92 / 143
おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】
43
しおりを挟む
一度は着てみたいメイド服。夢が叶いました。私は、メイド喫茶のような、『萌え萌えきゅん』がしたかっただけなんです。
それが何故か、ロイさんの膝の上に座ってお茶を飲ませる状況になっているのか、分かりません。おばちゃん、今、顔はチベスナになっているハズです。間違いなく。
「アオイがお茶飲ませてくれるなんて、嬉しい。」
イケメンが顔面崩壊しています。2人の温度差!空気読もう?!
「私は、お茶だけ出して終わりだったのに。」
「1週間は会えなかったんだよ?俺は寂しかったのに。」
「学園にいる時は何ヶ月もでしたよ?」
「今は同じ屋敷にいるのに。」
「大差ないですよ?」
「…アオイはまだ俺を意識してくれないの?」
「…まだ、してませんね。」
「あんなこと許してくれたのに?」
「手首縛られましたね。」
「キスで蕩けた顔したのに?」
「抵抗したんですが、力の差で押さえ込まれてしまいました。一種の酸欠です。」
「胸は気持ち良かったのに?」
「胸の話はするな!」
「ふっ、顔赤くなった。」
「~~~。」
「アオイ、キスしていい?」
「ダメです。」
「わかった。するね?」
「わかってない!」
顎を掴まれ、キスをされる。触れるだけ。でも角度を変えて何回も。
持っていたカップを、ロイさんはキスをしながら、取り上げて机に置く。
唇がようやく離れたと思ったら、
「口開けて。」
と言われる。ブンブンて横に首を振るが、また顎を掴まれキスをされる。今度は舌も入ってくる。舌を絡められ、クチュクチュと水音だけが執務室に響く。
やっと口が離れた頃は息があがっていた。
「アオイ、可愛い。今日はこのまま、ここにいる?メイドさんごっこ続ける?」
「はぁ、はぁ、し、しない。」
「そっか、残念。でも、またしてね?」
「しない!それに、ロイさん最近は、ずっとイヤラしいことばかりしてくる!ヤリたいだけなら、ヤればいいじゃん!」
忘れていたなんて嘘。だって、まだ怖いから。愛しているって言って裏切られるのが、時間とともに愛情がなくなるのが。だったら、身体だけの関係だけの方が全然いい。期待しなくて済むから。
「アオイ。」
ハッと、ロイさんを見ると、眼が怒っていた。
ロイさんの手が私の頬を触る。ビクッとしてしまったが。
「アオイ。まだ、伝わらない?好きだよ。愛している。不安なら、何回も言うよ?触られるのが嫌なら、もうしない。でも、アオイは言葉だけだと、信用しないでしょ?どうしたら、信じてくれる?」
真剣な眼差しで言われた。私は、おずおずと答えた。
「言葉はまだ、信じられない。…ロイさんに抱きしめられるのは、…安心する。でも、キス、は、ちょっと、激しいから、恥ずかしくて。何も、考えられなくて、流されちゃうから、嫌。流されれば、後悔しか、ないから。」
「うん、わかった。いっぱい抱きしめてあげる。キスは、慣れて?アオイが可愛いから俺はしたくなる。でも、深いキスはなるべく我慢する。」
「うん、お願いします。でも、過剰な行為は、なるべく、やめてね?」
「ふっ、抱きしめてもいい?」
「っ、…うん。」
優しく抱きしめてくる。この腕、この胸が今や安心する。言葉より、心臓の音を聴いている方が安心する。穏やかで規則正しい音。
何も言葉を交わさずに、抱きしめてもらえれば、温かくて眠くなってきた。
「アオイ、眠い?」
「うん、少し。あったかくて、眠くなってきた。」
「寝ていいよ?」
「ううん、自分の部屋戻る。」
「連れて行ってあげる。」
「ん。」
ロイさんに抱えられて、部屋のベッドで眠る。
抱えられて移動していた時に、小さい頃の記憶が蘇る。
コタツで寝た私を布団に運んでくれた父。
土木関係の仕事をしていたから、体格も良かった。
父から抱っこされるのが嬉しかった。仕事で、あまり家にいない人だったし、休日は田んぼや畑で忙しかったから。
無口で、母はよく文句を言っていた。家のことを何も考えていない。と。
大学に行かせられないと言った時は、本当にすまなそうな顔をしていた。
母は、私より跡継ぎの兄が大事だし、父は、子供を平等に扱いたかったんだろう。
まだ私は本当に何もわかってなかったんだ、あの頃は。
今なら少しはわかる、かもしれない。父の気持ちが。
それが何故か、ロイさんの膝の上に座ってお茶を飲ませる状況になっているのか、分かりません。おばちゃん、今、顔はチベスナになっているハズです。間違いなく。
「アオイがお茶飲ませてくれるなんて、嬉しい。」
イケメンが顔面崩壊しています。2人の温度差!空気読もう?!
「私は、お茶だけ出して終わりだったのに。」
「1週間は会えなかったんだよ?俺は寂しかったのに。」
「学園にいる時は何ヶ月もでしたよ?」
「今は同じ屋敷にいるのに。」
「大差ないですよ?」
「…アオイはまだ俺を意識してくれないの?」
「…まだ、してませんね。」
「あんなこと許してくれたのに?」
「手首縛られましたね。」
「キスで蕩けた顔したのに?」
「抵抗したんですが、力の差で押さえ込まれてしまいました。一種の酸欠です。」
「胸は気持ち良かったのに?」
「胸の話はするな!」
「ふっ、顔赤くなった。」
「~~~。」
「アオイ、キスしていい?」
「ダメです。」
「わかった。するね?」
「わかってない!」
顎を掴まれ、キスをされる。触れるだけ。でも角度を変えて何回も。
持っていたカップを、ロイさんはキスをしながら、取り上げて机に置く。
唇がようやく離れたと思ったら、
「口開けて。」
と言われる。ブンブンて横に首を振るが、また顎を掴まれキスをされる。今度は舌も入ってくる。舌を絡められ、クチュクチュと水音だけが執務室に響く。
やっと口が離れた頃は息があがっていた。
「アオイ、可愛い。今日はこのまま、ここにいる?メイドさんごっこ続ける?」
「はぁ、はぁ、し、しない。」
「そっか、残念。でも、またしてね?」
「しない!それに、ロイさん最近は、ずっとイヤラしいことばかりしてくる!ヤリたいだけなら、ヤればいいじゃん!」
忘れていたなんて嘘。だって、まだ怖いから。愛しているって言って裏切られるのが、時間とともに愛情がなくなるのが。だったら、身体だけの関係だけの方が全然いい。期待しなくて済むから。
「アオイ。」
ハッと、ロイさんを見ると、眼が怒っていた。
ロイさんの手が私の頬を触る。ビクッとしてしまったが。
「アオイ。まだ、伝わらない?好きだよ。愛している。不安なら、何回も言うよ?触られるのが嫌なら、もうしない。でも、アオイは言葉だけだと、信用しないでしょ?どうしたら、信じてくれる?」
真剣な眼差しで言われた。私は、おずおずと答えた。
「言葉はまだ、信じられない。…ロイさんに抱きしめられるのは、…安心する。でも、キス、は、ちょっと、激しいから、恥ずかしくて。何も、考えられなくて、流されちゃうから、嫌。流されれば、後悔しか、ないから。」
「うん、わかった。いっぱい抱きしめてあげる。キスは、慣れて?アオイが可愛いから俺はしたくなる。でも、深いキスはなるべく我慢する。」
「うん、お願いします。でも、過剰な行為は、なるべく、やめてね?」
「ふっ、抱きしめてもいい?」
「っ、…うん。」
優しく抱きしめてくる。この腕、この胸が今や安心する。言葉より、心臓の音を聴いている方が安心する。穏やかで規則正しい音。
何も言葉を交わさずに、抱きしめてもらえれば、温かくて眠くなってきた。
「アオイ、眠い?」
「うん、少し。あったかくて、眠くなってきた。」
「寝ていいよ?」
「ううん、自分の部屋戻る。」
「連れて行ってあげる。」
「ん。」
ロイさんに抱えられて、部屋のベッドで眠る。
抱えられて移動していた時に、小さい頃の記憶が蘇る。
コタツで寝た私を布団に運んでくれた父。
土木関係の仕事をしていたから、体格も良かった。
父から抱っこされるのが嬉しかった。仕事で、あまり家にいない人だったし、休日は田んぼや畑で忙しかったから。
無口で、母はよく文句を言っていた。家のことを何も考えていない。と。
大学に行かせられないと言った時は、本当にすまなそうな顔をしていた。
母は、私より跡継ぎの兄が大事だし、父は、子供を平等に扱いたかったんだろう。
まだ私は本当に何もわかってなかったんだ、あの頃は。
今なら少しはわかる、かもしれない。父の気持ちが。
31
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
邪魔しないので、ほっておいてください。
りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。
お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。
義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。
実の娘よりもかわいがっているぐらいです。
幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。
でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。
階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。
悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。
それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる