ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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コンコンとドアをノックされる。メイさんが対応に出る。ロイさん達だった。

「アオイ、辺境伯と話し合いをするんだが、今大丈夫か?疲れてないか?」

「大丈夫ですよ。行けます。」

と、家令に案内され、ロイさん達と辺境伯の元に向かう。
立派な応接室に通され、辺境伯とグランダル先輩が待っていた。

おおまかな説明は、ロイさんがしてくれた。ただ、誰もまだ見たことがないスライムだから、捕まえるにも、倒すにも方法が分からない。まず見つけることから始めないとだし。
辺境伯とロイさんが領兵を率いて、捜索をすることになった。
私は、大樹の方を元気にする方法を見つけたいので、大樹の元に通うことになった。私とグランダル先輩と護衛騎士で通う。

「アオイ、何かあったらすぐに知らせるんだ。」

ロイさんの心配症がでた。

「わかりました。」

「対処は、グランダル令息の指示に従って、1人で突っ走らないで欲しい。あと、」

「…ロイさん、お父さんみたい。」

ブホッと、ダンさんとグランダル先輩が笑い出した。辺境伯は居た堪れない顔をしている。

「大丈夫です。子供じゃないんだから。」

「アオイの大丈夫は、大丈夫じゃないから!」

と、笑いながらダンさんとグランダル先輩は、ロイさんの言葉に頷く。

「シュバルツバルト公、令嬢を暴走させないように、頑張ります。」

と、グランダル先輩が言う。
この4日間で妙な連帯感が3人の間に芽生えたらしい。

なんだか、解せぬ。







私達が部屋を退出した後、親子の会話があったようだ。

「エドワード、婚約を申し込んだ相手は彼女で間違いないか?」

「間違いないです。授業で魔力量の多さがわかったので、辺境伯の嫁として相応しいと思いました。」

「そ、そうか。」

「ただ、性格まで知らなかったのです。彼女の突飛な行動に、4日間驚かされっぱなしでした。私には、彼女を諫めるのは無理でしたから、断られて良かったかもしれません。」

「……他に打診するような相手はいなかったのか?」

「はい。辺境まで来てくれそうな方はいませんでした。」

「わかった。婚約者の選定は、私の方で卒業までにしておく。いいな。」

「ええ、お任せします。」

結婚相手は、領地の為になる人なら誰でもいいと思ったが、卒業をしたら、もう彼女の言動が見られなくなるのは、少し寂しいと思った。



 


その後、辺境伯夫妻と先輩とロイさんと私で、静かな晩餐会となった。
王宮にいるときは、誰かしらが話題を振り、にぎやかに食事が進んでいくが、会話せず食事をするのは、なんとも味気ないものだった。

食事を終え、サロンへと案内されたが、旅の疲れもあるので、今日はもう休むと伝えた。ロイさんも私について退出をした。



廊下を少し歩いたところで、グランダル先輩に声を掛けられた。

「うちの両親が失礼な態度で、すまない。」

「気にしないでください。どうせ、勝手な憶測で絶世の美女だと勘違いされて、実物はお子様だったと認識されたのでしょう。全く、私は気にしていません。ええ、まっったく。」

「「……。」」

何とも言えない雰囲気になってしまった。

「そ、それで明日のことだけど、大樹の場所がここよりだいぶ離れていて、日の出とともに出発しないと、帰りが夜半過ぎになってしまうんだ。朝早いけど、大丈夫かな。」

「わかりました。日が昇る前には、起きて準備すればですね。」

「はい、よろしくお願いします。シュバルツバルト公、私を信頼していただき、ありがとうございます。しっかり、お守りさせていただきます。」

「色々大変だろうが、頼む。」

2人、しっかりと握手を交わす。

「…色々大変って、どういう意味ですか?」

2人は、バッと顔を背ける。

「さ、さあ、アオイ、明日は早いから、休もうか?」

「で、では、私は失礼します。良い夢を。」

と、強制的に部屋に戻らされ、マリアさんにさっさと寝支度をさせられて、就寝した。




なんか、連携プレイに磨きがかかってきていない?







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