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おばちゃん異世界に来ました!
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ふわふわと漂う。子供達を見ていたはずなのに、いつの間にか、真っ白な場所にいた。
何もない。見渡す限り白い。
このまま、身を預け漂い続けるのかな。と思っていたら、淡く銀色に輝く球体が近づいてきた。
「君はこれからどうしたい?」
球体が問う。
「……今時の球体はおしゃべりできるんだぁ。」
「きゅ、球体。」
あっ、今凹んだのがわかる。感情豊かな球体らしい。
「一応この世界では、神様と呼ばれている。」
球体は、神様だった。
「とりあえず状況説明をお願いします。」
「君はこの世界に呼ばれてきたみたいなんだ。最初に居た場所に大きな樹があっただろ。どうやら、あれが呼んだらしい。」
「樹が呼んだ?理由とかわかりますか?」
「この森の主とも言える樹で、魔獣が増えすぎたのが原因で森が破壊されて、草も生えない土地になり、更に砂漠化してしまうんだ。砂漠化している箇所が増えてきていた。それを食い止めるのに、緑の癒し手の力を持つ君が呼ばれたようだ。」
「緑の癒し手?」
「植物に活力を与え、恵みをもたらす力だ。」
「そんな大層な力、私にはないですよ。」
「家庭菜園とかで作った野菜の方が、売られている野菜より美味しかったりしない?」
「あっ、そう言われるとそうかも。」
私の作る野菜は、旨味が凝縮されていて、近所の人には好評だった。
「今はこの世界に存在するだけで十分力をもらえているようだよ。魔力の使い方を覚えたら、またあの樹に魔力を渡しに行ってくれないかな?」
「魔力?それってこの世界は魔法が使えるの?」
「使えるとも。」
「おぉ、ファンタジー!」
「そっ、そうか。それでこれからどうしたい?」
「…何も思いつかないです。それよりもう元の世界には、戻れないんでしょうか?」
「うーん、難しいね。むこうとこちらの道が繋がるのが、確率的に1000億分の1くらいなんだ。だから樹が呼んだとしても、そう来れるものでもないんだが。」
「で、でも、稀人は数十年に1人は来るって聞きましたが?」
「世界は2つしかない訳ではないからね。それに来たと言っても道が繋がった時にできる落とし穴に落ちちゃった人っていうのが、大体の稀人なんだよ。呼ばれてくるのは、本当に奇跡なんだ。」
落とし穴に落ちたってめちゃくちゃ運が悪かった、ってこと?
何もない。見渡す限り白い。
このまま、身を預け漂い続けるのかな。と思っていたら、淡く銀色に輝く球体が近づいてきた。
「君はこれからどうしたい?」
球体が問う。
「……今時の球体はおしゃべりできるんだぁ。」
「きゅ、球体。」
あっ、今凹んだのがわかる。感情豊かな球体らしい。
「一応この世界では、神様と呼ばれている。」
球体は、神様だった。
「とりあえず状況説明をお願いします。」
「君はこの世界に呼ばれてきたみたいなんだ。最初に居た場所に大きな樹があっただろ。どうやら、あれが呼んだらしい。」
「樹が呼んだ?理由とかわかりますか?」
「この森の主とも言える樹で、魔獣が増えすぎたのが原因で森が破壊されて、草も生えない土地になり、更に砂漠化してしまうんだ。砂漠化している箇所が増えてきていた。それを食い止めるのに、緑の癒し手の力を持つ君が呼ばれたようだ。」
「緑の癒し手?」
「植物に活力を与え、恵みをもたらす力だ。」
「そんな大層な力、私にはないですよ。」
「家庭菜園とかで作った野菜の方が、売られている野菜より美味しかったりしない?」
「あっ、そう言われるとそうかも。」
私の作る野菜は、旨味が凝縮されていて、近所の人には好評だった。
「今はこの世界に存在するだけで十分力をもらえているようだよ。魔力の使い方を覚えたら、またあの樹に魔力を渡しに行ってくれないかな?」
「魔力?それってこの世界は魔法が使えるの?」
「使えるとも。」
「おぉ、ファンタジー!」
「そっ、そうか。それでこれからどうしたい?」
「…何も思いつかないです。それよりもう元の世界には、戻れないんでしょうか?」
「うーん、難しいね。むこうとこちらの道が繋がるのが、確率的に1000億分の1くらいなんだ。だから樹が呼んだとしても、そう来れるものでもないんだが。」
「で、でも、稀人は数十年に1人は来るって聞きましたが?」
「世界は2つしかない訳ではないからね。それに来たと言っても道が繋がった時にできる落とし穴に落ちちゃった人っていうのが、大体の稀人なんだよ。呼ばれてくるのは、本当に奇跡なんだ。」
落とし穴に落ちたってめちゃくちゃ運が悪かった、ってこと?
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