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3 別人と疑われて
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絶対、ディロン様は、タタムさんが嫌いじゃない気がする・・・?
私が、頭のなかで呟くと、
『そんなことはありません!私は、嫌われているんです。『私は5歳も年増なのですから・・・』』
そんな言葉を、頭のなかで私でない私多分、本物のタタムさんが呟いた。
「タタムさん!年齢は関係ないよ? タタムさんはディロンさんが好きなんでしょう?」
私が尋ねると沈黙してしまったけれど、乙女心は伝わってきたわ。タタムさんは、私より年上だけど、なんだか可愛い。
でも、その日は、それっきり、タタムさんは話しかけてこなかった。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
ーー翌朝ーー
私は、ディロン様に元気よく挨拶をした。
「おはようございます!」
「あ、うん」
戸惑っているけれど、お返事をしてくれるのはいいことだ。
「あぁ、お腹が空きました。えっと、私もトーストと卵をいただいてよろしいですか?」
ディロン様が食べているお皿を見て、そう尋ねると、私はディロン様の真横に座った。
「タタムが朝食を食べる? 珍しいな。でも、君の席は真向かいだよ」
ディロン様は、その細長いテーブルのちょうど反対側を指さした。
「あんなに遠くに座ったら、ディロン様と話せませんから・・・この席がいいです。今日は、お天気がよくて気持ちの良い日ですねぇーー」
私は、にこにこしてディロン様に言うと、運ばれてきた焼きたてのパンをかじって呟いた。
「美味しい・・・」
ディロン様は、また首を傾げ、厨房からは、感動の声が聞こえてきた。
「うわぉ! 奥様に褒められるなんて、なんて嬉しいんだ!」
「え? すごっく美味しいですよ? この卵もふわふわだし、ベーコンの塩加減もとてもいいわ! やっぱり、西遊マートで特売品のベーコンとは、お味が違うのね」
私が、しきりに感心していると、厨房からいそいそとコックさんが出てきた。
「そうなのですよ! このべーコンは自家製でして・・・・・・」
その長い説明を、私は感心して頷きながら聞いていた。ベーコンの作り方を、教わって少し得をした気分の私は、お返しに茶碗蒸しの作り方を教えてあげた。
「ほぉーー。そのような料理は、初めて聞きました! 早速、作ってみます!」
私は、にっこり微笑み、今日の夕飯に食べられそうな予感がして嬉しくなった。
私が上機嫌で、食事をしていると、ディロン様が気難しげな表情で私の顔をじっと、見つめた。
「タタム! 君は、本当にタタムかい? なにか・・・別人な気がするんだが」
疑わしげな口調で言われて、ドキリとする。タタムさんは、王女様だっけ。料理なんてしたこともないはずだ。
茶碗蒸しなんて、まずいことを言ってしまったかもしれない。
私は、誤魔化したくて、ディロン様のお口の前にフォークに刺したベーコンをさしだした。
「ディロン様、はい、あーーんしてくださいね!」
あれ? なぜ、ディロン様は耳まで赤くなっているのかしら?
私は、なかなか食べようとしないディロン様に、つい強い口調で言っていた。
「せっかく、コックさんが、手間暇かけて作ったベーコンですよ? お口を開けないと、無理にでも食べさせますからね」
ん? なんで、周りにいる次女達まで、真っ赤になっているの?
ディロン様は、私の手に、そっと自分の手を添えて、超絶色っぽい笑みを浮かべた。
「妻の申し出は、喜んで受けよう! 今日は、なるべく早く仕事をかたづけるからね」
フォークの先の香ばしいベーコンをパクッと食べると、ディロン様は私の顔にゆっくりと近づいてきて、唇にそっとキスを落とした。
なんだったの? 今の?
頭のなかで、タタムさんが、『きゃぁきゃぁ』と声をあげていた。
「なんでしょう? タタムさん?」
私は、タタムさんと脳内会話をして・・・衝撃の事実に・・・侍女達の誰よりも顔を赤くしたのだった。
私が、頭のなかで呟くと、
『そんなことはありません!私は、嫌われているんです。『私は5歳も年増なのですから・・・』』
そんな言葉を、頭のなかで私でない私多分、本物のタタムさんが呟いた。
「タタムさん!年齢は関係ないよ? タタムさんはディロンさんが好きなんでしょう?」
私が尋ねると沈黙してしまったけれど、乙女心は伝わってきたわ。タタムさんは、私より年上だけど、なんだか可愛い。
でも、その日は、それっきり、タタムさんは話しかけてこなかった。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
ーー翌朝ーー
私は、ディロン様に元気よく挨拶をした。
「おはようございます!」
「あ、うん」
戸惑っているけれど、お返事をしてくれるのはいいことだ。
「あぁ、お腹が空きました。えっと、私もトーストと卵をいただいてよろしいですか?」
ディロン様が食べているお皿を見て、そう尋ねると、私はディロン様の真横に座った。
「タタムが朝食を食べる? 珍しいな。でも、君の席は真向かいだよ」
ディロン様は、その細長いテーブルのちょうど反対側を指さした。
「あんなに遠くに座ったら、ディロン様と話せませんから・・・この席がいいです。今日は、お天気がよくて気持ちの良い日ですねぇーー」
私は、にこにこしてディロン様に言うと、運ばれてきた焼きたてのパンをかじって呟いた。
「美味しい・・・」
ディロン様は、また首を傾げ、厨房からは、感動の声が聞こえてきた。
「うわぉ! 奥様に褒められるなんて、なんて嬉しいんだ!」
「え? すごっく美味しいですよ? この卵もふわふわだし、ベーコンの塩加減もとてもいいわ! やっぱり、西遊マートで特売品のベーコンとは、お味が違うのね」
私が、しきりに感心していると、厨房からいそいそとコックさんが出てきた。
「そうなのですよ! このべーコンは自家製でして・・・・・・」
その長い説明を、私は感心して頷きながら聞いていた。ベーコンの作り方を、教わって少し得をした気分の私は、お返しに茶碗蒸しの作り方を教えてあげた。
「ほぉーー。そのような料理は、初めて聞きました! 早速、作ってみます!」
私は、にっこり微笑み、今日の夕飯に食べられそうな予感がして嬉しくなった。
私が上機嫌で、食事をしていると、ディロン様が気難しげな表情で私の顔をじっと、見つめた。
「タタム! 君は、本当にタタムかい? なにか・・・別人な気がするんだが」
疑わしげな口調で言われて、ドキリとする。タタムさんは、王女様だっけ。料理なんてしたこともないはずだ。
茶碗蒸しなんて、まずいことを言ってしまったかもしれない。
私は、誤魔化したくて、ディロン様のお口の前にフォークに刺したベーコンをさしだした。
「ディロン様、はい、あーーんしてくださいね!」
あれ? なぜ、ディロン様は耳まで赤くなっているのかしら?
私は、なかなか食べようとしないディロン様に、つい強い口調で言っていた。
「せっかく、コックさんが、手間暇かけて作ったベーコンですよ? お口を開けないと、無理にでも食べさせますからね」
ん? なんで、周りにいる次女達まで、真っ赤になっているの?
ディロン様は、私の手に、そっと自分の手を添えて、超絶色っぽい笑みを浮かべた。
「妻の申し出は、喜んで受けよう! 今日は、なるべく早く仕事をかたづけるからね」
フォークの先の香ばしいベーコンをパクッと食べると、ディロン様は私の顔にゆっくりと近づいてきて、唇にそっとキスを落とした。
なんだったの? 今の?
頭のなかで、タタムさんが、『きゃぁきゃぁ』と声をあげていた。
「なんでしょう? タタムさん?」
私は、タタムさんと脳内会話をして・・・衝撃の事実に・・・侍女達の誰よりも顔を赤くしたのだった。
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