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天使のような

死にかける子供

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「っぐっ……」

弾き飛ばされて、そいつは俺の方に転がった。
慌てて駆け寄ると、黒蝕に触れられた箇所が焦げている。
服はもちろん、肌が焦げて…臭いがする。
酷い有様のこいつに、最悪の想像をしてしまう。
他の人には見えないせいで救急車も呼べない。
咄嗟に上着を脱いでそいつの傷に被せる。
止血にもならない。
じわじわと上着に血が染みてくる。

俺が思考をフル活用している中、ゴホッ、とそいつは血を吐いた。
良かった、まだ生きてる。

「なぁお前、どうしたら助かる?どうしたら、あの黒いの倒せるんだよ」

この状態のこいつが答えられるか分からない。
けど、こいつしか頼れる奴がいない。
こいつがいなくなったら、あの黒いのはきっと人を襲う。

今はじっとこちらを見ているが、いつ襲いかかられるか分かったもんじゃない。
早く倒さないと。
こいつも、助けないと。
うっすら目を開けて、白い方は苦しそうに息をした。

「おれの…」

喋った。

「……ゲホッ……おれの…ちからを……わける……あんたがたおしてくれ……」
「そんなことできるのか!?」
「けんぞく……として……けいやくを……むすべば…」

眷属として契約を。
ってことは、俺はこいつに従って戦わなきゃいけなくなる。
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