ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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「エリザベスの兄のアルフレッド=ガーウェインです。稀人様にお会いでき、光栄でございます。」

「アオイ=シュバルツバルトです。では、ご機嫌よう。」

ロト君が間に入り説明してくれて、お互い自己紹介した。ので、私はすぐに立ち去ろうとしたのだが、

「アオイ様は、剣術にご興味がお有りで?」

「さぁ?」

「それとも、誰かお目当てがいるんですか?」

「どうでしょうか?」

「綺麗な髪をしていますね?」

「侍女任せなので、私は特にしていません。」

何故か質問責めにあっていた。ロト君に『助けて』の目線を送るが、『無理です』と首を横に振られる。

「ガーウェイン様、鍛錬はよろしいのですか?」

「アオイ様のような素敵な女性に見られるのなら、やる気も出るんですが?見ていてもらえますか?」

「あら、見られていないとできないなんて、子供ですのね、ガーウェイン様は。」

ふふっと笑う。

「素敵な女性限定ですよ?」

ははっと笑って返す。ロト君はハラハラと成り行きを見ている。

腹の探り合いをしているようだ。だから、貴族はイヤだ。

「アルフレッド!ロト!」

どうやら、騎士団から鍛練に戻る呼び出しの声だ。

「では、失礼致します。」

カーテシーをして、私はその場を離れた。

エリー様の兄は、騎士団で来ていたが、森に行くメンバーには入れなかったようだ。公爵家嫡男でもあるし、なるべくなら危険からは遠ざけさせたのだろう。



中庭の通路から、本館に向かう途中声を掛けられる。

「アオイ?」

後ろから声を掛けてきたのは、ロイさんだった。

「どうしてここに?」

「剣術の鍛練を見にきてました。学生時代の友達も剣術のようなものに打ち込んでいたので、懐かしくなって。」

「友達…。」

「えぇ、彼女とても強かったの!でも、練習も真面目に取り組んでいて。試合で勝つ度に私も嬉しくて。」

「彼女?女性が剣術を?」

「うん。私の国は、武道とかは女性も習ったりするよ?体育の時間に柔道習ったし。あっ、柔道っていう体術なんだけど。」

「へぇ。」

「ロイさんは仕事は大丈夫なんですか?」

「…まだ、忙しい。アオイに会いたかった。」

「私は快適に過ごせてますよ?」

「……俺がいなくて寂しくない?」

「全然。」

「……もしかして、俺のこと忘れていた?」

「…ぶっちゃけ、忘れてました。」

「…そうか。仕事に戻る。」

「お仕事頑張ってください!」

「あぁ。」

と、がっくり肩を落として、執務室に戻って行った。素直に言い過ぎたようだった。




私も部屋に戻り、続きを読み出すが、さっきの言い過ぎが気になってしまった。そこでマリアさんに相談してみた。『それならお茶をお持ちしてはいかがですか?』と言われた。面白そうなので、メイド服を着せてもらい、お茶を持っていく。

執務室のドアをノックして、声をかける。

「お茶をお持ちしました。」

少し待つと、ドアが開く。ダンさんが開けてくれた。
私の格好を見て、驚いてくれた。シーっと口に人差し指をあて、ダンさんが話さないようにお願いをした。


カートを押し、部屋に入る。お茶を淹れて、

「お茶です。」

と、ロイさんの机にカップを置く。

声で気が付いたのか、こっちを見て驚いた。

「アオイ、何している?」

「メイドさんごっこ?」

ブハッとダンさんが笑う。久しぶりにダンさんの笑いを聞いた気がした。

「俺専属?」

「いや、ごっこだから。」

「ダン、休憩だ!」

「はいはい。」

「あっ、ダンさんの分も今淹れますね。」

「いえ、私は今のうちに違う用事を済ませてきますので、アオイ様はごゆっくり。」

と言って、部屋を出て行った。


これって、飛んで火に入るなんとやらだぁ。メイドさんごっこ楽しそうと思った過去の自分を殴りたい。









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