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5 辺境伯サイド・いざ初夜の直前まで (最終話)
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なんだろうな・・・いつものタタムじゃないから調子が狂うなぁ。私が王女をもらい受けたのは、辺境の魔物の一掃に貢献したからだった。
「褒美をとらす。なにが、いいか?」
王に、上機嫌で問われて、迷わずタタム姫をくださいと申し上げた。
タタムは私より5歳上の、とても美しい女性だ。初めて見たときから一目ぼれだった。
王は笑いながら快諾してくださったが、王太子様は、やたらと私をからかった。
「タタムが好きだったなんて・・・全然知らなかったぞ!」
何回もタタムの前でからかわれて・・・
私は、つい恥ずかしくて・・・心にもないことを言っていた。
「決して、好きなわけではありません! 5歳も上なんですよ!」
王様達には、聞こえなかったが、側にいたタタムだけには聞こえていた。王太子様は酒に酔っていたから翌日には忘れていたが、タタムはしらふだったんだ。
その失態は、とりかえせずに、妻に迎えてからは、なにかといえば『私はあなたより5歳も年増ですから』と言われ拗ねられた。
いくら、挽回したくても、チャンスに恵まれずに今まで、きてしまった。だから、情けないことに結婚してから、半年も経つのに白い結婚のままだった。
寝室に誘おうにも、声をかければ嫌な顔をされたし、タタムの寝室に無理矢理入るのも気が引けた。
ところが、今日は、彼女のほうから誘ってきてくれた。嬉しくて、頑張って仕事に取りかかっていると庭園からタタムの笑い声が聞こえた。
庭師に混じって、にこにこしながら、花を植え替えている姿はかわいすぎて、ほかの男には見せたくない!
私は、仕事を中断して、タタムを迎えに行った。大事なタタムは、しっかりと私が、守らなければ!
タタムを抱いて、執務室に運び、そのまま仕事をした。タタムは賢くて、数字の不正を瞬時に突き止めた。さすがは、私の妻だ!
この大好きな大事な妻は、私だけのものだ。
午後になると、タタムは、料理を習いたいと言い出して、厨房に行ってしまった。その後、タタムの様子を見に行くと、刺繍をしながら侍女達とおしゃべりをしていて、朗らかな笑い声をあげている。妻の機嫌がいいのは、嬉しいと思う。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
やっと、仕事を終えると、湯浴みをして、磨き上げられたタタムが庭園の四阿にいた。花の香りがふわっと漂うなか、彼女は可愛らしい独り言を言っていた。
「タタムは、ディロン様が大好き・・・・・・」
自分のことを、タタムって呼んでいるのが、子供っぽくて、とても愛らしかった。
「私も、タタムが大好きだよ」
タタムが、ゆっくり振り返って、困ったような笑顔を浮かべた。
「私が5歳上でもですか?」
さっきまでの可愛らしい声が、少しだけ低いハスキーな声になった。以前と同じような冷たい眼差しに一瞬戻った気がした。
「例え10歳年上でも私は全然、気にはならないよ・・・タタムだから、好きなのだから」
タタムは、少女のように笑ったかと思うと、次の瞬間は誘惑するように私の首に手を回した。
タタムって、不思議だな。少女のような時と、大人の女のような時と、いろいろな表情を浮かべるから目が離せないよ。
「マイプリンセス。お手をどうぞ」
私は、タタムを寝室へとエスコートする。まだ、夕方になりかけたばかりだけれど、構わないさ。愛し合うのに時間なんて関係ないだろう?
完
🌷おまけ1ーー夫婦の寝室にてーー
「タタム! ちょっと、タタム! そこで、気を失うのはやめてぇーー。え? えぇーー。ちょっと、まってぇーー。あたし・・・高校生なんですけどっぉぉおーー!」
ディロン様に翻弄されるタタムと私なのでした。いや、なんていうか・・・夜の話ね・・・
🌷おまけ2ーーおよそ1年後の出産時にてーー
「タタム! ほら、呼吸法を一緒にするわよ? ヒッ・ヒッ・フー。ヒッ・ヒッ・フー。痛いけど我慢よぉーー! ってか、いたぁあーいぃーー! もうダメ、タタム、代わってぇーー。えぇーー! タタム、気を失うのはやめてぇえーー!」
なんだろうな・・・いつものタタムじゃないから調子が狂うなぁ。私が王女をもらい受けたのは、辺境の魔物の一掃に貢献したからだった。
「褒美をとらす。なにが、いいか?」
王に、上機嫌で問われて、迷わずタタム姫をくださいと申し上げた。
タタムは私より5歳上の、とても美しい女性だ。初めて見たときから一目ぼれだった。
王は笑いながら快諾してくださったが、王太子様は、やたらと私をからかった。
「タタムが好きだったなんて・・・全然知らなかったぞ!」
何回もタタムの前でからかわれて・・・
私は、つい恥ずかしくて・・・心にもないことを言っていた。
「決して、好きなわけではありません! 5歳も上なんですよ!」
王様達には、聞こえなかったが、側にいたタタムだけには聞こえていた。王太子様は酒に酔っていたから翌日には忘れていたが、タタムはしらふだったんだ。
その失態は、とりかえせずに、妻に迎えてからは、なにかといえば『私はあなたより5歳も年増ですから』と言われ拗ねられた。
いくら、挽回したくても、チャンスに恵まれずに今まで、きてしまった。だから、情けないことに結婚してから、半年も経つのに白い結婚のままだった。
寝室に誘おうにも、声をかければ嫌な顔をされたし、タタムの寝室に無理矢理入るのも気が引けた。
ところが、今日は、彼女のほうから誘ってきてくれた。嬉しくて、頑張って仕事に取りかかっていると庭園からタタムの笑い声が聞こえた。
庭師に混じって、にこにこしながら、花を植え替えている姿はかわいすぎて、ほかの男には見せたくない!
私は、仕事を中断して、タタムを迎えに行った。大事なタタムは、しっかりと私が、守らなければ!
タタムを抱いて、執務室に運び、そのまま仕事をした。タタムは賢くて、数字の不正を瞬時に突き止めた。さすがは、私の妻だ!
この大好きな大事な妻は、私だけのものだ。
午後になると、タタムは、料理を習いたいと言い出して、厨房に行ってしまった。その後、タタムの様子を見に行くと、刺繍をしながら侍女達とおしゃべりをしていて、朗らかな笑い声をあげている。妻の機嫌がいいのは、嬉しいと思う。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
やっと、仕事を終えると、湯浴みをして、磨き上げられたタタムが庭園の四阿にいた。花の香りがふわっと漂うなか、彼女は可愛らしい独り言を言っていた。
「タタムは、ディロン様が大好き・・・・・・」
自分のことを、タタムって呼んでいるのが、子供っぽくて、とても愛らしかった。
「私も、タタムが大好きだよ」
タタムが、ゆっくり振り返って、困ったような笑顔を浮かべた。
「私が5歳上でもですか?」
さっきまでの可愛らしい声が、少しだけ低いハスキーな声になった。以前と同じような冷たい眼差しに一瞬戻った気がした。
「例え10歳年上でも私は全然、気にはならないよ・・・タタムだから、好きなのだから」
タタムは、少女のように笑ったかと思うと、次の瞬間は誘惑するように私の首に手を回した。
タタムって、不思議だな。少女のような時と、大人の女のような時と、いろいろな表情を浮かべるから目が離せないよ。
「マイプリンセス。お手をどうぞ」
私は、タタムを寝室へとエスコートする。まだ、夕方になりかけたばかりだけれど、構わないさ。愛し合うのに時間なんて関係ないだろう?
完
🌷おまけ1ーー夫婦の寝室にてーー
「タタム! ちょっと、タタム! そこで、気を失うのはやめてぇーー。え? えぇーー。ちょっと、まってぇーー。あたし・・・高校生なんですけどっぉぉおーー!」
ディロン様に翻弄されるタタムと私なのでした。いや、なんていうか・・・夜の話ね・・・
🌷おまけ2ーーおよそ1年後の出産時にてーー
「タタム! ほら、呼吸法を一緒にするわよ? ヒッ・ヒッ・フー。ヒッ・ヒッ・フー。痛いけど我慢よぉーー! ってか、いたぁあーいぃーー! もうダメ、タタム、代わってぇーー。えぇーー! タタム、気を失うのはやめてぇえーー!」
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