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おばちゃん異世界に来ました!
sideロイ9
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眠ってしまったアオイを、俺が使っている部屋のベッドまで横抱きにして運ぶ。
軽いなぁ。こんなに小さい身体で子供を産んで、育てていたなんて。しかも、いい匂いがする。優しい、落ち着く匂いだ。
起こさないようにそっとベッドに下ろす。毛布を掛け、部屋から出ていく。
飲まなかったお茶のカップを片付けようと戻ると、ダンがいて、すで片付けてくれたようだった。
俺の顔を見て困ったように見ている。
「俺が留守にしている間に女性を引き入れないでくださいよ。」
なんて、嫌味を言いだす。
「俺以外の気配がして、戸口で中を伺っていたのに、何を言っている。」
お茶を持って戻って来た時に戸口でダンの魔力を察知していた。ただ、魔獣がいる森に騎士や冒険者でもない限り、立ち寄らない。まして深淵部に近いこの場所で、グループでなく、1人で来ることが有り得ないのだ。ダンは警戒して、わざと小屋に入らなかったのだろう。
「話を聞く限り、稀人かもしれない。しかも黒眼黒髪だ。」
「黒眼ですか?!…たしかにこの周辺の国に黒髪の人はいても、黒眼の人はいないはずです。」
「それに40過ぎなのに、身体が若返ったとも言っていた。言動は子供みたいなのに。」
アオイの言動に驚きっぱなしなのを思いだし、思わず笑ってしまった。
「ロイ様がそんな顔をなさるなんて、さぞ面白い方なんでしょうね?絆されましたか?」
城にいる時は、誰に対しても無表情で、感情なんて母親のお腹に置いてきたなんて言われたこともある。そんな俺が笑うのがおかしいらしい。
「わからない。ただ守ってやりたいとは思った。…明日王都に向かう。戻ってきてすぐで悪いが、出立の準備をしてくれ。調査も一旦保留にする。」
「畏まりました。向こうの2人には伝えておきます。お城にも連絡をしておきます。」
「調査結果はまとめておく。」
「ありがとうございます。ところで、今夜はどこでお休みになられますか?ベッドは稀人様がお使いでしょう?」
「あー、部屋のソファで寝る。アオイが起きて、またとんでもない行動しないか、見張っておくよ。」
「アオイ様と仰るのですね。では、後で毛布をお届けにあがります。」
ダンは、自分が使っている部屋へ向かった。
俺も部屋に戻り、荷物をまとめる準備をした。
軽いなぁ。こんなに小さい身体で子供を産んで、育てていたなんて。しかも、いい匂いがする。優しい、落ち着く匂いだ。
起こさないようにそっとベッドに下ろす。毛布を掛け、部屋から出ていく。
飲まなかったお茶のカップを片付けようと戻ると、ダンがいて、すで片付けてくれたようだった。
俺の顔を見て困ったように見ている。
「俺が留守にしている間に女性を引き入れないでくださいよ。」
なんて、嫌味を言いだす。
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お茶を持って戻って来た時に戸口でダンの魔力を察知していた。ただ、魔獣がいる森に騎士や冒険者でもない限り、立ち寄らない。まして深淵部に近いこの場所で、グループでなく、1人で来ることが有り得ないのだ。ダンは警戒して、わざと小屋に入らなかったのだろう。
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「黒眼ですか?!…たしかにこの周辺の国に黒髪の人はいても、黒眼の人はいないはずです。」
「それに40過ぎなのに、身体が若返ったとも言っていた。言動は子供みたいなのに。」
アオイの言動に驚きっぱなしなのを思いだし、思わず笑ってしまった。
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「ありがとうございます。ところで、今夜はどこでお休みになられますか?ベッドは稀人様がお使いでしょう?」
「あー、部屋のソファで寝る。アオイが起きて、またとんでもない行動しないか、見張っておくよ。」
「アオイ様と仰るのですね。では、後で毛布をお届けにあがります。」
ダンは、自分が使っている部屋へ向かった。
俺も部屋に戻り、荷物をまとめる準備をした。
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