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ーーーアレクセイsideーーー
「どっちが子供産むの?」
結婚式から1ヶ月が経ち、仕事に復帰してから2週間が過ぎた頃、昼休憩の時にグウェンに聞かれた。
「多分、俺?」
「ぷはっ、多分て何?しかも疑問系だし!」
グウェンは笑いだした。
嫁だから俺が産むことになるんだろうけど、初夜以降俺はアシェルを抱き続けている。
俺を抱きたいとは言われていない。
あれ?俺は言わせないようにしていたのかも、と考えてしまう。
「今度の昇進試験受けるんだろ?昇進したら、2年くらいは長期休みは難しいって聞いたから、聞いてみたんだけど。」
「まだ、結婚したばかりだから、そこまで考えてなかった。ありがとう、グウェン。アーシェと相談してみる。」
「…まだ受かってもいないぞ。」
「そうだけど、受かる前提の話をしないと先に進まないだろ?」
「まぁ、そうだな。」
「けど、アーシェは20歳にもなっていないから、まだ先かな。」
「でも貴族は子供を産むのは早いだろ?」
「最近はそうでもないよ。前は流行病で子供が亡くなる率が高かったけど、今は衛生環境が良くなったから、流行病も年1回にあるかないかって母さんが言っていたし。だから、多産でなくてもよくなってきたって。」
「へぇ。たしかに最近は流行病の話は聞かなくなったな。うちらの親世代は兄弟5、6人は当たり前だったしな。」
「俺もアーシェも一人っ子の方が珍しいからな。」
「おやつの取り合いは経験なしか?」
「…父さんとなら。」
「ぷはっ。副団長が?」
「母さんの作ったの美味しいから、大体取り合いになった。」
「へぇ。アレクセイの家は相変わらず貴族らしくないな。…まぁ、貴族らしいがよくわからないけど。」
「俺も貴族らしいはよくわからないけど、結婚前にマナーの講習は受けたよ。アーシェも義父上も高位貴族として身を守る方法だからって。」
「……大事にされているな。」
「ん、そうだな。」
本当に2人に大事にされていると思うと、結婚前から実感していた。
グウェンから言われて、更に実感できた。
仕事から家に戻れば、アシェルは玄関で出迎えてくれる。
「セイ君おかえり。」
「ただいまアーシェ。」
と、お互いの頬にキスをする。
「アーシェ、後でちょっと話したい事があるんだ。」
「?いいよ。夕食後でもいい?」
「もちろん。」
と、義父上と3人で夕食をとった後に部屋に戻り、今回の昇進試験の話をした。
「もし、セイ君が昇進試験受かれば、最低2年は子供産めないってこと?」
「うん。そうなってしまうかな?下手したら、王都ではなく、他領に行く場合もあるし。」
「副団長は何か言っていた?」
「父さんには昇進試験受けることは話したけど、そのあとは何も言っていないよ。」
「…僕は、セイ君の子供は欲しいけど、産むのは僕でもセイ君でもどちらでもいいと思うよ?」
「…いいの…か?」
「んー、でも僕が産んだ方が多分いいと思うんだよね。」
「??」
「最近の魔術学会で、子供を何人も産むのは魔力の莫大な消費により、寿命を縮めることがわかってきているっていうのが話題になっているんだよ。父親側と母親側の平均寿命の違いの統計が出されて調査してみると、妊娠中は子供を育てる部屋を維持するために半年間は魔力を放出しっぱなしなんだそうだよ。初期は微量でも子供が大きくなるにつれて、魔力の消費量も多くなってくるって。妊娠後期にベッドから起きあがれない人達もいるって聞いたことはあったけど、あれは魔力が足りなかったことが理由らしいんだよね。だからセイ君に比べたら、僕の方が魔力量が多いから、安全安心を考えたら必然的に僕が産んだ方がいいのかな?って、考えていたんだよね。」
「アーシェ。」
「もちろん、2人目か3人目はセイ君に産んでもらいたい。その時のセイ君の仕事の状況によるけど。当主交代はあと10年先くらいだけど、子供は早い方がいいかなって。実際に交代してから子育てって結構大変みたいだし。」
「アーシェありがと。うん、昇進試験終わったら、子作りしようか?そうだな、跡取りは早めの方がいいよな。もし他領に行くことになっても、来年の春からだし。出産までは王都にいられると思う。それにいざとなったら、母さんに転移魔法を頼むよ。やっぱり、出産の時は俺もアーシェと一緒にいたいし。」
「最後はやっぱりアルサスさん頼みになるね。…僕たち一人っ子だったから、やっぱり兄弟欲しいね。」
「うちは両親ともにあまり兄弟仲良くなかったから、仲が良い兄弟になるといいな。」
「父上と叔父上は仲いいけど、母上の方の兄弟は会ったことないなぁ。」
「そっか、そのうち義父上が教えてくれるといいな。」
「…話していないことすら、忘れていると思うんだけど。あの父上のことだから。」
「……そうかも。」
義父上は、義母上に関して全くアーシェに話していなかったらしい。
アーシェもアーシェで聞くことはしなかったと言う。
義母上は、天国で多分怒っているか呆れているかしていると思うぞ。
俺の直近の目標は、昇進試験合格。
きちんと合格できたら、アーシェと子作りに励もう。
アーシェは、俺の為に色々な情報を集めて、未来を見据えてくれている。
だからアーシェの提案は、元々考えていたことだったと思う。
本当によくできた旦那様だ。
ーーーーーーーーーー
更新が遅くなり申し訳ございません。
体調不良・仕事の繁忙・家庭の事情といろいろ重なり、執筆が遅々として進みませんでした。
ゆっくりと更新となりますので、お待ちいただけたらありがたいです。
温かいお言葉、いいねに励まされております。
お読みいただいた方に感謝を申し上げます。
「どっちが子供産むの?」
結婚式から1ヶ月が経ち、仕事に復帰してから2週間が過ぎた頃、昼休憩の時にグウェンに聞かれた。
「多分、俺?」
「ぷはっ、多分て何?しかも疑問系だし!」
グウェンは笑いだした。
嫁だから俺が産むことになるんだろうけど、初夜以降俺はアシェルを抱き続けている。
俺を抱きたいとは言われていない。
あれ?俺は言わせないようにしていたのかも、と考えてしまう。
「今度の昇進試験受けるんだろ?昇進したら、2年くらいは長期休みは難しいって聞いたから、聞いてみたんだけど。」
「まだ、結婚したばかりだから、そこまで考えてなかった。ありがとう、グウェン。アーシェと相談してみる。」
「…まだ受かってもいないぞ。」
「そうだけど、受かる前提の話をしないと先に進まないだろ?」
「まぁ、そうだな。」
「けど、アーシェは20歳にもなっていないから、まだ先かな。」
「でも貴族は子供を産むのは早いだろ?」
「最近はそうでもないよ。前は流行病で子供が亡くなる率が高かったけど、今は衛生環境が良くなったから、流行病も年1回にあるかないかって母さんが言っていたし。だから、多産でなくてもよくなってきたって。」
「へぇ。たしかに最近は流行病の話は聞かなくなったな。うちらの親世代は兄弟5、6人は当たり前だったしな。」
「俺もアーシェも一人っ子の方が珍しいからな。」
「おやつの取り合いは経験なしか?」
「…父さんとなら。」
「ぷはっ。副団長が?」
「母さんの作ったの美味しいから、大体取り合いになった。」
「へぇ。アレクセイの家は相変わらず貴族らしくないな。…まぁ、貴族らしいがよくわからないけど。」
「俺も貴族らしいはよくわからないけど、結婚前にマナーの講習は受けたよ。アーシェも義父上も高位貴族として身を守る方法だからって。」
「……大事にされているな。」
「ん、そうだな。」
本当に2人に大事にされていると思うと、結婚前から実感していた。
グウェンから言われて、更に実感できた。
仕事から家に戻れば、アシェルは玄関で出迎えてくれる。
「セイ君おかえり。」
「ただいまアーシェ。」
と、お互いの頬にキスをする。
「アーシェ、後でちょっと話したい事があるんだ。」
「?いいよ。夕食後でもいい?」
「もちろん。」
と、義父上と3人で夕食をとった後に部屋に戻り、今回の昇進試験の話をした。
「もし、セイ君が昇進試験受かれば、最低2年は子供産めないってこと?」
「うん。そうなってしまうかな?下手したら、王都ではなく、他領に行く場合もあるし。」
「副団長は何か言っていた?」
「父さんには昇進試験受けることは話したけど、そのあとは何も言っていないよ。」
「…僕は、セイ君の子供は欲しいけど、産むのは僕でもセイ君でもどちらでもいいと思うよ?」
「…いいの…か?」
「んー、でも僕が産んだ方が多分いいと思うんだよね。」
「??」
「最近の魔術学会で、子供を何人も産むのは魔力の莫大な消費により、寿命を縮めることがわかってきているっていうのが話題になっているんだよ。父親側と母親側の平均寿命の違いの統計が出されて調査してみると、妊娠中は子供を育てる部屋を維持するために半年間は魔力を放出しっぱなしなんだそうだよ。初期は微量でも子供が大きくなるにつれて、魔力の消費量も多くなってくるって。妊娠後期にベッドから起きあがれない人達もいるって聞いたことはあったけど、あれは魔力が足りなかったことが理由らしいんだよね。だからセイ君に比べたら、僕の方が魔力量が多いから、安全安心を考えたら必然的に僕が産んだ方がいいのかな?って、考えていたんだよね。」
「アーシェ。」
「もちろん、2人目か3人目はセイ君に産んでもらいたい。その時のセイ君の仕事の状況によるけど。当主交代はあと10年先くらいだけど、子供は早い方がいいかなって。実際に交代してから子育てって結構大変みたいだし。」
「アーシェありがと。うん、昇進試験終わったら、子作りしようか?そうだな、跡取りは早めの方がいいよな。もし他領に行くことになっても、来年の春からだし。出産までは王都にいられると思う。それにいざとなったら、母さんに転移魔法を頼むよ。やっぱり、出産の時は俺もアーシェと一緒にいたいし。」
「最後はやっぱりアルサスさん頼みになるね。…僕たち一人っ子だったから、やっぱり兄弟欲しいね。」
「うちは両親ともにあまり兄弟仲良くなかったから、仲が良い兄弟になるといいな。」
「父上と叔父上は仲いいけど、母上の方の兄弟は会ったことないなぁ。」
「そっか、そのうち義父上が教えてくれるといいな。」
「…話していないことすら、忘れていると思うんだけど。あの父上のことだから。」
「……そうかも。」
義父上は、義母上に関して全くアーシェに話していなかったらしい。
アーシェもアーシェで聞くことはしなかったと言う。
義母上は、天国で多分怒っているか呆れているかしていると思うぞ。
俺の直近の目標は、昇進試験合格。
きちんと合格できたら、アーシェと子作りに励もう。
アーシェは、俺の為に色々な情報を集めて、未来を見据えてくれている。
だからアーシェの提案は、元々考えていたことだったと思う。
本当によくできた旦那様だ。
ーーーーーーーーーー
更新が遅くなり申し訳ございません。
体調不良・仕事の繁忙・家庭の事情といろいろ重なり、執筆が遅々として進みませんでした。
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