9 / 11
9
しおりを挟む
(ルーベン視点)
「ダニエル・メンデス男爵は、私の兄上ジョシュア・アラベスク侯爵を殺そうとしました。このメンデス男爵は招いてもいないのにいきなりアラベスク侯爵家を訪問し、アフタヌーンティーを図々しくも要求し、兄上のティーカップに毒薬を入れました。殺そうとしたのは明らかです。その直後に兄上は幻覚を見て死にかけ、朝まで目覚めることができなかった!」
「ちょっと待ってください! 殺そうなんてとんでもない! 毒薬なんていれていない」
「いや、いれたんだよ! メンデス男爵はアラベスク侯爵家のオランジェリー(植物を育てる温室)にある珍しい植物が羨ましかったのだろう? あれは我が国ではアラベスク侯爵家しか所有していないとても高価なものだ。メンデス男爵は各国の珍しい植物をコレクションしていたでしょう? それが欲しくて兄上を殺そうとしたんだ!!」
私はあり得ないほどくだらない理由をでっち上げて、わざと的外れなことを言う。
「ふん! ばかばかしい! 珍しい植物は好きだが殺人までする気にはならん。私が好きなのは金と地位だよ。アラベスク侯爵を殺してしまったら台無しじゃないか! 私はただすいみ・・・・・・あわわ、なんでもありません」
「すいみ? 次の言葉はなんでしょう? メンデス男爵は睡眠薬と言おうとしたのでしょう? でもなんで睡眠薬をいれたのか理由がわからない。やっぱり殺そうとしたんですね?」
「いや、殺そうとしたのではないってば。毒なんかじゃない。ただの睡眠薬をほんのちょっといれただけさ。朝まで寝てくれればいいと思った。それだけなんだ! 決して殺そうなんて思ってもいなかった。信じてくれよ! ほんとだって!」
メンデス男爵はフルフルと首を振る。高位貴族の殺人未遂は死刑だからだ。
「すみません。国王陛下! 私に発言権をください。私はメンデス男爵に睡眠薬を売りました。即効性のある睡眠薬でレンドルミン草から抽出したものです。それは必ず水で飲まなければ副作用が現れ死に至るとこもあります。幻覚が現れ朝まで目が覚めなかったことを考えればこれを飲ませたことは間違いないでしょう。問題は飲ませた量です。正確に計って飲まなければ、永遠に目覚めないこともありますからね。ですから、どう考えてもメンデス男爵は殺そうとしたのでしょうね」
「嘘だ! でたらめを言うな! 私がアラベスク侯爵を殺してなんの得がある? 私はただ娘をアラベスク侯爵夫人にしたかっただけなんだぁーー!! 確かにそれをいれたのは認めるよ。だが殺意なんて全くなかった! ポピーと一夜をともにすればいいと思っただけなんだ!! 娘の将来の為にやってだけさ」
(もう白状しちゃったよ。早すぎるなぁーー)
こんな調子だと、すぐに決着がつきそうだ。
「でも、それが薬のせいだとしても私は純潔を奪われたのですから、ジョシュア様は私を娶る義務があると思います!」
ポピーが横から口を挟み同情を誘うように泣き出した。
泣いたからって裁判は終わらないよ。
「その”純潔の証”こちらに渡してくれ! 調べたい」
「そんなもの恥ずかしくてお見せできません!」
ポピーは最後まで拒んだが国王陛下の命令でしぶしぶ提出。私は早速、血液検査技師に渡しその場で調べてもらった。
「ん? これ、人間の血じゃないです。ウサギの血ですね」
傍聴席はざわめきだし、ポピーに非難の声があがる。
「こんな小細工をするからには、ポピーの身体も検査したいですね。エリザ・ルソー医師から診察を受けてもらうことを要求しますよ。国王陛下、許可をください。エリザ医師は傍聴人席で、すでに待機しています!」
「ふむ、許そう」
別室でエリザ医師が診察している間、メンデス男爵とゴーサンス準男爵は放心状態だ。ポピーを伴って戻ってきたエリザ医師は無表情で言い放つ。
「ポピー嬢は、現在妊娠4ヶ月でございます!」
「ダニエル・メンデス男爵は、私の兄上ジョシュア・アラベスク侯爵を殺そうとしました。このメンデス男爵は招いてもいないのにいきなりアラベスク侯爵家を訪問し、アフタヌーンティーを図々しくも要求し、兄上のティーカップに毒薬を入れました。殺そうとしたのは明らかです。その直後に兄上は幻覚を見て死にかけ、朝まで目覚めることができなかった!」
「ちょっと待ってください! 殺そうなんてとんでもない! 毒薬なんていれていない」
「いや、いれたんだよ! メンデス男爵はアラベスク侯爵家のオランジェリー(植物を育てる温室)にある珍しい植物が羨ましかったのだろう? あれは我が国ではアラベスク侯爵家しか所有していないとても高価なものだ。メンデス男爵は各国の珍しい植物をコレクションしていたでしょう? それが欲しくて兄上を殺そうとしたんだ!!」
私はあり得ないほどくだらない理由をでっち上げて、わざと的外れなことを言う。
「ふん! ばかばかしい! 珍しい植物は好きだが殺人までする気にはならん。私が好きなのは金と地位だよ。アラベスク侯爵を殺してしまったら台無しじゃないか! 私はただすいみ・・・・・・あわわ、なんでもありません」
「すいみ? 次の言葉はなんでしょう? メンデス男爵は睡眠薬と言おうとしたのでしょう? でもなんで睡眠薬をいれたのか理由がわからない。やっぱり殺そうとしたんですね?」
「いや、殺そうとしたのではないってば。毒なんかじゃない。ただの睡眠薬をほんのちょっといれただけさ。朝まで寝てくれればいいと思った。それだけなんだ! 決して殺そうなんて思ってもいなかった。信じてくれよ! ほんとだって!」
メンデス男爵はフルフルと首を振る。高位貴族の殺人未遂は死刑だからだ。
「すみません。国王陛下! 私に発言権をください。私はメンデス男爵に睡眠薬を売りました。即効性のある睡眠薬でレンドルミン草から抽出したものです。それは必ず水で飲まなければ副作用が現れ死に至るとこもあります。幻覚が現れ朝まで目が覚めなかったことを考えればこれを飲ませたことは間違いないでしょう。問題は飲ませた量です。正確に計って飲まなければ、永遠に目覚めないこともありますからね。ですから、どう考えてもメンデス男爵は殺そうとしたのでしょうね」
「嘘だ! でたらめを言うな! 私がアラベスク侯爵を殺してなんの得がある? 私はただ娘をアラベスク侯爵夫人にしたかっただけなんだぁーー!! 確かにそれをいれたのは認めるよ。だが殺意なんて全くなかった! ポピーと一夜をともにすればいいと思っただけなんだ!! 娘の将来の為にやってだけさ」
(もう白状しちゃったよ。早すぎるなぁーー)
こんな調子だと、すぐに決着がつきそうだ。
「でも、それが薬のせいだとしても私は純潔を奪われたのですから、ジョシュア様は私を娶る義務があると思います!」
ポピーが横から口を挟み同情を誘うように泣き出した。
泣いたからって裁判は終わらないよ。
「その”純潔の証”こちらに渡してくれ! 調べたい」
「そんなもの恥ずかしくてお見せできません!」
ポピーは最後まで拒んだが国王陛下の命令でしぶしぶ提出。私は早速、血液検査技師に渡しその場で調べてもらった。
「ん? これ、人間の血じゃないです。ウサギの血ですね」
傍聴席はざわめきだし、ポピーに非難の声があがる。
「こんな小細工をするからには、ポピーの身体も検査したいですね。エリザ・ルソー医師から診察を受けてもらうことを要求しますよ。国王陛下、許可をください。エリザ医師は傍聴人席で、すでに待機しています!」
「ふむ、許そう」
別室でエリザ医師が診察している間、メンデス男爵とゴーサンス準男爵は放心状態だ。ポピーを伴って戻ってきたエリザ医師は無表情で言い放つ。
「ポピー嬢は、現在妊娠4ヶ月でございます!」
42
お気に入りに追加
1,419
あなたにおすすめの小説
あなたの愛が正しいわ
来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~
夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。
一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。
「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
【完結】冷遇・婚約破棄の上、物扱いで軍人に下賜されたと思ったら、幼馴染に溺愛される生活になりました。
えんとっぷ
恋愛
【恋愛151位!(5/20確認時点)】
アルフレッド王子と婚約してからの間ずっと、冷遇に耐えてきたというのに。
愛人が複数いることも、罵倒されることも、アルフレッド王子がすべき政務をやらされていることも。
何年間も耐えてきたのに__
「お前のような器量の悪い女が王家に嫁ぐなんて国家の恥も良いところだ。婚約破棄し、この娘と結婚することとする」
アルフレッド王子は新しい愛人の女の腰を寄せ、婚約破棄を告げる。
愛人はアルフレッド王子にしなだれかかって、得意げな顔をしている。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。

恋愛に興味がない私は王子に愛人を充てがう。そんな彼は、私に本当の愛を知るべきだと言って婚約破棄を告げてきた
キョウキョウ
恋愛
恋愛が面倒だった。自分よりも、恋愛したいと求める女性を身代わりとして王子の相手に充てがった。
彼は、恋愛上手でモテる人間だと勘違いしたようだった。愛に溺れていた。
そんな彼から婚約破棄を告げられる。
決定事項のようなタイミングで、私に拒否権はないようだ。
仕方がないから、私は面倒の少ない別の相手を探すことにした。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる