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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】
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途中から、ロイ視点です。
翌日、日の出前に屋敷を出る。今回は、ロイさんとダンさんも一緒だ。
昨夜慌ててロイさんに相談したら、明日王都に出立するので、今日は少し強行軍で向かう。前回より、休憩が少ない。
馬には後で果物いっぱいあげるから。
大樹に着く頃には、酔ってぐったりしていたのは、許してほしい。マジ、三半規管鍛えよう。でも、どうやって?
大樹までロイさんに抱えられる。大樹の前に降ろしてもらい、左手で幹を触る。神樹のブレスレットを通してお話しだ。
「遅くなってごめんね。」
『待っていたよ。スライム倒してくれてありがとう。』
「スライム倒したのは私じゃないよ。この森を守りたい人達のおかげだよ。」
『感謝を伝えて。』
「わかった。魔力流すよ。」
右手も幹に添えて魔力を流す。傷ついた森を癒してほしいと思いを込めて。
金色に光出す。
秋の稲刈り前の田園風景を思い出す。
毎年のことだけど、夕日を浴びて稲穂が金色に輝いている風景が好きだった。傷ついた心を癒してくれた。
いつだって、花も木も私を癒してくれた。
恩返しができるなら、いくらでも魔力を流すよ。
周囲一面が金色に輝く。空気が神樹の深淵部にいるように変わる。
流石にみんなは驚く。深淵部を知っているロイさん、ダンさんが1番驚いていた。
もう、魔力がなくなりそうと感じたフラついた時、後ろから支えられた。
「ロイさん。ごめん。」
「お疲れ様。寝ていいよ。」
「ん、ありがとう。」
と、安心して、私は目を閉じた。
ーーーーーー
「ロイ様、アオイ様にこれを。」
ダンから毛布を受け取る。アオイを毛布で包む。
「しかし、深淵部のような空気感になりましたね。」
「ああ、これには驚いた。」
「シュバルツバルト公、深淵部とは、このような清々しくも濃密な場所なのですか?」
「そうだ。神樹しか出せない場所だ。…アオイのブレスレットを通して、神樹から力をもらったのかもしれない。」
「なるほど。」
「真偽は後でアオイに聞こう。今日はこのまま帰る。支度をしろ。」
「「「はっ!」」」
アオイを大樹の根元に寝かせて、支度をする。
皆、準備ができたのを確認して、一斉に大樹に拝礼をする。
アオイを抱えて馬に乗ろうとした時に、フェンリルが現れた。
騎士は一瞬剣を抜こうとしたが、俺の合図で動きを止める。
「シュバルツバルト公、多分彼は、」
「アオイから聞いている。」
俺はアオイを抱えたまま、拝礼をとる。ダン達もそれに倣らう。
「がう。」
アオイに何かを伝える。
フェンリルはアオイに会いに来たらしい。
だが、アオイは寝てしまっていた。俺は、伝言役にもならないが、
「あなたがアオイに会いに来てくれたことは伝えておきます。」
とだけ言う。
「がう。」
『森を守ってくれて、ありがとう。』
と聞こえた。すぐに理解できなかったが、フェンリルの眼が優しかった。
フェンリルは踵を返すと、あっという間にいなくなった。
魔獣を狩る俺が、魔獣にお礼を言われるとは、思ってもいなかった。
この後は、アオイが寝ていたのもあり、気を遣わず、馬を駆けた。
行きは上下の揺れで気持ち悪くなり、顔が真っ青になっていた。
騎士達も流石に具合の悪いアオイを気の毒そうに見ていたから。
途中休憩を入れたが、まだ目が覚めない。
「ロイ様も少し召し上がってください。」
「ああ。」
アオイを抱きしめたまま、俺は何も食べていなかったことに気が付かなかった。
ダンからサンドイッチをもらい食べる。
「相変わらず、アオイ様の金色の魔力は綺麗ですね。」
とダンが言う。
「これだけ魔力量が多くて、攻撃魔法も展開が速くて、治癒魔法も完璧なので、魔法士になれそうなんですが、防御魔法だけはあまり上手くできないんですよ。」
とグランダル令息が言う。
アオイも防御魔法は苦手と言っていた。
カイリの『自己犠牲』と言う言葉も気になっていた。
「アオイは、自分が我慢をすれば、物事が上手く収まるという節があるのかもしれない。自分を守るということをあまり知らないのかもしれない。」
「「……。」」
「アオイは自分からは話さないから、カイリの言葉から推察しただけだが。」
「カイリさんはアオイ様を近くで見ていたから、そう見えたんでしょうね。」
「その、カイリさん?は、令嬢とどう言う関係ですか?」
ダンと顔を見合わせる。ダンは私からは言えません。と目線で言う。
「誓約魔法を使わないといけないところだが、令息を信用して教えよう。」
「…わかりました。ありがとうございます。」
「カイリはアオイの息子だ。私達がカイリに会った時は26歳だった。」
「……えっ?令嬢は、17歳だと、」
「こちらの世界に来る時に若返ったそうだ。向こうでは、40過ぎていたらしい。」
翌日、日の出前に屋敷を出る。今回は、ロイさんとダンさんも一緒だ。
昨夜慌ててロイさんに相談したら、明日王都に出立するので、今日は少し強行軍で向かう。前回より、休憩が少ない。
馬には後で果物いっぱいあげるから。
大樹に着く頃には、酔ってぐったりしていたのは、許してほしい。マジ、三半規管鍛えよう。でも、どうやって?
大樹までロイさんに抱えられる。大樹の前に降ろしてもらい、左手で幹を触る。神樹のブレスレットを通してお話しだ。
「遅くなってごめんね。」
『待っていたよ。スライム倒してくれてありがとう。』
「スライム倒したのは私じゃないよ。この森を守りたい人達のおかげだよ。」
『感謝を伝えて。』
「わかった。魔力流すよ。」
右手も幹に添えて魔力を流す。傷ついた森を癒してほしいと思いを込めて。
金色に光出す。
秋の稲刈り前の田園風景を思い出す。
毎年のことだけど、夕日を浴びて稲穂が金色に輝いている風景が好きだった。傷ついた心を癒してくれた。
いつだって、花も木も私を癒してくれた。
恩返しができるなら、いくらでも魔力を流すよ。
周囲一面が金色に輝く。空気が神樹の深淵部にいるように変わる。
流石にみんなは驚く。深淵部を知っているロイさん、ダンさんが1番驚いていた。
もう、魔力がなくなりそうと感じたフラついた時、後ろから支えられた。
「ロイさん。ごめん。」
「お疲れ様。寝ていいよ。」
「ん、ありがとう。」
と、安心して、私は目を閉じた。
ーーーーーー
「ロイ様、アオイ様にこれを。」
ダンから毛布を受け取る。アオイを毛布で包む。
「しかし、深淵部のような空気感になりましたね。」
「ああ、これには驚いた。」
「シュバルツバルト公、深淵部とは、このような清々しくも濃密な場所なのですか?」
「そうだ。神樹しか出せない場所だ。…アオイのブレスレットを通して、神樹から力をもらったのかもしれない。」
「なるほど。」
「真偽は後でアオイに聞こう。今日はこのまま帰る。支度をしろ。」
「「「はっ!」」」
アオイを大樹の根元に寝かせて、支度をする。
皆、準備ができたのを確認して、一斉に大樹に拝礼をする。
アオイを抱えて馬に乗ろうとした時に、フェンリルが現れた。
騎士は一瞬剣を抜こうとしたが、俺の合図で動きを止める。
「シュバルツバルト公、多分彼は、」
「アオイから聞いている。」
俺はアオイを抱えたまま、拝礼をとる。ダン達もそれに倣らう。
「がう。」
アオイに何かを伝える。
フェンリルはアオイに会いに来たらしい。
だが、アオイは寝てしまっていた。俺は、伝言役にもならないが、
「あなたがアオイに会いに来てくれたことは伝えておきます。」
とだけ言う。
「がう。」
『森を守ってくれて、ありがとう。』
と聞こえた。すぐに理解できなかったが、フェンリルの眼が優しかった。
フェンリルは踵を返すと、あっという間にいなくなった。
魔獣を狩る俺が、魔獣にお礼を言われるとは、思ってもいなかった。
この後は、アオイが寝ていたのもあり、気を遣わず、馬を駆けた。
行きは上下の揺れで気持ち悪くなり、顔が真っ青になっていた。
騎士達も流石に具合の悪いアオイを気の毒そうに見ていたから。
途中休憩を入れたが、まだ目が覚めない。
「ロイ様も少し召し上がってください。」
「ああ。」
アオイを抱きしめたまま、俺は何も食べていなかったことに気が付かなかった。
ダンからサンドイッチをもらい食べる。
「相変わらず、アオイ様の金色の魔力は綺麗ですね。」
とダンが言う。
「これだけ魔力量が多くて、攻撃魔法も展開が速くて、治癒魔法も完璧なので、魔法士になれそうなんですが、防御魔法だけはあまり上手くできないんですよ。」
とグランダル令息が言う。
アオイも防御魔法は苦手と言っていた。
カイリの『自己犠牲』と言う言葉も気になっていた。
「アオイは、自分が我慢をすれば、物事が上手く収まるという節があるのかもしれない。自分を守るということをあまり知らないのかもしれない。」
「「……。」」
「アオイは自分からは話さないから、カイリの言葉から推察しただけだが。」
「カイリさんはアオイ様を近くで見ていたから、そう見えたんでしょうね。」
「その、カイリさん?は、令嬢とどう言う関係ですか?」
ダンと顔を見合わせる。ダンは私からは言えません。と目線で言う。
「誓約魔法を使わないといけないところだが、令息を信用して教えよう。」
「…わかりました。ありがとうございます。」
「カイリはアオイの息子だ。私達がカイリに会った時は26歳だった。」
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