10 / 24
ハチャメチャ裁判その2(イザベラ視点)
しおりを挟む
「ち、違います! そのアーロンは妹のジェネシスの恋人で会ったばかりです! 不貞なんてしてないわよ! まだ、最後までしてなかったんだから!」
皆が一斉にこっちを見た。あら、なんか変なことを言ったかしら?
「え? そんなことをする時間など、あったか?」
お父様は、びっくりしているし、お母様は舌打ちをした。
「え? お父様が離婚届けをワトソン家に渡しに行った間よ!」
あ、しまった・・・・・・離婚届けを渡しに行ったことをしゃべっちゃった。お母様はまた舌打ちをした。だって、お父様はいつしたんだ?って聞くからつい言っちゃったのよ。
「まだ? まだとは・・・・・・どこまでを言うのでしょう? ぜひ、教えていただきたいものですねぇ」
裁判官が眼鏡越しに私を睨み付けた。はぁ? そんなこともわからないの? だったら、教えてあげるわよ!
「最後までは、最後までよ! 挿入することを言います。決まっているでしょう? そこまでしたら不貞行為なんでしょう?」
「よく、わかっていらっしゃいますね? やはり、そういう類いのことをやらかす人はよく知っているものなんですねぇ」
なに、この裁判官、意味わかんないこと言っているのよ?
「妹の恋人の会ったばかりの男と結婚していながら、不貞行為手前までする女性の言うことは信用できませんね?全く、こんな馬鹿らしい話は初めて聞いたわ!」
なによ! この世には会ったばかりで恋に落ちるカップルだって多いじゃないよ!
「なんでよ! 結婚してたって人を好きになることだってあるでしょう? 小説だって歌劇だって、そんな場面があるからこそ、盛り上げるんじゃないよ! 貴女みたいな男性に相手にもされない女にはわからないわよ!」
私は、その赤いフレームの眼鏡の女を見た。髪はひっつめて、薄い口紅をさしただけだ。頬紅だって塗っていない!こんな女にはモテる女の気持ちなんかわからないわよ!
「はい、わかりませんね。狂った方達の気持ちはわかりたくもありませんのでちょうど良かったです。それで、あとは、何を申し立てるおつもりですか?」
「え? だから伯爵夫人になれないなら、私の心の痛みに対する慰謝料よ! 決まっているわ!」
「それは、無理ですね。だって、あなたにはすでに不貞寸前の恋人がいたのでしょう? 心の痛みなんてあるわけがないでしょう? 慰謝料なんて請求できません! ただ、財産分与ということで、2年間連れ添っていたぶんは考慮されると思いますけれど、あなたは実際のところ一銭も、もらえないでしょうね」
「おかしいじゃない! そんなの絶対おかしいわ! 」
この世界の法律が間違っているのよ!
「いいですか? 財産分与というのはですね・・・・・・『夫婦が婚姻生活で作り上げてきた共同財産を清算する』
『離婚後における一方側の扶養目的として支払う』『離婚慰謝料の意味を含めて、財産分与で配分する』がありまして、あなたはどれにもあてはまりません」
「はぁーー? なに、難しい言葉並べて誤魔化そうとしているのよ? だいたい、法律家ってなんで固い言葉ばかり使うのよ!」
あぁ、頭にくるわ!
「では、貴女の溶けそうな頭にも理解できるように言いましょうか? アーシャさんの財産はイザベラさんの協力は一切なく作られたものなので、イザベラさんには分け前はいきません!」
「そんなはずはないわ! アーシャが風邪を引いた時に、一度だけお粥を作ってあげたことがあります! あぁ、あとは・・・・・・なにをしたっけ? 思い出せないわ・・・・・・んーー、あぁ、えっと、アーシャにしてもらったことしか思い浮かばない・・・・・・わ」
だって、料理を作るのはお手伝いさんに来てもらっていた。アーシャは爵位はないけれど大臣の秘書でお給料はかなり良かったし・・・・・・私がなにもしなくても良かったんだもの。
私は暇な時間は実家に入り浸ってお母様と楽しくおしゃべりして、たまには友人とお茶をして、そしてたまには男性のお友達と少しだけスキンシップしていただけよ? スキンシップしていたなんて、ばれっこないし・・・・・・
「さて、ではワトソン家から慰謝料を請求させてもらいますよ!」
バサッと音がして、分厚いノートが机に叩きつけられた。
私は、ビクッとし、我に返って前を見ると、メーガン・ワトソン前伯爵夫人が不気味に笑っていたのだった。
皆が一斉にこっちを見た。あら、なんか変なことを言ったかしら?
「え? そんなことをする時間など、あったか?」
お父様は、びっくりしているし、お母様は舌打ちをした。
「え? お父様が離婚届けをワトソン家に渡しに行った間よ!」
あ、しまった・・・・・・離婚届けを渡しに行ったことをしゃべっちゃった。お母様はまた舌打ちをした。だって、お父様はいつしたんだ?って聞くからつい言っちゃったのよ。
「まだ? まだとは・・・・・・どこまでを言うのでしょう? ぜひ、教えていただきたいものですねぇ」
裁判官が眼鏡越しに私を睨み付けた。はぁ? そんなこともわからないの? だったら、教えてあげるわよ!
「最後までは、最後までよ! 挿入することを言います。決まっているでしょう? そこまでしたら不貞行為なんでしょう?」
「よく、わかっていらっしゃいますね? やはり、そういう類いのことをやらかす人はよく知っているものなんですねぇ」
なに、この裁判官、意味わかんないこと言っているのよ?
「妹の恋人の会ったばかりの男と結婚していながら、不貞行為手前までする女性の言うことは信用できませんね?全く、こんな馬鹿らしい話は初めて聞いたわ!」
なによ! この世には会ったばかりで恋に落ちるカップルだって多いじゃないよ!
「なんでよ! 結婚してたって人を好きになることだってあるでしょう? 小説だって歌劇だって、そんな場面があるからこそ、盛り上げるんじゃないよ! 貴女みたいな男性に相手にもされない女にはわからないわよ!」
私は、その赤いフレームの眼鏡の女を見た。髪はひっつめて、薄い口紅をさしただけだ。頬紅だって塗っていない!こんな女にはモテる女の気持ちなんかわからないわよ!
「はい、わかりませんね。狂った方達の気持ちはわかりたくもありませんのでちょうど良かったです。それで、あとは、何を申し立てるおつもりですか?」
「え? だから伯爵夫人になれないなら、私の心の痛みに対する慰謝料よ! 決まっているわ!」
「それは、無理ですね。だって、あなたにはすでに不貞寸前の恋人がいたのでしょう? 心の痛みなんてあるわけがないでしょう? 慰謝料なんて請求できません! ただ、財産分与ということで、2年間連れ添っていたぶんは考慮されると思いますけれど、あなたは実際のところ一銭も、もらえないでしょうね」
「おかしいじゃない! そんなの絶対おかしいわ! 」
この世界の法律が間違っているのよ!
「いいですか? 財産分与というのはですね・・・・・・『夫婦が婚姻生活で作り上げてきた共同財産を清算する』
『離婚後における一方側の扶養目的として支払う』『離婚慰謝料の意味を含めて、財産分与で配分する』がありまして、あなたはどれにもあてはまりません」
「はぁーー? なに、難しい言葉並べて誤魔化そうとしているのよ? だいたい、法律家ってなんで固い言葉ばかり使うのよ!」
あぁ、頭にくるわ!
「では、貴女の溶けそうな頭にも理解できるように言いましょうか? アーシャさんの財産はイザベラさんの協力は一切なく作られたものなので、イザベラさんには分け前はいきません!」
「そんなはずはないわ! アーシャが風邪を引いた時に、一度だけお粥を作ってあげたことがあります! あぁ、あとは・・・・・・なにをしたっけ? 思い出せないわ・・・・・・んーー、あぁ、えっと、アーシャにしてもらったことしか思い浮かばない・・・・・・わ」
だって、料理を作るのはお手伝いさんに来てもらっていた。アーシャは爵位はないけれど大臣の秘書でお給料はかなり良かったし・・・・・・私がなにもしなくても良かったんだもの。
私は暇な時間は実家に入り浸ってお母様と楽しくおしゃべりして、たまには友人とお茶をして、そしてたまには男性のお友達と少しだけスキンシップしていただけよ? スキンシップしていたなんて、ばれっこないし・・・・・・
「さて、ではワトソン家から慰謝料を請求させてもらいますよ!」
バサッと音がして、分厚いノートが机に叩きつけられた。
私は、ビクッとし、我に返って前を見ると、メーガン・ワトソン前伯爵夫人が不気味に笑っていたのだった。
12
お気に入りに追加
1,836
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
愛は全てを解決しない
火野村志紀
恋愛
デセルバート男爵セザールは当主として重圧から逃れるために、愛する女性の手を取った。妻子や多くの使用人を残して。
それから十年後、セザールは自国に戻ってきた。高い地位に就いた彼は罪滅ぼしのため、妻子たちを援助しようと思ったのだ。
しかしデセルバート家は既に没落していた。
※なろう様にも投稿中。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる