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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】
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屋敷で3日ほど過ごしたら、準備ができたとのことなので、深淵部に向かうことになった。今回は、ロイさん、ダンさん、騎士団より10名ほどの1個小隊で行くことになった。
森の中なので、馬車は使えない。乗馬再びです。服装もワンピースだと馬に乗りにくいので、成人前の男の子の服を用意してもらいました。ツルペタだから、似合う、似合う。ぐすっ。
でも、あれから走り込みをしているから、体力も筋肉もついたから、立てなくなるなんてことはないと思うが。
拠点となる屋敷は、前回の小屋よりも大人数がいられるように作られてあるらしい。そこから深淵部には歩いて行く。
ロイ義兄様と一緒に馬に乗り、拠点を目指す。
前回は、あれこれが珍しくて落ち着きがなかったが、今回は大人しくしている。
森に入って少し進んだところで、前回感じられなかった、重たい空気を感じた。肌に纏わりつく生温く湿った空気だ。背中がゾクゾクする。
「おかしいな。森でこんな感覚を感じたことがない。」
と、ロイ義兄様が言った。私も変な感じがすることを伝える。
さらに進めば、いつもの森の雰囲気になる。拠点に着くまで、何か所かそのような場所があった。
拠点に着いた時には、私はぐったりしていた。嫌な感じが体力を奪ったかのように、その場所を通るたびに顔色が悪くなり、体が怠くなっていく。動けない私はロイ義兄様に抱えられて、屋敷に入っていった。他の人たちは荷物を運んだり、屋敷の掃除や馬の世話をしているのに、更にお荷物になって申し訳なかった。
二階の大きな部屋に入って、奥の寝室のベッドに寝かしてくれた。
「寝れば体力が戻る。起きたら、ご飯食べよう。それまでゆっくり寝ていなさい。」
頷いて目を閉じればすぐに寝てしまった。
白い霧であたり一面真っ白だ。どちらに行っていいかもわからず、動けないでいる。って、なんか来たことがあるような気がする。
どのくらい経ったかわからないが、どこからともなしに泣いている声が聞こえた。子供か大人か、男性か女性か判別がつかない泣き声だった。
そちらの方向に行ってみる。声が近づくにつれ、淡い緑の光る球体がいた。…球体だ。
「何を泣いているの?」
「あなたが来るのが遅いから、森が枯れ始めてきているの。」
「期限は聞いていなかったわ?」
「でも、すぐに戻ってくると思ったの。」
「ごめんなさい。私もこの世界がどんな世界か知りたくて、色々勉強していたの。」
「……私に魔力を流すのが、嫌じゃなくて?」
「そんなことないわ。私はあなたに会ったら、『ありがとう』って言いたかったんだもの。」
「本当?」
「ええ、本当よ。私を勝手にこっちに連れてきてありがとうって。」
私は多分ものすごく悪い顔をしているはず。
「あっ、あなたはこっちに連れてきたことを怒っているの?」
「怒らない人がいたら、教えて?今までの生活を一瞬にして全部壊したのよ。怒って当たり前でしょう?これは誘拐と一緒なのよ?」
「ご、ごめんなさい。でもそんなつもりなくて、」
「そんなつもりも何もあなたの都合で誘拐されました。もう二度と帰れません。しかも、目的も何もあなたが説明するのでなく、神様から聞かされるし。ねぇ、私のこの怒りは誰にぶつければいいの?あなたしかいないよねぇ?」
「は、はい、そのとおりです。」
「しかも来るのが遅いって何様?」
「え、ええと、」
「ああ、神樹様か。でも、魔法が使えない世界から来たんだから、それぐらい配慮があってしかるべきではないのかしら?」
「は、はい。すみません。」
「これこれ、あまりいじめるもんでないぞ。」
淡く光る銀色の球体がフヨフヨと来た。
森の中なので、馬車は使えない。乗馬再びです。服装もワンピースだと馬に乗りにくいので、成人前の男の子の服を用意してもらいました。ツルペタだから、似合う、似合う。ぐすっ。
でも、あれから走り込みをしているから、体力も筋肉もついたから、立てなくなるなんてことはないと思うが。
拠点となる屋敷は、前回の小屋よりも大人数がいられるように作られてあるらしい。そこから深淵部には歩いて行く。
ロイ義兄様と一緒に馬に乗り、拠点を目指す。
前回は、あれこれが珍しくて落ち着きがなかったが、今回は大人しくしている。
森に入って少し進んだところで、前回感じられなかった、重たい空気を感じた。肌に纏わりつく生温く湿った空気だ。背中がゾクゾクする。
「おかしいな。森でこんな感覚を感じたことがない。」
と、ロイ義兄様が言った。私も変な感じがすることを伝える。
さらに進めば、いつもの森の雰囲気になる。拠点に着くまで、何か所かそのような場所があった。
拠点に着いた時には、私はぐったりしていた。嫌な感じが体力を奪ったかのように、その場所を通るたびに顔色が悪くなり、体が怠くなっていく。動けない私はロイ義兄様に抱えられて、屋敷に入っていった。他の人たちは荷物を運んだり、屋敷の掃除や馬の世話をしているのに、更にお荷物になって申し訳なかった。
二階の大きな部屋に入って、奥の寝室のベッドに寝かしてくれた。
「寝れば体力が戻る。起きたら、ご飯食べよう。それまでゆっくり寝ていなさい。」
頷いて目を閉じればすぐに寝てしまった。
白い霧であたり一面真っ白だ。どちらに行っていいかもわからず、動けないでいる。って、なんか来たことがあるような気がする。
どのくらい経ったかわからないが、どこからともなしに泣いている声が聞こえた。子供か大人か、男性か女性か判別がつかない泣き声だった。
そちらの方向に行ってみる。声が近づくにつれ、淡い緑の光る球体がいた。…球体だ。
「何を泣いているの?」
「あなたが来るのが遅いから、森が枯れ始めてきているの。」
「期限は聞いていなかったわ?」
「でも、すぐに戻ってくると思ったの。」
「ごめんなさい。私もこの世界がどんな世界か知りたくて、色々勉強していたの。」
「……私に魔力を流すのが、嫌じゃなくて?」
「そんなことないわ。私はあなたに会ったら、『ありがとう』って言いたかったんだもの。」
「本当?」
「ええ、本当よ。私を勝手にこっちに連れてきてありがとうって。」
私は多分ものすごく悪い顔をしているはず。
「あっ、あなたはこっちに連れてきたことを怒っているの?」
「怒らない人がいたら、教えて?今までの生活を一瞬にして全部壊したのよ。怒って当たり前でしょう?これは誘拐と一緒なのよ?」
「ご、ごめんなさい。でもそんなつもりなくて、」
「そんなつもりも何もあなたの都合で誘拐されました。もう二度と帰れません。しかも、目的も何もあなたが説明するのでなく、神様から聞かされるし。ねぇ、私のこの怒りは誰にぶつければいいの?あなたしかいないよねぇ?」
「は、はい、そのとおりです。」
「しかも来るのが遅いって何様?」
「え、ええと、」
「ああ、神樹様か。でも、魔法が使えない世界から来たんだから、それぐらい配慮があってしかるべきではないのかしら?」
「は、はい。すみません。」
「これこれ、あまりいじめるもんでないぞ。」
淡く光る銀色の球体がフヨフヨと来た。
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