ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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ぴちょん。……ぴちょん。……ぴちょん。

水の音。水道を閉め忘れたかと、辺りを見回せば、水の上。溺れる!って、身構えてみたけど、よく見れば、水の深さが10cmもないから、水の上にいるみたいに見える。

また変な夢を見ているようだ。

空は青空。水面に空が映り込んで、幻想的な世界を作る。
1度は行きたい世界一有名な塩湖みたいだ。

でも、この水音は?と、思い、音のする方を見る。

小さな男の子が傷だらけで血を流し立っている。血が水面に落ちる音だった。

「大丈夫?!」

と、駆け寄ろうするが、足が動かない。地面に足が縛られているようだ。

「なんで動けないの?助けなくちゃ!」

それでも足が動かない。私がもがいていると、男の子は目の前に来ていた。

「おまえが来たせいだ。」

男の子は、私に言う。

「おまえが来たせいで、俺が死ななくちゃいけないんだ!」

「な、何を言って、いるの?」

意味がわからない。

「おまえのせいだ!!」

男の子が叫ぶと、空にヒビが入り、パラパラ壊れていく。地面も崩れていく。

私は暗闇に落とされる。

落ちていく中、男の子と目が合う。

血涙を流し、私を睨んでいた。

意味が本当にわからない。

ただ、幻想的な世界を破壊するものは、どこの世界にだって、存在する。

彼にとっての破壊者は、私のようだ。

それだけは理解できた。













今日は、気分転換にと近くの湖にロイさんと来ました。
ここ1週間探し回っているけど、スライムは中々見つからなかった。痕跡もなく、手掛かりがなかった。

スライム探し中に綺麗な湖を見つけたから、アオイに見せたいって、ロイさんが言ってくれて、休みに行こうとなりました。

グランダル先輩に聞けば、観光名所とも呼ばれている湖のようだ。

久しぶりのお休みである。
お弁当を作ってもらい、ピクニック気分で向かう。
シートとお弁当を持って出発!!と思いきや、馬車に色々荷物を載せている。
マリアさんに聞くと、貴族のピクニックは、平民と違って支度が多く、使用人もそれなりの人数を連れて行くのがステータスだそうです。

のんびりできそうもないので、ロイさんにデートしたいとお願いをして、シートとお弁当を持って、二人きりで馬で出掛けることになりました。
ロイさんと初デート!!です。

ロイさんがくれたポンチョを被り、颯爽と馬で駆けていく。後ろにロイさんがしっかり抱きしめてくれているが、上下の揺れが酷い。舗装されていない道は、結構キツイ。

湖に着くころには、マーライオン1歩手前まできていた。三半規管鍛えよう。

馬を木に繋ぎ、シートとお弁当を持って、湖岸近くに移動する。日本みたいに、土産物屋とか、露店とかはないが、家族連れや若いグループがちらほらといた。

大きな木の下にロイさんがシートを敷き、横になるように言われる。

「顔色悪いから、少し休もう。」

と、膝枕をしてくれた。でもロイさんの腿、筋肉で硬いし、体格いいから枕が高くて、全く休まらなかった。

ポンチョのフードは被ったままだけど、フードの上から頭を撫でられる。

ロイさんは割に世話焼きのところがある。末っ子だからか、年下のお世話をしたい願望があるみたいだ。

気持ち悪さもなくなってきたので、湖の近くまで見に行きたいと伝える。荷物はそのままに、ロイさんと手を繋いで歩く。手を繋ぐのも初めてだ。

「今日は、二人の初めてが多いね。」

なんて言ったら、すっごい良い笑顔で返してくれた。

デートとかすっ飛ばして、婚約したし、セッ……もしたし。健全ではなかったね。

でも、こうやって二人っきりというのも、嬉しい。手を繋いで、歩調を合わせて歩く。穏やかな時間が好きだなと思う。
ロイさんの顔を窺うように見上げれば、優しい眼で私を見ていて、すごく嬉しくなった。
同じ気持ちになっていてもらえたら、なお嬉しいなと思った。

そろそろシートに戻り、お弁当を食べようと、来た道を戻る。

突然、ざわっと、悪寒が走る。ロイさんも目つきが鋭くなる。

「ロ、ロイさん。」

「アオイ、掴まっていろ!」

と、抱き上げ、走り出す。ロイさんの首に腕を回し、必死に掴まった。
更に悪寒がする方にとロイさんは進む。私は、怖くて必死にしがみついている。

少し開けた場所に、1人の男の子がいた。
いや、男の子の形を何かだった。



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