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24.話し合い
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アメルがデリックとともに、応接室にやってくると、リディアの目が輝いた。
それは外から見れば、従妹であるアメルに会えたことを喜んでいるように見えたが、アメルはリディアの目が自分ではなくデリックに向かっていることにすぐ気づく。
何気なくディリスの方にも視線を向けると、彼はリディアの事は見ておらず、デリックを鋭く睨んでいた。
昼間の事を根に持っていそうだ。
それなのに、よくも堂々とやって来れたものだと、いろんな意味で感心した。
横にいるデリックから、何か禍々しい気配が漂ってきそうな雰囲気だ。
アメルとデリックは、二人の対面に座ると、リディアが目を輝かせた。
『アメル! 会えてよかったわ。お昼の事は許してあげるから、機嫌直して頂戴』
可愛らしく小首をかしげながら、挨拶もそこそこにリディアが話し出す。
アメルがリディアに対して、小さくため息をついた。
いかにも、会いたくなかったという雰囲気が出ていたのか、リディアは若干ムッとした様子だ。
『わたしが謝っているのに、どうしてそんな態度なの? デリック様からも、注意して差し上げて?』
デリックに上目遣いで頼むが、デリックは冷ややかにリディアを見下ろしている。
腕を組んで、ふんと鼻息一つであしらった。
「デリック・ノイマン! なんだその態度は! それに、お前リディアの言っている事を理解しているな? それなのに、ルングレム語で話さないとは」
「失礼、あまりにも馬鹿らしい内容でしたので、思わず顔に出てしまいました。それから、ここはルングレム王国ではなくアーバント帝国です。留学――勉強をしに来ているのなら、多少なりとも大陸共通語を話す努力をされるべきでは?」
リディアはルングレム語で話しかけているのにも関わらず、デリックは大陸共通語しか使わない。
しかし、発した言葉からリディアの言っていることはきちんと理解していることが分かる。
もちろん、リディアはデリックが何を言ったのか理解していない。
リディアは、アメルに通訳しろと目で訴えてきた。
『リディア、デリックは大陸共通語で話せって言っているわ。それは、わたしも同じよ。ここはアーバント帝国なのよ。話せもしないのに留学するなんて、周りに迷惑かけるだけでしょう? 話せなくても、少しくらい努力はするものよ』
『アメルのくせに、わたしに意見するの? どうしてそんな風に変わっちゃったの? やっぱりわたしが側にいないと、ダメな方向に行っちゃうのね』
まるで、アメルの教育をしていたかのような言い分だが、ただアメルを貶めることを楽しんでいただけだ。
それに、リディアはアメルを利用して、自分がいかに寛大かも見せつけていた。
『リディア、わたしは変わってないわよ。もし変わったと思うなら、あなたにはっきり意見を言える環境になったって事』
『どういうことよ。たかが、伯爵家の娘のくせに。それに、わたしに意見すれば、困るのはあなたの家よ?』
『昔からいつもそうよね、家の力を利用して、自分じゃあ何もしない。でも、アーバント帝国じゃあ、通用しないわよ』
ルングレム王国では、公爵令嬢の名は絶大な効果を持っていた。
だからこそ、女子生徒もリディアの機嫌を損ねるような事はしなかった。
そして、リディアの友人になれば、そのおこぼれをもらう事もできる。
しかも、リディアは王太子妃候補筆頭で、いずれ王太子妃になり、王妃になれば、リディアの友人たちも、ルングレム王国では安泰といったところ。
打算が大いにあっただろうが、アーバント帝国では、他国の爵位など関係ない。
もし、リディアが男子だけでなく、女子とも自ら友好関係を結ぼうとしたならばよかった。
しかし、彼女は女子の方から声をかけるのが当然という態度なので、おそらくこの先も仲良くなることはないとすぐに思いいたる。
『リディア、先日お父様から知らせがきたの。あなたがルングレム王国の王族の予算を勝手に使ったという容疑よ』
『なによそれ? そんな事するはずないわ』
確かに、リディアが王族の予算を勝手に使うことはできない。
普通ならば。
アメルは静かに説明した。
それは外から見れば、従妹であるアメルに会えたことを喜んでいるように見えたが、アメルはリディアの目が自分ではなくデリックに向かっていることにすぐ気づく。
何気なくディリスの方にも視線を向けると、彼はリディアの事は見ておらず、デリックを鋭く睨んでいた。
昼間の事を根に持っていそうだ。
それなのに、よくも堂々とやって来れたものだと、いろんな意味で感心した。
横にいるデリックから、何か禍々しい気配が漂ってきそうな雰囲気だ。
アメルとデリックは、二人の対面に座ると、リディアが目を輝かせた。
『アメル! 会えてよかったわ。お昼の事は許してあげるから、機嫌直して頂戴』
可愛らしく小首をかしげながら、挨拶もそこそこにリディアが話し出す。
アメルがリディアに対して、小さくため息をついた。
いかにも、会いたくなかったという雰囲気が出ていたのか、リディアは若干ムッとした様子だ。
『わたしが謝っているのに、どうしてそんな態度なの? デリック様からも、注意して差し上げて?』
デリックに上目遣いで頼むが、デリックは冷ややかにリディアを見下ろしている。
腕を組んで、ふんと鼻息一つであしらった。
「デリック・ノイマン! なんだその態度は! それに、お前リディアの言っている事を理解しているな? それなのに、ルングレム語で話さないとは」
「失礼、あまりにも馬鹿らしい内容でしたので、思わず顔に出てしまいました。それから、ここはルングレム王国ではなくアーバント帝国です。留学――勉強をしに来ているのなら、多少なりとも大陸共通語を話す努力をされるべきでは?」
リディアはルングレム語で話しかけているのにも関わらず、デリックは大陸共通語しか使わない。
しかし、発した言葉からリディアの言っていることはきちんと理解していることが分かる。
もちろん、リディアはデリックが何を言ったのか理解していない。
リディアは、アメルに通訳しろと目で訴えてきた。
『リディア、デリックは大陸共通語で話せって言っているわ。それは、わたしも同じよ。ここはアーバント帝国なのよ。話せもしないのに留学するなんて、周りに迷惑かけるだけでしょう? 話せなくても、少しくらい努力はするものよ』
『アメルのくせに、わたしに意見するの? どうしてそんな風に変わっちゃったの? やっぱりわたしが側にいないと、ダメな方向に行っちゃうのね』
まるで、アメルの教育をしていたかのような言い分だが、ただアメルを貶めることを楽しんでいただけだ。
それに、リディアはアメルを利用して、自分がいかに寛大かも見せつけていた。
『リディア、わたしは変わってないわよ。もし変わったと思うなら、あなたにはっきり意見を言える環境になったって事』
『どういうことよ。たかが、伯爵家の娘のくせに。それに、わたしに意見すれば、困るのはあなたの家よ?』
『昔からいつもそうよね、家の力を利用して、自分じゃあ何もしない。でも、アーバント帝国じゃあ、通用しないわよ』
ルングレム王国では、公爵令嬢の名は絶大な効果を持っていた。
だからこそ、女子生徒もリディアの機嫌を損ねるような事はしなかった。
そして、リディアの友人になれば、そのおこぼれをもらう事もできる。
しかも、リディアは王太子妃候補筆頭で、いずれ王太子妃になり、王妃になれば、リディアの友人たちも、ルングレム王国では安泰といったところ。
打算が大いにあっただろうが、アーバント帝国では、他国の爵位など関係ない。
もし、リディアが男子だけでなく、女子とも自ら友好関係を結ぼうとしたならばよかった。
しかし、彼女は女子の方から声をかけるのが当然という態度なので、おそらくこの先も仲良くなることはないとすぐに思いいたる。
『リディア、先日お父様から知らせがきたの。あなたがルングレム王国の王族の予算を勝手に使ったという容疑よ』
『なによそれ? そんな事するはずないわ』
確かに、リディアが王族の予算を勝手に使うことはできない。
普通ならば。
アメルは静かに説明した。
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※この作品は、旧作を加筆、修正して再掲載したものです。
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