ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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「アオイ、起きれる?」

ロイさんの声で目が覚めた。

「あれ、私。」

「泣き疲れて寝てた。でも、もう夕方になるから、起こしたよ?晩餐はみんなで食べるんだろ?」

「うん、明日ロイさんが戻るから。」

「マリア呼ぶから、支度しよ?」

「ん。」

「…体調悪い?」

「大丈夫。泣き過ぎて、少し頭痛いだけ。お水飲んだら、多分治る。」

「無理しないでね?」

と、頬にキスをして、マリアさんを呼びに行った。

まだ頭がぽわぽわしている。息子に会えたことが夢だったかのような。
サイドテーブルにスマホが置いてある。
ちゃんと、会えたんだ、夢でなくて良かった。と実感した。

マリアさんに連れられて、湯浴み、支度としていく。
泣き過ぎて、目の周りが少し腫れ気味だから、冷やしてくれた。
マリアさんに息子に会えたことを伝えると、『良かったですね』と優しく微笑んでくれる。『あとで写真見せるね』と言うと、『楽しみにしています。』と言ってくれた。

晩餐会場に着けば、ヴィー様やリー様が心配してくれた。晩餐会が終わったら、後で写真を見せるね?と伝える。
食事のマナーとしてはおしゃべりは厳禁だが、今日はみんな何かしら話して、和やかな雰囲気で食事が進んだ。
食事が終われば、サロンに行き、みんなに前の世界の写真を見せる。

陛下やジークハルト王太子殿下は、

「アオイの息子は、アオイに似ず、礼儀正しかった。」

「アオイに似ず、好青年だった」

と、言うので、

「似てないって言うな!」

と怒ってしまった。

コンラッド殿下は、

「これが前に話していた『カメラ』というものなのか?」

「そう、ここにレンズがあって、被写体にピントを合わせて撮るの。」

私は、コンラッド殿下と隣に座っていたリー様を撮った。

「撮ったのが写真で見れるの。」

私が撮った二人の写真の画面を見せる。

「これが、私と兄様なの!」

「専用の機械があれば印刷して、紙に残せるんだけどね?今はないから、見るだけになってしまうけど。」

「これはいいな!やっぱり、魔道具で作ってもらおう!」

「ですよね?」

私と、コンラッド殿下でカメラの製作で話が盛り上がる。

そんな私とコンラッド殿下に妬いたのか、ロイさんが、私の肩に頭をぐりぐりしてくる。

「ちょ、ロイさん、擽ったい。…やめ、やめてって!」

私はペシっと頭を叩いた。ロイさんは、動きを止めたと思ったが、私を抱えたまま立ち上がり、

「私達は宮に戻る!」

と言って、サロンから連れ出された。





突然のことで、殿下3人はびっくりした。

「あらあら、コンラッドに妬いたのかしら?」

「…だけではなさそうだけど。」

のんびり言うヴィー様と、ニマニマしている陛下。

「お母様、アオイは叔父様に怒られるの?」

「大丈夫よ?リー。ちゃんと仲直りするわよ。」

「そっか、良かった。叔父様はアオイ大好きでも、兄さまに嫉妬するのは変よ!」

「まだね、ロイは余裕がないからね。」

と、陛下がロクサリーヌに教えてくれる。

「だって、そうなると、お父様は、お母様がお兄様と兄様と話すたびに嫉妬しちゃうわ。でもお父様はしないでしょ?お父様は余裕があるから?」

「ロクサリーヌは、頭良いな。」

と、頭を撫でる。

「男はね、好きな人には嫉妬深くなるものだよ。だから、他の男と話すだけで嫉妬しちゃう生き物だ。仕方がないことだ。」

「そうなのね。私も将来、婚約者が出来たら、嫉妬してくれるのかしら?」

「!!リーはまだ、誰にもやらないから!」

と、陛下はロクサリーヌをぎゅうぎゅう抱きしめる。ヴィー様はあらあらと微笑ましそうに見ている。

「コンラッドよ。」

「何ですか?兄上。」

「家系的に嫉妬深いそうだぞ。」

「…叔父上の前では、なるべく距離を取ります。……アオイが学園であれだけやらかしているのを何とか収めているのに、叔父上から嫉妬されるのは理不尽です。」

「…確かに。父上に頼んで、叔父上にコンラッドの風当たりを弱めてもらえるように伝えよう。」

「…ホント、理不尽。」

ジークハルト王太子殿下が慰めるように、頭を撫でてくれる。

コンラッド殿下の気苦労は、まだまだ続きそうだった。




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