ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん異世界に来ました!

sideロイ10

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陛下の謁見から、アオイが口をきいてくれない。

理由はわかっているが、謝罪の機会すら作らせてもらえない。

熱を出した以降は、元気だった。『屋敷探検!』と言って、屋敷の中を隈なく見学したり、庭を散歩したり楽しそうに過ごしていた。
王の謁見にあたり、大勢の人がいるところで、偉い人と話をするのは緊張しすぎて倒れる!と涙目で訴えてきたり、『偉い人…怖い。…人前…死ぬぅ…。』って顔面蒼白で呟いたり。あまりにも必死だったので、応接室で王様、宰相、他何名かと少人数の面会で話をつけた。

熱が出して夜中になると、魘されながら泣いていた。『ごめんなさい』『私をみて』『どうしてダメなの』と、譫言を言っている。悲しい夢をみているのか。

熱が下がり、意識を取り戻した時、詠んだ詩が切なかった。アオイは前の世界で、悲しい体験を多くしたのだろう。俺を部屋から追い出して、多分1人泣くのだろう。子供の話はするが、伴侶の話をしない。憶測でしかないが、伴侶にも、親にも恵まれなかったようだ。子供の話から愛情深いとわかるが、欲しい相手からはもらえなかったのだ、と。

お城に到着後は、本当に子供のような言動だ。ソファで遊びだした時は、40過ぎの女性の行動ではないと、怒ってしまった。

王へ挨拶をした時は、こちらでは使われていない言い回しの言葉で挨拶をしたのは、流石だと思った。教養があり、大事な場面では必要な言動ができる。普段もきちんとしてもらいたいものだが。

宰相の提案で、学園に通う話になったが、アオイは何故か通いたくないようっだった。前にダイガク?に通いたいと言っていたから、知識を得ることが好きなんだと思っていたが。

「アオイなら大丈夫だ。こちらにない知識はあるし、教養もある。…淑女としてのマナーがあまりないが。」

『ブホォッ』とダンが吹いた。俺は余計なことまで言ったようだった。

その後は、もう…思い出したくない。王の謁見も忘れての言い合いだった。その後も話を戻そうとするが、アオイが入ると脱線ばかりするので、黙ってもらうことにした。

話は、お城に滞在し、二月ふたつき後の学園入学まで下準備をすることになった。

それから謁見後に謝罪をしようとしたが、今だにできないでいる。部屋に行ってマリアに取り継ぐようにしてもらうが、全くダメだった。

日中は、アオイは勉強を教えてもらい、俺は書類仕事、騎士団の練武場で鍛練をしていて、会う機会がない。夜は、兄家族と俺とアオイで晩餐を共にするが、王妃や甥達とは和やかに談笑しているが、俺には話しかけるなオーラがでている。

兄上の憐憫な目がツラい。

3日後には、また領地に戻りことになっている。それまでに、話を聞いてもらえる機会を作らないと、だ。
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