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学園編 § 編入準備編
第40話 退院
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翌日は、朝から蓮華が顔を出した。
「で、いつまで入院?仕事つかえてるんだけど。」
来るなり、これだ。
昨日タンタンに聞いた話では、僕は3日ほど寝てて、やっと目覚めたらしい。
それも、淳平のフォローありでの回復だぞ?
「ご苦労さん。で、進捗具合は?」
相変わらず病室にいる淳平が、そんな風に語りかけた。
「あんたたちがみんなでサボってるおかげで、全部こっちに回ってきて大変なんだから。あの使えないガキどもも、今日から私にくっついてくるって言うし、ちょっと私に仕事寄こしすぎじゃない?」
「僕の所には、本部から人を寄こしてるから、ほぼ計画通りに済んでるって聞いてるけど?」
「それはあのガキどもの担当に振られたの。淳平と私の分は誰も補助なしよ。」
「あー、そりゃご苦労さん。」
「それに、例の二重魔法陣、他に3つ見つかったって聞いた?」
「いや。他にもあるのか?」
「だから見つかったのが他に3つ。で、そこは私の担当じゃなくても、呼び出されて、結界張らされてるの。まったく余計な上に面倒な仕事増やしてくれちゃって、それもこれも、あんたがいつまでも寝てるせいなんだからね。」
パチっと頭がはたかれる。
と言っても、今日も淳平のおかげで痛くはないんだが。
でも、なんで僕のせいなんだか・・・
「なんで、って顔してる?あのね、あんな物騒なのあんたしか触れないでしょ。とりあえず、誰にも触れないように私が超ー強力な結界を張ってあるけどね、あんたが一緒にいたら、そんな面倒はせずに、ペリッとやればいいだけじゃない。」
ハハハ、なるほど。ザ・蓮華様ロジックってやつか。
どっちにしろ、退院即、そのペリッをやらされにいくんだろうな。
「で、いつ?」
「は?」
「だからいつ退院できるのよ?なんか無茶な蘇生してるってタンタンが言ってたわよ。」
「あー、なんか、学校が始まる前、しかもこの前のルームメイトが寮入りする前には戻れってさ。」
「はぁ?時間なさ過ぎじゃない。最低でもあと10日は入院させたいんだが、ってタンタン言ってたわよ。てか、はじめ、運び込まれたときは1ヶ月って診断してたじゃない。あいつら・・・」
ハハハ、普通の人間が死亡する程度の損傷だと、だいたい1ヶ月から2ヶ月って診断される。つまり死んでたってことだな。
割と見た目っていうか、外側は早く再生するけど、内臓とかは、時間がかかる。動けるようになるには、内臓もある程度再生しなくちゃならない。今は外側はほぼきれいになって、中身が再生しかけ、って感じだろうな。感覚は淳平が遮断してるから分かんないけど、みんなの話と経験をつなぎ合わせれば、そんな感じ。
「ま、その分、僕ちゃまがつききっきりで看病してるからさ、蓮華はその分、外のお仕事頑張ってよ。」
キリッと爪を噛む蓮華。相当怒ってて、それを我慢してるときの癖だ。
さっきは、僕にいつまで寝てる!なんて言ってたけど、無茶な蘇生計画に相当腹を立ててるようで、相変わらず自分以外が僕に無茶をさせるのは嫌いのようだ。
「分かってるわよ。とりあえずあのガキども、どんな感じか聞きに来たの。」
「あー、それね。相当へこんでる、かな?」
「ハン、自分たちなら現場も余裕とか思ってたんでしょ。優秀かどうか知らないけど、接待戦闘しかやったことのないガキが、調子乗ってるからこんなことになる。」
何だよ、接待戦闘って・・・
「現場経験はあるって言ってたけどね、二人とも。先輩方の後ろで、言われたとおり、呪文唱えてりゃ済んだんだろうねぇ。」
「だから坊ちゃんはいやなのよ。」
「て、あんたも大概そんな初戦やってたんでしょうが。」
そういえば、蓮華は、文科省の訓練施設に来る前にも現場に出てたって言ってたっけ。
それこそ、あの恐山の後、部隊長に、現場をほとんど知らないまま、投入するなんて、と、怒鳴り込んでたな。普通は後ろで経験を積んでからだろ!て。どこの家でもそうやって現場にならしていくもんだ、て、わめいてた。
淳平もあそこに来るまでに、現場に行ったことはあったそうだ。むしろ小さい頃から戦場独特の雰囲気に慣らすために、と、連れて行かれてたらしい。
そうやって考えると、術者の家系に生まれるってのは、大変なんだなぁ。
二人がやいのやいのと、いつも通り軽口を言い合ってるのを見ながら、僕はそんなことを考えていた。
5日後。
なんとか、淳平がいれば歩けるようになった頃。
鈴木太朗が、クラブの関係もあって、寮入りした、と連絡が入り、僕は退院することになった。
僕は、ずっと寮暮らしってことになってるけど、今日は淳平とおじさんである大阪のタンタンの所に遊びに行った、という設定。
僕に会いに来た彼には、ノリたちがそんな説明でもしてるのだろう。
まだ、内臓は完治してないので、食堂で食べるのは難しい。
今のところ、栄養は点滴。
医者でもある淳平が点滴を打ってくれることになってる。
普通の人には使えないとんでもないドリル型の歯の注射針も一緒に持って、の、退院だ。
僕らが到着したとき、部屋には、案の定、太朗と、まさかの聖也までいた。
念のため、と、淳平が用意した寿司折り。
人数分、僕と淳平、ルームメイトのノリとゼン、合計4つ。
夕飯を誘われても断る口実。
「一緒に食べる?」
と言って、残るようなヤツらじゃないって考慮済みってことなんだろうね。
この学校、無駄にセレブしかいないから、人の弁当を巻き上げるような、そんな下品なこと、やるわけがないだろう、て、推測のもと。
ちょっと頂戴、なんて言うのは、教育がされてない証拠。
少なくとも、そこまで許されるような関係性は構築していない。
予想通り、二人は丁寧に断って、出ていった。
「で、いつまで入院?仕事つかえてるんだけど。」
来るなり、これだ。
昨日タンタンに聞いた話では、僕は3日ほど寝てて、やっと目覚めたらしい。
それも、淳平のフォローありでの回復だぞ?
「ご苦労さん。で、進捗具合は?」
相変わらず病室にいる淳平が、そんな風に語りかけた。
「あんたたちがみんなでサボってるおかげで、全部こっちに回ってきて大変なんだから。あの使えないガキどもも、今日から私にくっついてくるって言うし、ちょっと私に仕事寄こしすぎじゃない?」
「僕の所には、本部から人を寄こしてるから、ほぼ計画通りに済んでるって聞いてるけど?」
「それはあのガキどもの担当に振られたの。淳平と私の分は誰も補助なしよ。」
「あー、そりゃご苦労さん。」
「それに、例の二重魔法陣、他に3つ見つかったって聞いた?」
「いや。他にもあるのか?」
「だから見つかったのが他に3つ。で、そこは私の担当じゃなくても、呼び出されて、結界張らされてるの。まったく余計な上に面倒な仕事増やしてくれちゃって、それもこれも、あんたがいつまでも寝てるせいなんだからね。」
パチっと頭がはたかれる。
と言っても、今日も淳平のおかげで痛くはないんだが。
でも、なんで僕のせいなんだか・・・
「なんで、って顔してる?あのね、あんな物騒なのあんたしか触れないでしょ。とりあえず、誰にも触れないように私が超ー強力な結界を張ってあるけどね、あんたが一緒にいたら、そんな面倒はせずに、ペリッとやればいいだけじゃない。」
ハハハ、なるほど。ザ・蓮華様ロジックってやつか。
どっちにしろ、退院即、そのペリッをやらされにいくんだろうな。
「で、いつ?」
「は?」
「だからいつ退院できるのよ?なんか無茶な蘇生してるってタンタンが言ってたわよ。」
「あー、なんか、学校が始まる前、しかもこの前のルームメイトが寮入りする前には戻れってさ。」
「はぁ?時間なさ過ぎじゃない。最低でもあと10日は入院させたいんだが、ってタンタン言ってたわよ。てか、はじめ、運び込まれたときは1ヶ月って診断してたじゃない。あいつら・・・」
ハハハ、普通の人間が死亡する程度の損傷だと、だいたい1ヶ月から2ヶ月って診断される。つまり死んでたってことだな。
割と見た目っていうか、外側は早く再生するけど、内臓とかは、時間がかかる。動けるようになるには、内臓もある程度再生しなくちゃならない。今は外側はほぼきれいになって、中身が再生しかけ、って感じだろうな。感覚は淳平が遮断してるから分かんないけど、みんなの話と経験をつなぎ合わせれば、そんな感じ。
「ま、その分、僕ちゃまがつききっきりで看病してるからさ、蓮華はその分、外のお仕事頑張ってよ。」
キリッと爪を噛む蓮華。相当怒ってて、それを我慢してるときの癖だ。
さっきは、僕にいつまで寝てる!なんて言ってたけど、無茶な蘇生計画に相当腹を立ててるようで、相変わらず自分以外が僕に無茶をさせるのは嫌いのようだ。
「分かってるわよ。とりあえずあのガキども、どんな感じか聞きに来たの。」
「あー、それね。相当へこんでる、かな?」
「ハン、自分たちなら現場も余裕とか思ってたんでしょ。優秀かどうか知らないけど、接待戦闘しかやったことのないガキが、調子乗ってるからこんなことになる。」
何だよ、接待戦闘って・・・
「現場経験はあるって言ってたけどね、二人とも。先輩方の後ろで、言われたとおり、呪文唱えてりゃ済んだんだろうねぇ。」
「だから坊ちゃんはいやなのよ。」
「て、あんたも大概そんな初戦やってたんでしょうが。」
そういえば、蓮華は、文科省の訓練施設に来る前にも現場に出てたって言ってたっけ。
それこそ、あの恐山の後、部隊長に、現場をほとんど知らないまま、投入するなんて、と、怒鳴り込んでたな。普通は後ろで経験を積んでからだろ!て。どこの家でもそうやって現場にならしていくもんだ、て、わめいてた。
淳平もあそこに来るまでに、現場に行ったことはあったそうだ。むしろ小さい頃から戦場独特の雰囲気に慣らすために、と、連れて行かれてたらしい。
そうやって考えると、術者の家系に生まれるってのは、大変なんだなぁ。
二人がやいのやいのと、いつも通り軽口を言い合ってるのを見ながら、僕はそんなことを考えていた。
5日後。
なんとか、淳平がいれば歩けるようになった頃。
鈴木太朗が、クラブの関係もあって、寮入りした、と連絡が入り、僕は退院することになった。
僕は、ずっと寮暮らしってことになってるけど、今日は淳平とおじさんである大阪のタンタンの所に遊びに行った、という設定。
僕に会いに来た彼には、ノリたちがそんな説明でもしてるのだろう。
まだ、内臓は完治してないので、食堂で食べるのは難しい。
今のところ、栄養は点滴。
医者でもある淳平が点滴を打ってくれることになってる。
普通の人には使えないとんでもないドリル型の歯の注射針も一緒に持って、の、退院だ。
僕らが到着したとき、部屋には、案の定、太朗と、まさかの聖也までいた。
念のため、と、淳平が用意した寿司折り。
人数分、僕と淳平、ルームメイトのノリとゼン、合計4つ。
夕飯を誘われても断る口実。
「一緒に食べる?」
と言って、残るようなヤツらじゃないって考慮済みってことなんだろうね。
この学校、無駄にセレブしかいないから、人の弁当を巻き上げるような、そんな下品なこと、やるわけがないだろう、て、推測のもと。
ちょっと頂戴、なんて言うのは、教育がされてない証拠。
少なくとも、そこまで許されるような関係性は構築していない。
予想通り、二人は丁寧に断って、出ていった。
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