ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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大神官、神官が揃い、婚約式は滞りなく終わった。
この後は、全員で昼食会となる。

ちなみに教会に着いた、大神官達が最初に目に入ったのが、子供に説教を受けている大人(1人はこの国の王様)に驚いていた。何も知らなければ、そうだろう。
ロイさんに宥められた私が落ち着いてから、式は行われた。

みんなで移動となった時、祭壇に飾られている水晶柱の前に光の粒子が集まりだす。(この世界は、神像はなく、水晶柱が神像の代わりらしい。)段々、光が人の形に形成されていく。大神官達ももちろん、陛下以下も初めて見る光景だった。
光で形成された人物は、私がよく知っている人物だった。

凱吏かいり!」

ロイさんと繋いでいた手を離し、名前を呼び、駆け寄った。



ボーっとしている凱吏に近づく。スーツにビジネス鞄の姿だった。

「ここ、どこ?…えっ、か、あさん?」

「うん。」

「俺、…死んだの?」

「いや、わからない。」

「いや、死んだでしょ?だって、死んだ母が目の前にいて、しかもなんか若返っているし、着ている服白いし!」

「いや、わからんって。」

「玄関開けた記憶までしかないんだけど!過労死?過労死なのか?!」

「落ち着け!」

と、チョップを頭にくらわす。

「いってぇ!」

「ちょっとは落ち着いて、状況把握しなさい!」

「…うん。…ほん、とうに、かあさん、なの?」

「うん、うん。」

と、凱吏と抱き合う。

よくわからない状況に全員が見ているしかなかったが、アオイが知らない男と抱き合いだしたので、ロイは、ハッと我に返り、すぐに引き剥がした。

「アオ「ロイさん!これ、息子なの!もう会えないと思ったのに、会えたの!」

「「「息子!!」」」

ロイさんに引き剥がされた息子、凱吏は尻もちをついてぽかんと口を開けていた。



教会だといつまでも話が進まないので、別室に移動した。
全員だと大人数の為、私、凱吏、ロイさん、ダンさん、陛下、ジークハルト王太子殿下で話を聞くことになった。他は昼食会へと行った。

みんながソファに座り、紹介した。

「息子の凱吏です。今何歳だっけ?」

「崎本凱吏です。26になります。」

「26?!大学は?」

「きちんと卒業して、就職したよ。母さんが死んで、5年経っているんだよ?」

「マジ?!」

「マジ。で、なんでそこに座っているの?」

いつも通りにロイさんの膝の上に座っていることを指摘された。

「定位置?」

「説明!」

「はい!」

異世界転移から今までの流れを全て説明した。
凱吏は真面目に聞いてくれた。
ロイさん達も紹介した。
向こうでは、転移して5年経っていた。私は、こちらに来て、半年経ったくらいなのに。
ロイさんの膝の上から降りて、普通に座れと怒られた。

「大体把握した。保険金ありがとう。真央と奈央も無事専門学校行けたし、俺も大学卒業できた。今みんな働いている。」

「ごめんね。死んだことにしないと、保険金出ないから。それにもう戻れないと思ったし。」

「…本当、それ。母さんは自己犠牲し過ぎ。おれらのことばっかり優先してさぁ。…親父死んだよ。アルコールで肝臓やられて。」

「…そっか。」

「ずっと母さんの名前呼んでいた。あの人も大概不器用だったから。」

「うぇー、それはないでしょ?」

「はぁぁ、本当に気付かなかった?親父も母さんも口開けばケンカ腰で言い合いして、お互い求めるレベルは高くて、そっくりだったよ。」

「……。」

「同族嫌悪だったかもしれないけど、一度くらいきちんと話し合ってみればよかったのに。…まあ、今更か。……ところで、俺って異世界転移なの?」

「わからない。落とし穴に落ちたわけでもないのに、ね。」

「なう。」

と、部屋に突然神獣が現れた。




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