ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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途中から視点がロイに変わります。






目が覚めたら、知らない天井だった。寮でも、屋敷でも、お城でも、見たことない天井だった。

ベッドで寝ていた。隣から寝息が聞こえてきたので見たら、ロイさんが寝ていた。
学園に迎えにきたのが夢ではなかったようだ。
多分、仕事を急いで片付けて来てくれたんだろう。
お疲れ様とありがとうを込めて、おでこにキスをする。

「…アオイ?」

おでこのキスで起きたようだ。

「ロイさん、ありがとう。」

「遅くなって、すまない。」

「っ、遅くないよ、来てくれただけでも、嬉しい。」

布団の中で、もぞもぞ動いて、ロイさんにくっつく。

「ロイさんの心臓の音、落ち着く。」

ロイさんがぎゅうっと抱きしめてくれる。

「もう少し、寝ようか?まだ、顔色が悪い。」

「…私が寝ても、離れないでね?」

「ああ、今日はずっと抱きしめている。」

ロイさんの言葉に安心した私は、またすぐに眠ってしまった。





ーーーーーー


ロイは、アオイがまた完全に寝たのを確認してから、ベッドを降りて、寝室から出る。

「ダン。」

「資料はこちらに。」

机に、調査報告書が積まれていた。ロバートは、見計らったように、お茶を出す。

「兄上からは?」

「ほぼ上位貴族なので、取り潰しは勘弁してもらいたいと。」

「ふーん?なら、1番マナーがなっていない家門を見せしめ、ということかな?」

「まぁ、招待状と声掛けだけであれば、妥当かと。」

「アオイは、身分的には王族扱いと、通達は出されたよね?」

「学園入学前には、上位貴族には通達されました。」

「後見人の俺が舐められているのか?」

「いえ、ロイ様ごと取り込みたい考えでしょう。あなたが誰かと婚約、ましては結婚なんてするはずがないと思われていましたので。」

「ああ、そうだったな。…シュトローム公爵かな?」

報告書には、シュトローム公爵家家門がひっきりなしに、突撃していると書かれてあった。

「…懲りませんねぇ。」

ダンが言う。学園時代、ダンを女性嫌いにさせた家だ。当時、この家の姉妹2人がダンを取り合いにしたが、巻き込まれたダンは、それ以降女性嫌いとなった。今度はアオイを次期当主の息子の嫁にと。

「…ダン、ロバート。」

「陛下に、報告書をあげておきます。」

「婚約式の準備を急がせます。」

「頼んだ。今日はもうアオイといるから、軽食だけ頼む。」

「アオイ様のお身体は?」

「心労であまり寝ていなかったようだ。食も細くなったとマリアから聞いていたし。今は寝て、食べさせてやることしかできない。」

「かしこまりました。アオイ様の好きなものを用意しておきます。」

「アオイ様が好きなお菓子は、買っておいたから、起きたら食べさせてください。」

「渡しておく。しかし、お前らもアオイが好きなんだなぁ。」

ロイは呆れたように言う。

「いや、だって、面白いじゃないですか?ロイ様に蹴りを入れる女性なんて、他にいないですし。」

「そうですね。ロイ様が困った顔をされるのは、初めて拝見できましたし。」

「~~~。」

まるでアオイに遊ばれているロイの姿をみるのが楽しいみたいな言い方で、ロイは頭を抱えた。

「では、早速動かさせていただきます。」

と、2人は礼をして退室した。

ロイも、あらかた報告書に目を通してから、寝室に戻った。


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