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32.騒ぎの決着
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騒ぎは最終的に教師がやってきて、その場にいたリディアたちを連れて行った。
しかし、今回は警告だけではとどまらなかった。
そこには、ルングレム王国の外交官と大使がやって来ていたのだ。
内容は、リディアやアイザックの引き渡しだ。
アーバンド帝国では他国の人間が、自国の犯罪人を捕らえることができない。
そのため、実際は問題をおこし続けている彼らを一度預かる、という趣旨だ。
だが、教師陣にしても、それは歓迎することだった。
うっすらとこの先彼らがどうなるのかは、理解していたが、ここ最近の騒ぎを考えれば、喜んで対処してもらう気でいた。
「すでに、ルングレム王国が動いていたのね。まあ、恥をこれ以上垂れ流すのはよろしくないわよね。たとえ、あの王子様が廃嫡しても一度根付いた印象はそう簡単にが帰られないし」
「大使が出張ってくるなんて、正直驚いた。だって、彼ら貴族派だから、そのまま見過ごすのかなって」
学校内のカフェテリアにいつものメンバーが集まり、先ほどの一見について感想を漏らす。
「父上の方が数日前に苦情をいれたそうだ」
デリックがさらりとネタをばらす。
「そうだったの?」
「まあ、正確には第一皇子殿下の事に対する苦情か?」
貴族や国民への好き勝手な要求は、帝室でも許されていない。
もちろん有事の際は除くが、大貴族のノイマン家への自分勝手な要求は、それこそ政治案件に発展する場合がある。
ノイマン家は自他ともに認める政治力を持っている。
そのノイマン家にそっぽを向かれれば、帝室とて困るのだ。
「なんて言ったかは知らないが、ルングレム王国の大使にまで話が持っていかれたということは、それだけ重く受け止めたってことだろうな」
「アーバンド帝国側からすれば、自国内で他国の王族が犯罪を犯す前に出て行ってほしいと言ったところかな?」
このまま誰も管理できなければ、彼らは間違いなく何かをしでかすが、他国の王族が関わっていると事態をややこしくする。
ディリスならば、自国内の皇子なので他国の王子よりも容易に沙汰を申し付けることができるのだ、
「アーバンド帝国の帝室から苦情が入れば、大使も動かざるを得ないって事ね。ルングレム王国の貴族派よりもアーバンド帝国が怖かったってところかしら」
「普通に考えれば、どちらに味方した方がいいかって考えた時、アーバンド帝国をとるでしょうね。大使や外交官だって、アーバンド帝国とルングレム王国の国力差は嫌という程分かっているだろうから」
しかも、ルングレム王国では現在貴族派閥苦境に立たされている。
寝返るのなら今だと考えてもおかしくない。
「ところで、カイゼン。俺はお前に頼み事してたと思ったが?」
デリックがじろりとカイゼンに目を向けた。
「あれ、頼み事だったの? そうは思えなかったよ……って、うそうそ! うん、あれね? でも、ほらこっちだって利益はほしいわけだしね?」
「何の話をしてるのよ」
男二人だけで分かり合って、アメルとアイリーンが胡乱な目で二人を見た。
「いや、ちょっとね。デリックにルングレム王国御一行様の出入りを禁止ししろって頼まれたんだけど、そうしなかったから拗ねちゃって」
「拗ねてない! そもそも、支払い能力がなさそうな奴らの出入りを禁止するのは普通だろ」
「それを言うなら、デリックだって自分のところのホテル使わせてたじゃない」
「あれは大使館経由で、支払いもそちらからという契約の元だ」
つまり、アイザックたちが直接赴いていたら断っていたということだ。
「わぉ、そういうことかぁ。でもね、彼らに支払い能力がなくても、そのご両親にはあるでしょう? 僕のところ、小さなものでも相当な値段だけど、彼らがそれだけじゃ我慢できなさそうだし。きっと散財してくれるかなぁって」
そして、最終的に親――つまりルングレム王国の国王夫妻に請求するということか。
実際は大使館に請求書は送り付けるのだろうが。
笑顔のカイゼンに、すでに請求書は大使館に送っているのだと察した。
きっと今頃大使もアイザックが買った品物に対して青ざめていることだろう。
大使館の動きが速いのは、帝室からの苦情だけじゃないのかもしれない。
「ルングレム王国を破産させないでよ」
「そこまでじゃないけど、さすがに大使だって知られたくない金額だろうから、自分たちでなんとかするんじゃない? 結構ため込んでいそうだしね」
その確信めいた言葉に、カイゼンが何かを狙っている気がしてならないが、ルングレム王国に対して何か仕掛けるような感じではないので、深くは聞かなかった。
しかし、今回は警告だけではとどまらなかった。
そこには、ルングレム王国の外交官と大使がやって来ていたのだ。
内容は、リディアやアイザックの引き渡しだ。
アーバンド帝国では他国の人間が、自国の犯罪人を捕らえることができない。
そのため、実際は問題をおこし続けている彼らを一度預かる、という趣旨だ。
だが、教師陣にしても、それは歓迎することだった。
うっすらとこの先彼らがどうなるのかは、理解していたが、ここ最近の騒ぎを考えれば、喜んで対処してもらう気でいた。
「すでに、ルングレム王国が動いていたのね。まあ、恥をこれ以上垂れ流すのはよろしくないわよね。たとえ、あの王子様が廃嫡しても一度根付いた印象はそう簡単にが帰られないし」
「大使が出張ってくるなんて、正直驚いた。だって、彼ら貴族派だから、そのまま見過ごすのかなって」
学校内のカフェテリアにいつものメンバーが集まり、先ほどの一見について感想を漏らす。
「父上の方が数日前に苦情をいれたそうだ」
デリックがさらりとネタをばらす。
「そうだったの?」
「まあ、正確には第一皇子殿下の事に対する苦情か?」
貴族や国民への好き勝手な要求は、帝室でも許されていない。
もちろん有事の際は除くが、大貴族のノイマン家への自分勝手な要求は、それこそ政治案件に発展する場合がある。
ノイマン家は自他ともに認める政治力を持っている。
そのノイマン家にそっぽを向かれれば、帝室とて困るのだ。
「なんて言ったかは知らないが、ルングレム王国の大使にまで話が持っていかれたということは、それだけ重く受け止めたってことだろうな」
「アーバンド帝国側からすれば、自国内で他国の王族が犯罪を犯す前に出て行ってほしいと言ったところかな?」
このまま誰も管理できなければ、彼らは間違いなく何かをしでかすが、他国の王族が関わっていると事態をややこしくする。
ディリスならば、自国内の皇子なので他国の王子よりも容易に沙汰を申し付けることができるのだ、
「アーバンド帝国の帝室から苦情が入れば、大使も動かざるを得ないって事ね。ルングレム王国の貴族派よりもアーバンド帝国が怖かったってところかしら」
「普通に考えれば、どちらに味方した方がいいかって考えた時、アーバンド帝国をとるでしょうね。大使や外交官だって、アーバンド帝国とルングレム王国の国力差は嫌という程分かっているだろうから」
しかも、ルングレム王国では現在貴族派閥苦境に立たされている。
寝返るのなら今だと考えてもおかしくない。
「ところで、カイゼン。俺はお前に頼み事してたと思ったが?」
デリックがじろりとカイゼンに目を向けた。
「あれ、頼み事だったの? そうは思えなかったよ……って、うそうそ! うん、あれね? でも、ほらこっちだって利益はほしいわけだしね?」
「何の話をしてるのよ」
男二人だけで分かり合って、アメルとアイリーンが胡乱な目で二人を見た。
「いや、ちょっとね。デリックにルングレム王国御一行様の出入りを禁止ししろって頼まれたんだけど、そうしなかったから拗ねちゃって」
「拗ねてない! そもそも、支払い能力がなさそうな奴らの出入りを禁止するのは普通だろ」
「それを言うなら、デリックだって自分のところのホテル使わせてたじゃない」
「あれは大使館経由で、支払いもそちらからという契約の元だ」
つまり、アイザックたちが直接赴いていたら断っていたということだ。
「わぉ、そういうことかぁ。でもね、彼らに支払い能力がなくても、そのご両親にはあるでしょう? 僕のところ、小さなものでも相当な値段だけど、彼らがそれだけじゃ我慢できなさそうだし。きっと散財してくれるかなぁって」
そして、最終的に親――つまりルングレム王国の国王夫妻に請求するということか。
実際は大使館に請求書は送り付けるのだろうが。
笑顔のカイゼンに、すでに請求書は大使館に送っているのだと察した。
きっと今頃大使もアイザックが買った品物に対して青ざめていることだろう。
大使館の動きが速いのは、帝室からの苦情だけじゃないのかもしれない。
「ルングレム王国を破産させないでよ」
「そこまでじゃないけど、さすがに大使だって知られたくない金額だろうから、自分たちでなんとかするんじゃない? 結構ため込んでいそうだしね」
その確信めいた言葉に、カイゼンが何かを狙っている気がしてならないが、ルングレム王国に対して何か仕掛けるような感じではないので、深くは聞かなかった。
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