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介護に奮闘するイザベラと、ジェネシスの恋がちょっぴり(イザベラ視点)
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ジェネシスの病院で介護の仕事を任された。主な仕事は老人の下のお世話と食事を食べさせることだった。それほど、難しい仕事ではないと思っていたが、甘かった。
オムツからしみ出した汚物を処理し、体をお湯で濡らしたタオルで拭く。
「あぁ、熱いよ! もっとそのタオルを冷まさせておくれよ。・・・・・・ひゃぁ、今度は冷たい! まともに、体も拭けないのかい?」
下半身をさらけ出し、私にタオルで拭いてもらいながら悪態をつく老人は、驚くほど多かった。
それでも、なかには、感謝してお礼を言ってくれる老人もいた。
「まだ、若くて、そんなに綺麗なのに、こんな大変な仕事をよく頑張っているね。あんたは、偉いよぉ。・・・・・・あぁ、今日も、ありがとうねぇ。これで、気持ちよく、過ごせる。あんたのお陰だね」
そう言って、拝むように感謝してくれるお婆さんも数人いて、そんな時は、たまらなく嬉しかった。
食事の世話も、ただ、機械的に食べさせればいいわけじゃなかった。話しかけながら、その人の食事のペースにあわせながら、タイミング良く食物をスプーンですくって、口の前に持って行く。
「あ、それは、嫌いだ! うわ、このスープは、味がないじゃないかい!」
「病院の食事は、その方の体の病気に合わせて作られておりますから・・・・・・塩分が控えられているのはその為でしょう」
私が言うと、そっぽを向いて、『ここの食事は最低だ! もう食べない!』と駄々をこねる人も多かった。
それでも、やはり、感謝して、必ずお礼を言ってくれる人もいて・・・・・・これが、一番、人間に大事なことなんだと気づかされた。
「今日のご飯も美味しいよ。あぁ、・・・・・・この煮物は最高だ。今日も、生きていて、こうしてご飯が食べられる最高だよ。ありがとう」
そう言われると、心がほんわかするのは、なぜだろう・・・・・・男達と遊んでいても快楽は得られたけれど、こんな充足感とほんわかした気持ちはもらったことがない・・・・・・
ジェネシスは、この病院の院長として頑張っている。マザラン伯爵家の次男のレスリー様が副院長で、二人は良い感じに見えた。私は、この二人は、本当にお似合いだと思っていた。
この仕事も、悪くはないな、と感じた頃に事件は起きた。
「あたしの財布がないよーー! あんただろぉーー!あんたが盗ったんだぁー」
いつもは、人が良くて、感謝の言葉を呟くお婆さんの一人が私にタオルを投げつけて、そう言ったのだった。
オムツからしみ出した汚物を処理し、体をお湯で濡らしたタオルで拭く。
「あぁ、熱いよ! もっとそのタオルを冷まさせておくれよ。・・・・・・ひゃぁ、今度は冷たい! まともに、体も拭けないのかい?」
下半身をさらけ出し、私にタオルで拭いてもらいながら悪態をつく老人は、驚くほど多かった。
それでも、なかには、感謝してお礼を言ってくれる老人もいた。
「まだ、若くて、そんなに綺麗なのに、こんな大変な仕事をよく頑張っているね。あんたは、偉いよぉ。・・・・・・あぁ、今日も、ありがとうねぇ。これで、気持ちよく、過ごせる。あんたのお陰だね」
そう言って、拝むように感謝してくれるお婆さんも数人いて、そんな時は、たまらなく嬉しかった。
食事の世話も、ただ、機械的に食べさせればいいわけじゃなかった。話しかけながら、その人の食事のペースにあわせながら、タイミング良く食物をスプーンですくって、口の前に持って行く。
「あ、それは、嫌いだ! うわ、このスープは、味がないじゃないかい!」
「病院の食事は、その方の体の病気に合わせて作られておりますから・・・・・・塩分が控えられているのはその為でしょう」
私が言うと、そっぽを向いて、『ここの食事は最低だ! もう食べない!』と駄々をこねる人も多かった。
それでも、やはり、感謝して、必ずお礼を言ってくれる人もいて・・・・・・これが、一番、人間に大事なことなんだと気づかされた。
「今日のご飯も美味しいよ。あぁ、・・・・・・この煮物は最高だ。今日も、生きていて、こうしてご飯が食べられる最高だよ。ありがとう」
そう言われると、心がほんわかするのは、なぜだろう・・・・・・男達と遊んでいても快楽は得られたけれど、こんな充足感とほんわかした気持ちはもらったことがない・・・・・・
ジェネシスは、この病院の院長として頑張っている。マザラン伯爵家の次男のレスリー様が副院長で、二人は良い感じに見えた。私は、この二人は、本当にお似合いだと思っていた。
この仕事も、悪くはないな、と感じた頃に事件は起きた。
「あたしの財布がないよーー! あんただろぉーー!あんたが盗ったんだぁー」
いつもは、人が良くて、感謝の言葉を呟くお婆さんの一人が私にタオルを投げつけて、そう言ったのだった。
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