ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん異世界に来ました!

sideロイ2

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バッと振り返る少女がいた。

「すみません!」

と謝罪の言葉と直角のおじぎをしだした。

10秒程おじぎをしたままでいたが、そろそろっと顔をあげると、少女と目が合う。黒目黒髪なんて初めて見た。

そして少女は再度おじきをしながら、説明口調で謝罪をし出した。

「驚かせて申し訳ないです。道に迷ってやっと人に会えたの嬉しくて、大声を出してしまいました。本当にすみません。」

ずっと頭を下げたままでいるから、こちらも居た堪れなくなり、

「わかったから、顔をあげてくれ。」

と、声を掛ける。

少女はゆっくり顔をあげる。艶々の黒髪、少し切れ長の眼、鼻はあまり高くないがすっと通っている。厚くもなく、薄くもない唇。象牙色で透き通る肌をしている。この国では見ない顔立ちに驚きながらも、怖がらせないように優しく微笑みながら、

「で、道に迷ったって言っていたけど、ここまでどうやってきたの?」

「えっ、あぁ、実は私もよくわからなくて、気がついたら森の中にいて、煙が見えたから人がいると思ってこちらに来てみたのです。ちなみにここはどこでしょうか?」

「はぁ?気がついたら、森の中って。ここは、シュバルツバルトだよ。普通の人が、まして女の子が1人で来るような場所じゃないよ!」

魔獣のいる森に成人前の子供が入るなんて、なんて危険な!!親は何をしているんだ!!

「シュバルツ…ドイツ語、黒、バルト…森。黒い森?えっ、日本じゃないの?」

「ニホン?とは?リーデンベルグ王国とカザリスア皇国の国境の森だ。」

「はぁ?はぁぁ?!何処ですか?そこは?えっ?えぇぇ?えぇぇぇ?まさかの異世界転移ってやつ?!漫画やアニメで観たよ!!子供のオススメ!面白かったよ!でも、おばちゃんがやっていいやつじゃないよね?!」

よくわからないことを言い出したが、自分のことを『おばちゃん』なんて普通言わないよな。名前が『オバ』なのか?名前に恵まれていなくて、かわいそうな子をみる眼をしながら、

「とりあえず、家に入って落ち着いて話そう。」

と言った。
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