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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】
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陛下に謁見がかなったのは、寮に戻る1週間前だった。今回は、内密の話ということで、陛下、宰相、ジークハルト王太子殿下の3人との会談となった。
「神樹が是非、陛下に伝えてほしいことがあると言っていたことがありまして。」
と前置きをする。
「実は、砂漠化が進んでいる箇所は、魔獣のせいだとお伝えしたのですが、その魔獣は人為的に作られた生物だそうです。それらが通った後は、草木はもちろん、土の魔力すら全て食い尽くされるそうです。土自体も力をなくしてしまうから、草木も生えてこなくなるそうで。」
「そ、それはどんな魔獣なのか?」
と、陛下に問われた。
「スライムです。」
ジークハルト王太子殿下が、
「スライムって、川辺とかにいる、冒険者なりたてのものが倒す弱い魔獣のことか?」
「スライムをバカにしてはいけませんよ?神樹の話ではスライムは森のお掃除屋さんなんです。土で分解できないものとか、汚れたところとかを綺麗にしてくれます。だから、川の水も綺麗なんですよ?ただ、そのスライムは、何でも食べてしまうんです。草木も魔獣も魔力も。」
「それがなぜ?」
「人為的に作られたという話ですが、偶然の産物か、そういう研究の末に作られたかはわからないし、人物の特定はできないので、陛下の方で調査、処罰をしてほしいそうです。悪食・暴食が過ぎれば、周辺国にも影響が出ます。この国の神樹は、まだ魔力の相性が良い私がいますが、他の国では、神樹自体が枯れてしまい、国全体が砂漠化して、歴史から消えることもありえます。」
「…カイル。」
「直ちに、調査隊を結成します。ただ、騒ぎになると困りますので、影を使います。」
「うむ、頼んだ。」
私の手書きの地図を拡げて、
「大体出現箇所が、今確認できているのは、シュバルツバルト、グランダルですよね。これ、簡単に描いた地図なんですが、場所的に正反対なのに砂漠化の状況は、同じようです。そうなると自国の問題だけでもなさそうな気がして。」
「なるほど、それも加味して調査しましょう。」
「はい、よろしくお願いします。」
宰相は、編成の企画書を作ると言って、部屋を出ていった。
陛下とジークハルト王太子殿下と私が部屋に残った。
陛下はおもむろに、
「アオイは、いつ結婚式を挙げるのだ?」
と聞いてきた。
落ち着いたところで、お茶を一杯と口に含んだ瞬間に聞かれて、思わずブフッと吹き出してしまった。
「汚い!」
ジークハルト王太子殿下に怒られる。だって今のは、不意打ち過ぎて、吹いちゃったよ。
「失礼致しました。予定はございません。」
「ロイは遊びか?」
お兄ちゃん、おこですか?
「遊びではありません。真剣なお付き合いでございます。ただ、誰に聞いていいのかわからなかったのですが、私は前の世界で結婚していました。こちらの世界で、ロイさんとお付き合いするっていうことは、浮気・不倫に抵触するのですか?あちらの世界には戻れませんし、死亡扱いもされているはずです。向こうでは、死別になりますね。でもこちらだとどうなるんですかね?」
「んんー?どうなる、ジーク?」
「私では、わかりませんよ?そこは、王としての采配で、お願い致します。」
「んー、向こうで死別だけど、別れているということになっているなら、浮気でも不倫でもないような?体も若返ったし、向こうに戻れないのであれば、処罰の対象にはならない。と思う。」
「父上がそう仰るなら、そういうことになります。でも、学園辞めてすぐに式を挙げるかと思ったぞ。」
「いやいや、すぐに挙げませんて。きちんと3年間学園に通います。」
「そうなのか?」
「やっぱり、ロイは…。」
「遊びでないです。ただ、私が怖いんです。旦那という存在が。前の世界では、あまり良い扱いをされなかったので。ロイさんにも話してあります。ゆっくりでいいって言ってくれました。だから、すぐに式を挙げるとかはないです。」
「……。わかった。ロイがそう言うなら、そうしよう。ただ、婚約くらいはしてもらいたい。そうしないと、色々面倒というか厄介というか、な?」
「アオイ、とにかく婚約して欲しい。お前がいない間に、グランダルだけでなく、他の上位貴族からも釣書が届いて。夜会でも紹介してくれと、断るのも面倒で。」
『面倒』言っちゃっているよ、この人達。
「でも、婚約なんてしたら、世の貴族女性に恨まれるの私ですよ?」
「アオイ、『異世界あるある』だ!」
いい笑顔で言うな!
「そんな『あるある』ないです。……まあ、そこら辺は、ロイさんにお任せします。私は、ここでのやり方とかはわからないので。ただ、だまし討ちで結婚式も纏めてしたら、引き籠ります。そして、陛下と殿下に毎日、タンスに足の小指をぶつけますように祈ります!」
握りこぶしを作って、呪い?のようなお祈りをすると伝えた。
「ま、まあ、ロイとやり取りして決めてくれ。」
「ジーク、あの子怖い。」
「父上、私もです。」
「義妹になるのか……。」
「……頑張ってください。母上は喜びそうですが。」
「…だよなあ。」
アオイは、そんな親子の会話は知らない。
「神樹が是非、陛下に伝えてほしいことがあると言っていたことがありまして。」
と前置きをする。
「実は、砂漠化が進んでいる箇所は、魔獣のせいだとお伝えしたのですが、その魔獣は人為的に作られた生物だそうです。それらが通った後は、草木はもちろん、土の魔力すら全て食い尽くされるそうです。土自体も力をなくしてしまうから、草木も生えてこなくなるそうで。」
「そ、それはどんな魔獣なのか?」
と、陛下に問われた。
「スライムです。」
ジークハルト王太子殿下が、
「スライムって、川辺とかにいる、冒険者なりたてのものが倒す弱い魔獣のことか?」
「スライムをバカにしてはいけませんよ?神樹の話ではスライムは森のお掃除屋さんなんです。土で分解できないものとか、汚れたところとかを綺麗にしてくれます。だから、川の水も綺麗なんですよ?ただ、そのスライムは、何でも食べてしまうんです。草木も魔獣も魔力も。」
「それがなぜ?」
「人為的に作られたという話ですが、偶然の産物か、そういう研究の末に作られたかはわからないし、人物の特定はできないので、陛下の方で調査、処罰をしてほしいそうです。悪食・暴食が過ぎれば、周辺国にも影響が出ます。この国の神樹は、まだ魔力の相性が良い私がいますが、他の国では、神樹自体が枯れてしまい、国全体が砂漠化して、歴史から消えることもありえます。」
「…カイル。」
「直ちに、調査隊を結成します。ただ、騒ぎになると困りますので、影を使います。」
「うむ、頼んだ。」
私の手書きの地図を拡げて、
「大体出現箇所が、今確認できているのは、シュバルツバルト、グランダルですよね。これ、簡単に描いた地図なんですが、場所的に正反対なのに砂漠化の状況は、同じようです。そうなると自国の問題だけでもなさそうな気がして。」
「なるほど、それも加味して調査しましょう。」
「はい、よろしくお願いします。」
宰相は、編成の企画書を作ると言って、部屋を出ていった。
陛下とジークハルト王太子殿下と私が部屋に残った。
陛下はおもむろに、
「アオイは、いつ結婚式を挙げるのだ?」
と聞いてきた。
落ち着いたところで、お茶を一杯と口に含んだ瞬間に聞かれて、思わずブフッと吹き出してしまった。
「汚い!」
ジークハルト王太子殿下に怒られる。だって今のは、不意打ち過ぎて、吹いちゃったよ。
「失礼致しました。予定はございません。」
「ロイは遊びか?」
お兄ちゃん、おこですか?
「遊びではありません。真剣なお付き合いでございます。ただ、誰に聞いていいのかわからなかったのですが、私は前の世界で結婚していました。こちらの世界で、ロイさんとお付き合いするっていうことは、浮気・不倫に抵触するのですか?あちらの世界には戻れませんし、死亡扱いもされているはずです。向こうでは、死別になりますね。でもこちらだとどうなるんですかね?」
「んんー?どうなる、ジーク?」
「私では、わかりませんよ?そこは、王としての采配で、お願い致します。」
「んー、向こうで死別だけど、別れているということになっているなら、浮気でも不倫でもないような?体も若返ったし、向こうに戻れないのであれば、処罰の対象にはならない。と思う。」
「父上がそう仰るなら、そういうことになります。でも、学園辞めてすぐに式を挙げるかと思ったぞ。」
「いやいや、すぐに挙げませんて。きちんと3年間学園に通います。」
「そうなのか?」
「やっぱり、ロイは…。」
「遊びでないです。ただ、私が怖いんです。旦那という存在が。前の世界では、あまり良い扱いをされなかったので。ロイさんにも話してあります。ゆっくりでいいって言ってくれました。だから、すぐに式を挙げるとかはないです。」
「……。わかった。ロイがそう言うなら、そうしよう。ただ、婚約くらいはしてもらいたい。そうしないと、色々面倒というか厄介というか、な?」
「アオイ、とにかく婚約して欲しい。お前がいない間に、グランダルだけでなく、他の上位貴族からも釣書が届いて。夜会でも紹介してくれと、断るのも面倒で。」
『面倒』言っちゃっているよ、この人達。
「でも、婚約なんてしたら、世の貴族女性に恨まれるの私ですよ?」
「アオイ、『異世界あるある』だ!」
いい笑顔で言うな!
「そんな『あるある』ないです。……まあ、そこら辺は、ロイさんにお任せします。私は、ここでのやり方とかはわからないので。ただ、だまし討ちで結婚式も纏めてしたら、引き籠ります。そして、陛下と殿下に毎日、タンスに足の小指をぶつけますように祈ります!」
握りこぶしを作って、呪い?のようなお祈りをすると伝えた。
「ま、まあ、ロイとやり取りして決めてくれ。」
「ジーク、あの子怖い。」
「父上、私もです。」
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アオイは、そんな親子の会話は知らない。
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