ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん異世界に来ました!

sideロイ5

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俺が作ってくれた夕飯は、余っていた野菜のスープ、ボアの肉のステーキだった。パンはなかった。ダンが戻ってきてからの夕食にしようと思っていたが、少女のお腹が鳴ったのが聞こえたからだ。お腹の音が俺に聞こえていないか、チラチラこっちを見て確認するから、聞こえていないフリをした。そんな動きが可愛く思えた。

俺は、お皿並べて正面に座る。そして、頭のタオルを外した。そして食べる前に神に感謝のお祈りをする。

お祈りをすまし、スプーンを手に取り食べ始めようとした時、

「いただきます。」

少女は手を合わせ、そう言って、食べ始めようとささた。

「その言葉は君の世界の食事前のお祈りかな?」

と聞く。

「そうですね。私の世界というより、国の礼節に近いですね。野菜もお肉も命があったものを食べて、生きる。それに作ってくれた人にもありがとうの気持ちも入っているし。だから、感謝の言葉ですね。」

「良い言葉だね。」

「国によって文化が違うので、他の国はよくわかりませんが、私の住んでいたところは、「いただきます」「ごちそうさま」って食事の挨拶を言います。」

別世界でも国によって違いあるのか。周辺国しか知らないが、食事マナーは同じである。

少女はスープを一口飲む。ちょっと微妙な顔をしている。俺は野戦料理しか作れないから、美味しくないのかもしれない。次はステーキにとナイフとフォークを使うが、繊維が硬くてなかなか一口大に切れずにいる。小さい姪のようで、思わず

「ふふっ、切ってあげるよ。」

と、言った。少女は俺に皿とナイフとフォークを渡す。

スーッとナイフが簡単に入り、少女の食べやすいさいずに切り分ける。次は、柔らかい部位を使った料理にしてあげようと思った。

「ありがとうございます。えーっと、お名前聞いていませんでした。」

ここでようやく名前を聞いていないことに気がついた。

「あぁ、こっちもバタバタ動いていたから、大事なこと聞かなかったね。俺はロイだよ。」

「私はアオイです。一晩お世話になります。」

『オバ』という名前ではなかったようだ。
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