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番外編
12 アーサックの幸せ
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薬草士としてキンバリー伯爵家に雇ってもらった僕は、キャンディスが幸せなことが嬉しかった。いつも憧れていただけで自分の物にしようなんてだいそれた望みは一度もなかった。僕はデブの愚図でのろまだったし、釣り合わないことぐらいわかっていたから。学園時代も馬車でおくっていった時は、もう少し一緒にいたかっただけで乱暴とかするつもりはなかったし、屋敷に忍びこんだ時も襲う気じゃなかった。カエラの言葉を信じてしまった自分がバカだったと思う。
「君はいつまでデブの愚図って言われつづけるつもりだい?」
「いつまで・・・・・・わかりません」
「自分でできることを放棄してばかりいるから、女性にも相手にされない。それは生れつきではなくて、怠け者だからだよ」
ケーシー様が蔑んだ眼差しで僕を見つめた。そりゃ、ケーシー様みたいに生まれつき美しい人には、僕の気持ちはわからない。
「痩せることぐらいやってみろ!」
そんな言葉に悔しくて、食べる物を我慢してみた。特別な物を食べたわけじゃない。いつもの食べ物を3割残しただけだ。一ヶ月もすると少し痩せて顔もしまってきた。嬉しくて今度は4割残して朝は歩くことにした。それだけで一年もすると、すっかりスリムになって仕事の能率もはかどった。
「アーサック、やればできるじゃないか? 顔の造作は変えられなくても、体型や行動は変えられることがわかっただろう? 頑張ったな!」
ケーシー様はわざと酷いことを言ったんだってわかった。
そうすると身だしなみにも気をつけるし、人にも自信をもって話しかけられるようになったんだ。もとから痩せている人にはわからないだろうな。生まれ変わったようなこの気持ちって。
ꕤ୭*
「私の娘とお見合いしてみませんか? 年頃なのですが、なかなか出会いがないようで・・・・・・」
機敏に動いて仕事をこなしているうちに、キンバリー伯爵家に出入りする商人にそこの娘を紹介された。
気持ちの優しい子で料理が得意だった。一目ぼれとか、そんな劇的なものはお互いない。でも、会って話をするうちにゆっくりと大事な人だって思えるようになった。
彼女の名前はマーガレット、僕に話しかける言葉は優しい。だから、僕も同じく優しい言葉を返す。
優しい気持ちと思いやりが、やがて穏やかな愛になった。
僕らは結婚して子供が産まれた。可愛い女の子で名前はカレン。花が好きでその日も綺麗な花を摘んで押し花にしていた。押し花のしおりをマーガレットと作ると、ひときわ上手にできたピンクの花のしおりをキャンディス様にあげたいと言ってきたんだ。
「キャンディス様。僕の娘がつくったしおりなんですが、使ってくれますか?」
「まぁ、もちろんよ。ありがとう、とても綺麗だわ。可愛いピンクのお花ねぇ」
おまけ🌷キャンディス視点
「あら、また読んでいたページじゃないところに挟まっているわー」
このしおりは不思議だ。私が挟んだところよりも必ず2,3ページ前の場所に挟まれている。
そして、私はその夜に夢を見た。しおりの花が楽しそうに本を読んでいる夢だ。
「お姉様は読むのが速すぎますわ」
カエラがよく私に言っていた言葉を口にするピンクの花・・・・・・これって・・・・・・
私は修道院から聞いていた言葉を思い出した。子供を助けるために溺れたカエラは・・・・・・
ティーカップやスプーンが子供になるんだもの。この花はきっと・・・・・・。それから私は楽しい本を読む時はこのピンクの花のしおりと、もう一枚自分のしおりを挟むようにしている。
だって、このピンクの花は自分の好きな場所にいつも挟まっているんですもの! カエラ、楽しいお話の本をたくさん揃えてあげましょうね! 私はこのピンクの花のしおりに、話しかけたのだった。
おまけ🌼
キンバリー伯爵家の庭園では3人の子供と薬草士の2人の子供が走り回っている。
「ウィルは私が大きくなるまで待っていてね!」
イレーヌと呼ばれた子供だけは、執事のウィルにぴったりくっついていて、走り回る子供を大人のような眼差しで見ていた。
他の子供達は仲良くおしゃべりしながら花を摘み押し花にしていた。どれも綺麗なしおりになったがページを勝手に移動するのは、ピンクの花のあのしおりだけだったとさ・・・・・・✩°。⋆⸜(ू˙꒳˙ )໒꒱
おしまい
すっかりお伽話になりました(•́∀•̀ฅ)💧
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
以下、がむしゃらな(¯―¯٥)💦宣伝です。不快な方は、すっとばしてくださいませ。
「愛をくれた人」ʚ( •ω• )ɞ˚
とても、真面目なテーマですが明るいところもあり、恋も盛り込み、学校生活も盛り込みました。
青空にしては、超真面目に書いております୧(⑉•̀ㅁ•́⑉)૭✧
是非とも応援していただけると嬉しいです
꒭ʒႱくオネガイシマス♡(🌼◕ ᴗ ◕„)ノ_🍵♡
「小説家になろう」で
「オリビアの恋」を投稿しております。えっと、アルファのを少し修正してやっております。
「君はいつまでデブの愚図って言われつづけるつもりだい?」
「いつまで・・・・・・わかりません」
「自分でできることを放棄してばかりいるから、女性にも相手にされない。それは生れつきではなくて、怠け者だからだよ」
ケーシー様が蔑んだ眼差しで僕を見つめた。そりゃ、ケーシー様みたいに生まれつき美しい人には、僕の気持ちはわからない。
「痩せることぐらいやってみろ!」
そんな言葉に悔しくて、食べる物を我慢してみた。特別な物を食べたわけじゃない。いつもの食べ物を3割残しただけだ。一ヶ月もすると少し痩せて顔もしまってきた。嬉しくて今度は4割残して朝は歩くことにした。それだけで一年もすると、すっかりスリムになって仕事の能率もはかどった。
「アーサック、やればできるじゃないか? 顔の造作は変えられなくても、体型や行動は変えられることがわかっただろう? 頑張ったな!」
ケーシー様はわざと酷いことを言ったんだってわかった。
そうすると身だしなみにも気をつけるし、人にも自信をもって話しかけられるようになったんだ。もとから痩せている人にはわからないだろうな。生まれ変わったようなこの気持ちって。
ꕤ୭*
「私の娘とお見合いしてみませんか? 年頃なのですが、なかなか出会いがないようで・・・・・・」
機敏に動いて仕事をこなしているうちに、キンバリー伯爵家に出入りする商人にそこの娘を紹介された。
気持ちの優しい子で料理が得意だった。一目ぼれとか、そんな劇的なものはお互いない。でも、会って話をするうちにゆっくりと大事な人だって思えるようになった。
彼女の名前はマーガレット、僕に話しかける言葉は優しい。だから、僕も同じく優しい言葉を返す。
優しい気持ちと思いやりが、やがて穏やかな愛になった。
僕らは結婚して子供が産まれた。可愛い女の子で名前はカレン。花が好きでその日も綺麗な花を摘んで押し花にしていた。押し花のしおりをマーガレットと作ると、ひときわ上手にできたピンクの花のしおりをキャンディス様にあげたいと言ってきたんだ。
「キャンディス様。僕の娘がつくったしおりなんですが、使ってくれますか?」
「まぁ、もちろんよ。ありがとう、とても綺麗だわ。可愛いピンクのお花ねぇ」
おまけ🌷キャンディス視点
「あら、また読んでいたページじゃないところに挟まっているわー」
このしおりは不思議だ。私が挟んだところよりも必ず2,3ページ前の場所に挟まれている。
そして、私はその夜に夢を見た。しおりの花が楽しそうに本を読んでいる夢だ。
「お姉様は読むのが速すぎますわ」
カエラがよく私に言っていた言葉を口にするピンクの花・・・・・・これって・・・・・・
私は修道院から聞いていた言葉を思い出した。子供を助けるために溺れたカエラは・・・・・・
ティーカップやスプーンが子供になるんだもの。この花はきっと・・・・・・。それから私は楽しい本を読む時はこのピンクの花のしおりと、もう一枚自分のしおりを挟むようにしている。
だって、このピンクの花は自分の好きな場所にいつも挟まっているんですもの! カエラ、楽しいお話の本をたくさん揃えてあげましょうね! 私はこのピンクの花のしおりに、話しかけたのだった。
おまけ🌼
キンバリー伯爵家の庭園では3人の子供と薬草士の2人の子供が走り回っている。
「ウィルは私が大きくなるまで待っていてね!」
イレーヌと呼ばれた子供だけは、執事のウィルにぴったりくっついていて、走り回る子供を大人のような眼差しで見ていた。
他の子供達は仲良くおしゃべりしながら花を摘み押し花にしていた。どれも綺麗なしおりになったがページを勝手に移動するのは、ピンクの花のあのしおりだけだったとさ・・・・・・✩°。⋆⸜(ू˙꒳˙ )໒꒱
おしまい
すっかりお伽話になりました(•́∀•̀ฅ)💧
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
以下、がむしゃらな(¯―¯٥)💦宣伝です。不快な方は、すっとばしてくださいませ。
「愛をくれた人」ʚ( •ω• )ɞ˚
とても、真面目なテーマですが明るいところもあり、恋も盛り込み、学校生活も盛り込みました。
青空にしては、超真面目に書いております୧(⑉•̀ㅁ•́⑉)૭✧
是非とも応援していただけると嬉しいです
꒭ʒႱくオネガイシマス♡(🌼◕ ᴗ ◕„)ノ_🍵♡
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素敵なお話でした(^ ^)
ありがとうございました
おはよ(ฅ´٥`๑)☀
うわぁーい
ありがとー✨
花に生まれ変わるって穏やかに暮らせそうな気がしました
動物だとどうしても、人間でなくても縄張り争いとかありそうですし
嫉妬とかはやっぱり多かれ少なかれどんな人でも持つ感情だと思う
これって厄介ですよね( •᷄ὤ•᷅)
素敵とおっしゃってくださって嬉しい😆です🎶
こちらこそ(๑⃙⃘ˊ꒳ˋ๑⃙⃘)ᵗᑋᵃᐢᵏ ᵞᵒᵘ ¨̮
* 。* + * ・ 。☆
☆ * * 。
☆ ゚・ 。゚・ ☆゚ +
ெ🎀ெ こんばんゎぁ✨
(❀•ㅅ•❀)❤
━OuuO━┓
うわぉ
こちらも
読んでくださったとは
∧_∧ テク
(・ω・* ) テク
⊂( ⊃
⊂ーJ...
∧_∧≡=-
(ーωー* )-=-
⊂、⊂ヽ≡=-
⊂ー、_)≡=-
シュタタタタ…
∧_∧_∧
(๑・ω・)ω<๑)
/⌒ づ⊂⌒ヽ ぎゅ❤
( ᴗ̤ .̮ ᴗ̤人) アリガトォ*•.❥*
はい
おとぎ話に
なっちゃったです♪~(・ε・。)
感想もありがとう
⋀🎀⋀
(* ❛ᴗ❛ *)
ー U^^^Uー
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│✨ 感 ✨│
│✨ 謝 ✨│
│✨ 状 ✨│
│✨ ⭐ ✨│
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
コメントアリガトウゴザイマス~♥️オチャア((🍵´ω`*)🍡ダンゴ
(๑ˊ͈ ꇴ ˋ͈)アリガト〜🌼ゴザイマス
お伽噺的になりました😊💐
読んでいただき嬉しいです॰ॱ((ヾ(。・ω・)ノ☆゚+