ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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領地の屋敷に戻り、魔力が戻るようにゆったりと過ごした。思っていた以上に私の魔力量は多くて、満タンにするのに、なかなか時間を要した。

あれから、ロイさんとの関係は特に何もない。というか、ロイさんの方が忙しくて、夕食ですら会えていない。私も別段気にせず過ごしている。

『愛と悲しみの果てに』は、とうとう40巻に辿りつきました!長期休暇の課題も早々に終わってしまい、暇になったので、少しずつ読み進めてはいたが、ここで一気に読んでいる。ドロドロの愛憎劇がたまらなく面白い。しかも親子3代で、泥沼の恋愛をしている。昼ドラも真っ青な話の内容で、ハマってしまったのだ。40巻からやっと孫世代の話が始まる。書庫室から40~45巻を、持ってウキウキと部屋に戻る。
走り込みは、マリアさんとロバートさんに止められてしまったので、朝夕に散歩をしている。日中の散歩は日に焼けるから、ダメと言われた。
書庫は屋敷の北側にあり、日が当たらなく、風通しが良い。都心の古書街のように、日差しから本を守るように街全体がそんな造りになっているとテレビの特集で見た気がするが、正にそんな造りの書庫だった。本を大事にしているのがわかる。司書のおじいちゃんとも顔馴染みになり、お勧めの本とかも教えてもらったりした。恋愛小説ばかり、読んでいるわけではないよ。

書庫から中庭に面した通路を通ると、領兵の演武場・宿舎が見える。剣のぶつかり合う音が聞こえる。今は動き回れないが、剣術の練習を見るのは好きだから、少し覗いてみようと、演武場に足を運ぶ。
途中会ったメイドさんに、本とマリアさんに伝言を頼んだ。

演武場と言っても、学校のグラウンドのようなもので、コロシアムみたいな立派な建物ではないのだ。私は日に焼けないように、木陰から覗く。

まだ新人の子達は、先輩に習って木剣の素振りをしている。先輩の方たちは、1対1の打ち合いをしている。剣のぶつかり合う重たい音が響いている。

学生時代、友達が剣道部に所属していて、大会が重ならければ、見に行っていた。
彼女はとても強く、毎年全国大会で好成績を修めるほどだった。推薦で大学に入学したが、その後は全く会わなくなった。学生と社会人では連絡が取れる時間が違うし、彼女は真剣に剣道に取り組んでいたから、邪魔をしたくなかった。
今みたいにSNSがあれば、連絡は取りやすかったのかもしれない。ケータイより、ポケベルやピッチが主流だった時代だ。どちらも持っていなかったけど。

「見てて楽しい?」

知らない男の人に声を掛けられた。

「楽しいですよ?」

素っ気なく答えた。

「誰かを見に来たの?若い女の子がここまで入ってくるなんて珍しいね?どうやっては入れたの?もし、知り合いがいるなら、呼んでくるよよ?」

うん、部屋に戻ろう。絶対呼んでくる気のないやつだ。無視してその場を立ち去ろうとした。が、手首を掴まれ、

「もう少し話しようよ?」

と言われる。前の世界でも、ナンパされたことないから対処の仕方がわからない。

「離してください!」って手首を振るが、離してくれない。

袖からブレスレットが見えたのか、

「恋人いるの?そっちやめて、俺にしない?」

なんて言ってくる。はい、チャラ男決定!とにかく手を離してもらいたいが、離してくれない。どうしようかなと、逡巡していると、

「アオイ様!ガーウェイン先輩!」

と、ロト君が来てくれた。

「ロト君。」

「先輩、アオイ様の手を離してください!公爵様の怒りを買いますよ?」

なんでそこで、ロイさんが怒る?ん?ガーウェイン?

「ガーウェインって、エリー様のご兄弟?」

「もしかして、稀人様?!」

やっと、手は離してもらえた。最近手首掴まれ率高くない?




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