ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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朝がきました。今日も良い天気です。爽やかぁ。

昨夜は一睡もできず、…なんてことはなく、ぐっすり寝ました。若返ってから、よく眠れるようになりました。若さってすごい。

初めてでないはずなのに、初キスのような恥ずかしい感じが余韻として残っていて。…どんな顔して会えばいいのか、悶えてしまう。

私は、40過ぎのおばちゃんだ。平常心でいこう。照れちゃダメだ、照れちゃダメだ。

頬を平手で打ち、気合いをいれる。ドアを開ける前に深呼吸をする。

ガチャっとドアを開けたが、ロイさんはいなかった。

少し気が抜けた。

調理場に向かおうと、部屋のドアを開けた時に、ロイさんが部屋に入ろうと入口に来ていて、扉を鼻と額に当たってしまったようだ。

「っってぇ。」

「ふぁっ?!ごめんなさい!」

「いや、大丈…ぶ。」

でも、鼻から一筋の血が流れてきた。

「鼻血!」

「すぐ、止まるから。」

ロイさんの手を引き、部屋に入れ、ソファに座らせる。

「ヒール」

鼻の前に手を翳して、詠唱する。白い光に包まれ、癒えたようだ。持っていたハンカチで、鼻血を拭く。

「アオイ、ありがとう。」

「わ、私がぶつけちゃったから。」

やっぱり恥ずかしくて目を合わせられない。

「わ、私、調理場に行くね。」

離れようとしたが、ハンカチを持っていた手を握られる。

「手首、痛くなかった?」

「…大丈夫、です。」

「うん、痣にもなってないね。」

手を引き寄せ、手首にキスを落とす。

「ロっ、ロイさん!やめて、ください。」

「なんで?俺はアオイを口説いている最中だよ?それに、アオイはすぐになかったことにしそうだし。言葉だけだと信用してくれないから、態度で示そうと思って。ねぇ、俺にされるの嫌?触られるのも嫌?」

「……。」

答えられなかった。嫌ではないけど、恥ずかし過ぎて。初めて会った時から、見た目は大きくて威圧感はあったけど、優しさが溢れていたのを感じたから、怖くなかった。

「嫌じゃないなら、いいんだ。いっぱい俺を意識して?」

と、また、手首にキスを落とす。

恋愛経験の少ない私には、供給過多です!外国人のスキンシップ激しい!!いや、異世界人のスキンシップ激しい!!

「ご、ご飯!作、らないと!」

「そうだね、今はここまで、だね。」

ロイさんが手を離してくれたと同時に、急いで部屋を出た。扉が閉まる前に、ロイさんがクスクス笑っている声が聞こえた。

どうやら、私、遊ばれている?!





「ロイ様、今度はアオイ様に何をしたんです?」

「……何も?」

「なんか怒ってますよ?」

「さぁ、知らん?」

「私に言う気ないということですね?」

「…準備できたら、出発するぞ。」

「~~っ、わかりました!」





私達は深淵部に向かった。




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