ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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馬車は順調に進み、4日目には無事領都に着いた。そこから少し離れたところにある、グランダル先輩の家に向かう。

屋敷は少し高台に建てられていて、堅強な造りをされていた。魔獣が溢れるスタンピードに備えて、領民が避難できるように高台に造られたと言っていた。

シュバルツバルトは、スタンピードは片手くらいしか起こったことがないけど、時折ものすごく強い魔獣が出てくるらしい。
下手な貴族が魔獣を倒して、英雄扱いされ、力をつけられるよりも、王族として国民を守ることは当たり前とした方が、政治的に考えれば、国民は王家に支持するだろう。シュバルツバルトは、だから、王族が管理するのだ。

玄関では、グランダル先輩のご両親が出迎えてくれた。馬車から降りて、ロイさんと伯爵が挨拶を交わし、私を紹介してくれる。グランダル先輩が婚約を打診したこともあり、さぞや美人と思われていたらしいが、思い描いていた女性像と違ったようで、ちょっとご両親の顔が引き攣っていた。後ろから、グランダル先輩の溜息も聞こえた。
勝手な想像で、期待している方が悪い!

長旅で疲れているからと、部屋に案内される。マリアさんと荷解きをして、もう一人の侍女のメイさんが、お茶の準備をしてくれる。

「お湯をいただきに行った時に、アオイ様が絶世の美女じゃなかったと話題になっていたんです。グランダル令息を袖にして、公爵様を選ばれたから、絶世の美女だと思われていたみたいで。」

と、メイさんが話す。

「アオイ様ほど可愛らしい方はいらっしゃらないのに。」

と、マリアさんは言う。それは、褒め過ぎです。

「でも、なんでロイさんに選ばれるのは絶世の美女じゃないといけないの?」

「アオイ様、ご主人様は、王弟殿下で、公爵で、美形で、体格も良く、剣もお強い。となれば、隣に並び立てるのは、絶世の美女ではないかと思われても仕方ありません。」

「まあ、ロイさん格好良いもんね。そんなロイさんが選んだのが私じゃ、文句も言いたくなるわね。」

「…。」

マリアさんの怒りオーラがビシビシ伝わる。

「マリアさん、そんなに怒らないでよ。いや、私の為に怒ってくれるのはありがたいけど。でも、私、陛下たちに認めてもらったから、他が何言おうと気にしないよ?ロイさんの家族が反対したのなら、認めてもらえるように頑張るけど、でも、他人が言うことには一々反応してやらないんだから。」

「そうですね。ロイ様が選んだのは、アオイ様です。」

「あっ、でも、ここにいる間、マリアさんやメイさんが嫌がらせされたら、ちゃんと言ってね。…倍返しにするから。」ニンマリ

「「アオイ様!」」





ドア越しに話を聞いていたロイさんとダンさん。

「ロイ様、良かったですね。」

「ああ。」

兄上達が反対したら、認めてもらうために頑張ってくるとの言葉は嬉しかった。

でも、兄上に説教までできるのは、アオイしかいないから、反対はしないと思う、というか反対できないと思う。



「倍返しって、2倍や3倍でなく、100倍返されそうですね。」

と、ダンさんは苦笑していた。
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