できる限り多くの協力がもらえると嬉しい。」
「分かりました。ご期待にそうとしまひょ。で、内容は?」
「龍脈って見れる?」
「地に潜れってんですかい?まぁ見れますけど。」
「とりあえず可能な範囲で龍脈のチェックを頼みたいんだ。」
「龍脈のチェックどすか?」
「うん。さっき潜ってみたんだけど、なんかへんな黒い塊がいっぱい入ってるだ。その場所と量の情報が欲しい。」
「またけったいなもん調べますなぁ。まぁいいでっしゃろ。承りました。」
「あ、くれぐれも見て調査するだけだよ。近づかないでね。」
「・・・分かりました。みんなにも申しつけますわ。」
「うん。よろしく。」
狐に丸投げ。
情報は式神。
なんか、AAOの仕事か怪しくなってきそう。
あんまり人外を使うと、嫌がられるから、報告は黙っておきたいところだけど、さすがにニュースソースはごまかせないだろうな。
しかし、あれは何が起こってるんだ?
人がやったにしろ、なんか規模が大きすぎる気がする。
どんな組織がやっている?
こんなに大々的に仕掛けて、なんで手がかりが掴めてないんだ?
少なくとも、辻の魔法陣設置はプロの手だ。
そこに素人作成の魔法陣を使っているのは謎だとしても、少なくともあれをあそこに置いた、置こうとしたヤツらはプロだと思う。
なんで素人の作成?
力が強い者が作る強い魔法陣は、呪術汚染の可能性があるから、とか、ノリたちは予測してるみたいだけど。
だったら、狙いはなんだろう?
そんな風に考えながら、同じように結界の発生装置を設置している、某神社へと足を運んだ。
僕は学校は休んで、二重陣が発見された辻を回っていた。
この京を守護する結界は、二重陣を排除し、新たに設置されているはず。
だけど、なんでこんなに京の状態は変わらないんだろう。
僕はうんざりしながら、有象無象溢れる道を、霊力のバリアで無双しながら歩いて行く。
結界はちゃんと作動しているんだ。
でもなんだろう?詰まったみたいな状態?
汲み上げるはずの霊力が、以前より少ない気がする。
どの結界の起点の発生装置をチェックしても、そんな風に感じてしまう。
いくつめかの結界をチェックしているとき、背後に高度な霊力の塊を感じて後ろを向く。
「天一・・・」
そこには陰陽師が操る最高峰の式神の一柱、天一が微笑んでいた。
『久しいですね。』
「うん。・・・騰虵に会ったよ。』
同じく十二天将の式神の名を言う。
『ええ。彼も焦っているのでしょう。邪気が増えてますから。』
「邪気?ごめん、僕にはわからないや。」
『まだ人には無理でしょう。龍脈が傷つけられているのです。』
「龍脈が?」
『ええ。見たいですか?』
「うーん。見た方がいいのかなぁ。」
『くさびが何本も打ち込まれています。』
「ふう。分かったよ。でもここじゃまずいなぁ。場所を借りよう。」
僕は天一を連れて、近くにあった西福寺へと向かった。
組織のことを知っている住職に、幽体離脱をするから、と、場所を借り、僕は天一に身をゆだねた。
龍脈は、だいたい古くからの宗教施設の下には走っている。当然この寺の下にもあり、僕は天一に手を引かれつつ、地下へと潜った。
霊体になって移動するのは初めてじゃない。
何度か経験があるが、その視界はあやかしの視界に近くなる。いや存在そのものが重なった次元にある、という方がいいのか。
僕は抵抗を受けることなく地下へと潜り、時折ある力の塊を興味深く見る。
不定形だったり、球体だったり、希に何かの獣のようだったりする、ぼんやり光って見えるもの。それらは通常暮らす次元に重なる次元に存在する力の塊だ。
普通は意志持たぬ者、なんだけど、何かの拍子に、急に目覚めたりする。
意志を持った力は、より自分の欲するあり方へと向かって姿を変え、時には地上に出て、僕らの次元に影響を与えることもある。
いうならばあやかしどもの子宮といったところ。
しかし、何か多くないか?
僕は少し疑問を抱く。
力の塊が、どうしても多すぎる気がするんだ。
もう少し沈むと、龍脈が現れる。
なんというか、ブルーライトに照らされた青い蓄光塗料が川を作る感じ、といえば分かるだろうか?
本来なら、この澄んだ青い光が蕩蕩と流れているんだ。
だけど、なんだろう、虫食いじみた黒い空間が、看過できないほど光の中に存在していた。
それだけを確認して、僕は体に戻った。
『どこもかしこもあんな感じです。』
「一番多いのはどこか分かる?」
『いいえ、全部見たわけではありませんので。』
「あれが何かは?」
『おそらく何か術の残滓ではないかと?』
「人間の?」
天一は小さく申し訳なさそうに頷いた。
「分かった。教えてくれてあれがとう。」
その後、僕は天一と別れて、近くの稲荷神社を訪れた。
稲荷の狐だって霊的存在だ。
神社は霊的につながりがあり、それらは、大元は本山の神に繋がっているらしい。
僕は、伏見の威光を纏って稲荷の狐に呼びかけた。
呼びかけが終わるよりずっと早く、僕の前には1匹の狐が。
「あんさん、おひいさまの力を纏って何者ですねん。」
「ああ悪かった。彼女から君たちを自由に使っていいって言われてたからちょっとお願いしたいな、と思って。」
「ひょっとして飛鳥様でっしゃろか?」
「うん。直江飛鳥。一応、伏見のおひいさまの加護は受けてる。」
「あほいいなさんな。どこが一応、なんですか?バリバリの加護ですやん。ま、いいです。で、依頼はわて本人でっか?眷属総動員でっか?」
「できる限り多くの協力がもらえると嬉しい。」
「分かりました。ご期待にそうとしまひょ。で、内容は?」
「龍脈って見れる?」
「地に潜れってんですかい?まぁ見れますけど。」
「とりあえず可能な範囲で龍脈のチェックを頼みたいんだ。」
「龍脈のチェックどすか?」
「うん。さっき潜ってみたんだけど、なんかへんな黒い塊がいっぱい入ってるだ。その場所と量の情報が欲しい。」
「またけったいなもん調べますなぁ。まぁいいでっしゃろ。承りました。」
「あ、くれぐれも見て調査するだけだよ。近づかないでね。」
「・・・分かりました。みんなにも申しつけますわ。」
「うん。よろしく。」
狐に丸投げ。
情報は式神。
なんか、AAOの仕事か怪しくなってきそう。
あんまり人外を使うと、嫌がられるから、報告は黙っておきたいところだけど、さすがにニュースソースはごまかせないだろうな。
しかし、あれは何が起こってるんだ?
人がやったにしろ、なんか規模が大きすぎる気がする。
どんな組織がやっている?
こんなに大々的に仕掛けて、なんで手がかりが掴めてないんだ?
少なくとも、辻の魔法陣設置はプロの手だ。
そこに素人作成の魔法陣を使っているのは謎だとしても、少なくともあれをあそこに置いた、置こうとしたヤツらはプロだと思う。
なんで素人の作成?
力が強い者が作る強い魔法陣は、呪術汚染の可能性があるから、とか、ノリたちは予測してるみたいだけど。
だったら、狙いはなんだろう?
そんな風に考えながら、同じように結界の発生装置を設置している、某神社へと足を運んだ。
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