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おばちゃん異世界に来ました!
sideロイ11
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宰相から伝え聞くには、アオイは優秀だった。経済は前の世界の知識とあまり変わらないようで、反対に改善点を挙げてくれるほどであった。本も子供向けの本なら、スムーズに読めるほどになった。淑女教育も大体ができているが、カーテシーとダンスが特訓がいるようだった。どちらも、前の世界では必要なかったものらしい。
翌朝には領地に戻るので、晩餐後アオイを無理矢理手を引いて、俺の執務室に連れてきた。
執務室に入ると、腕を離し、向き合う。
「アオイ、悪かった。」
と謝罪する。
「明日朝には、俺は領地に戻る。その前に話をしたかった。」
アオイをソファに座らせられて、隣に俺も座る。
「アオイの進捗状況を聞いたが、まだ10日足らずだが、家庭教師はみんな褒めていたよ。前の世界で習っていないダンスとかは、練習するしかないから、今後に期待だな。」
「……はい。」
「あと、謁見の時は本当に悪かった。理想を押し付けた訳でもない。ただ、城に到着してからのアオイは、子供のような振る舞いで、40過ぎの女性の振る舞いでなかったから、…その、なんて言っていいか、わからないが、」
「いえ、私も前の世界では見たことがないものばかりで、童心に帰ってしまっていました。ご迷惑かけてすみません。」
アオイは初めのうちは怒っていたが、途中から意地になっていて、謝れないでいたようだ。
「俺も言い過ぎて悪かったのは事実だから。」
「じゃあ、これで仲直りしたということでいいですか?」
「そうだな。」
アオイが右手を差し出す。俺は『何をするんだろう?』と思い、不思議な顔をする。
「仲直りの握手です。」
仲直りの握手なんていう風習があるようだ。
俺も右手を差し出し、握手を交わす。
「俺は領地に戻るが、城でしっかりこの国の事を学んで欲しい。入学式には会いに来るから。」
「はい、少しは成長したところを見せられるようにしたいです。」
俺はアオイの握手していた手をぐいっと引っ張って、アオイを抱きしめる。
「寂しかったり、辛いことがあったら、知らせてくれ。アオイは、誰にも言えない性質なのだろう。1人泣きそうな時は、俺を頼ってくれ。」
「…はい。」
「俺が身元引受人となったが、家族にもなったって思って欲しい。」
「…ロイさんが、お父さんですか?」
「そこは、お義兄様の方が嬉しいかな。」
「ふふっ。わかりました。ロイ義兄様。」
「~~~っ、1番下だったから、なんかその呼び方は照れ臭いな。」
「恥ずかしいなら、私をお姉ちゃんって呼びますか?」
「それは無理だろ。」
「では、頑張って慣れてください。」
「わかった。」
俺がこの子を守りたい。中身は40過ぎていても、この小さい存在を守りたい。国民を守るということを思っても、1人の人間を守りたいと思ったのは、アオイが初めてだった。
翌朝、領地に戻って行く出立の時、見送りをしてくれた。『ロイ義兄様』と呼び方が変わったのに、ダンとマリアはちょっと驚いていた。
馬車でダンに、
「兄扱いでいいんですか?」
と、問われたが、
「今はまだこのままでいいんだ。」
と答えた。
そう、今はまだこのまま
でも、逃しはしない。
翌朝には領地に戻るので、晩餐後アオイを無理矢理手を引いて、俺の執務室に連れてきた。
執務室に入ると、腕を離し、向き合う。
「アオイ、悪かった。」
と謝罪する。
「明日朝には、俺は領地に戻る。その前に話をしたかった。」
アオイをソファに座らせられて、隣に俺も座る。
「アオイの進捗状況を聞いたが、まだ10日足らずだが、家庭教師はみんな褒めていたよ。前の世界で習っていないダンスとかは、練習するしかないから、今後に期待だな。」
「……はい。」
「あと、謁見の時は本当に悪かった。理想を押し付けた訳でもない。ただ、城に到着してからのアオイは、子供のような振る舞いで、40過ぎの女性の振る舞いでなかったから、…その、なんて言っていいか、わからないが、」
「いえ、私も前の世界では見たことがないものばかりで、童心に帰ってしまっていました。ご迷惑かけてすみません。」
アオイは初めのうちは怒っていたが、途中から意地になっていて、謝れないでいたようだ。
「俺も言い過ぎて悪かったのは事実だから。」
「じゃあ、これで仲直りしたということでいいですか?」
「そうだな。」
アオイが右手を差し出す。俺は『何をするんだろう?』と思い、不思議な顔をする。
「仲直りの握手です。」
仲直りの握手なんていう風習があるようだ。
俺も右手を差し出し、握手を交わす。
「俺は領地に戻るが、城でしっかりこの国の事を学んで欲しい。入学式には会いに来るから。」
「はい、少しは成長したところを見せられるようにしたいです。」
俺はアオイの握手していた手をぐいっと引っ張って、アオイを抱きしめる。
「寂しかったり、辛いことがあったら、知らせてくれ。アオイは、誰にも言えない性質なのだろう。1人泣きそうな時は、俺を頼ってくれ。」
「…はい。」
「俺が身元引受人となったが、家族にもなったって思って欲しい。」
「…ロイさんが、お父さんですか?」
「そこは、お義兄様の方が嬉しいかな。」
「ふふっ。わかりました。ロイ義兄様。」
「~~~っ、1番下だったから、なんかその呼び方は照れ臭いな。」
「恥ずかしいなら、私をお姉ちゃんって呼びますか?」
「それは無理だろ。」
「では、頑張って慣れてください。」
「わかった。」
俺がこの子を守りたい。中身は40過ぎていても、この小さい存在を守りたい。国民を守るということを思っても、1人の人間を守りたいと思ったのは、アオイが初めてだった。
翌朝、領地に戻って行く出立の時、見送りをしてくれた。『ロイ義兄様』と呼び方が変わったのに、ダンとマリアはちょっと驚いていた。
馬車でダンに、
「兄扱いでいいんですか?」
と、問われたが、
「今はまだこのままでいいんだ。」
と答えた。
そう、今はまだこのまま
でも、逃しはしない。
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