4 / 6
4 エドガー・オリオン伯爵様(妹視点)
しおりを挟む
4
マーカス様との秘密の時間を過ごしたその三日後に、お姉様は屋敷に中性的な美貌の貴公子を連れてきた。服装も振る舞いも、高位貴族に間違いない。
金髪はきらきらと陽射しを受け止めて輝きを放ち、瞳は海より深いブルー。顔立ちは女性のように繊細で美しい。
極上のランクの部類にはいる、男性だわ。格がマーカス様とは、明らかに違う。産まれながらに持っている品格ってこういうことを言うのに違いない。
お姉様は、珍しく、ひっつめた髪をほどき、艶やかな金髪を緩くカールさせていた。眼鏡もなくて、冷たいアイスブルーの瞳は上瞼に跳ね上げ気味に書いたアイラインで強調されて、氷の世界の女神みたいに素敵・・・クールな美女・・・まぁ、お姉様もやる気になれば美女だということはわかっていたわ・・・
ということは・・・この方が本命か・・・私は、俄然、闘志がわいてきた!
本命を隠しておくなんて・・・なんて、汚いの! だいたい、複数人の男の心をもてあそぶなんて、倫理的にどうなのよ?
「アドリアーナを紹介するわ。私の妹なんです。一緒に住んでいて、とても良い子ですのよ」
「やぁ、私はエドガー・オリオン伯爵だ。姉妹でも、あまり似ていないね? 綺麗な赤毛だね。私の母も、このような色の髪をしている・・・」
気さくに話しかけてくださるこの方は伯爵様!! 私達の実家は男爵家だから、話をさせていただけるだけでも光栄なことだった。・・・いいなぁ・・・すごい!・・・欲しいなぁ、あのエドガー様が・・・私は、その瞬間にマーカス様のことは頭から消えていた。うふふ、そんなものよね?女って・・・
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
エドガー様は、お姉様と一緒にサロンで楽しく会話をして、それから執務室に入っていった。仕事の話があるからと言って、二人で仲良く防音仕様の壁に囲まれた執務室に入っていく。どんな仕事の話なのやら・・・だって、防音だからね?・・・私は、つい、不埒なことを考えたけれど、30分後には二人ともでてきて、衣服にも髪にも乱れはなかった。
エドガー様が、綺麗な微笑を浮かべて帰っていった後で、私はお姉様に聞いたわ。
「お姉様、マーカス様もエドガー様も、お姉様の『彼氏』なんでしょう? 本命はエドガー・オリオン伯爵様ね?」
「あらぁー。うふふ。どうかしらねぇーー? 私の恋愛事情はアドリアーナちゃんには、関係ないでしょう? 」
お姉様は、私を子供扱いして『ちゃん』なんてつけて呼んだわ。私は、とてもバカにされている気がした。悔しいなぁ・・・絶対、あのエドガー様を取ってやろう! 固く心に誓った。
次の瞬間、お姉様は私に、こう言ったのだった。
「そうそう。来週、エドガー様のお屋敷で夜会があるんですって。アドリアーナちゃんも、一緒に行く?」
マーカス様との秘密の時間を過ごしたその三日後に、お姉様は屋敷に中性的な美貌の貴公子を連れてきた。服装も振る舞いも、高位貴族に間違いない。
金髪はきらきらと陽射しを受け止めて輝きを放ち、瞳は海より深いブルー。顔立ちは女性のように繊細で美しい。
極上のランクの部類にはいる、男性だわ。格がマーカス様とは、明らかに違う。産まれながらに持っている品格ってこういうことを言うのに違いない。
お姉様は、珍しく、ひっつめた髪をほどき、艶やかな金髪を緩くカールさせていた。眼鏡もなくて、冷たいアイスブルーの瞳は上瞼に跳ね上げ気味に書いたアイラインで強調されて、氷の世界の女神みたいに素敵・・・クールな美女・・・まぁ、お姉様もやる気になれば美女だということはわかっていたわ・・・
ということは・・・この方が本命か・・・私は、俄然、闘志がわいてきた!
本命を隠しておくなんて・・・なんて、汚いの! だいたい、複数人の男の心をもてあそぶなんて、倫理的にどうなのよ?
「アドリアーナを紹介するわ。私の妹なんです。一緒に住んでいて、とても良い子ですのよ」
「やぁ、私はエドガー・オリオン伯爵だ。姉妹でも、あまり似ていないね? 綺麗な赤毛だね。私の母も、このような色の髪をしている・・・」
気さくに話しかけてくださるこの方は伯爵様!! 私達の実家は男爵家だから、話をさせていただけるだけでも光栄なことだった。・・・いいなぁ・・・すごい!・・・欲しいなぁ、あのエドガー様が・・・私は、その瞬間にマーカス様のことは頭から消えていた。うふふ、そんなものよね?女って・・・
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
エドガー様は、お姉様と一緒にサロンで楽しく会話をして、それから執務室に入っていった。仕事の話があるからと言って、二人で仲良く防音仕様の壁に囲まれた執務室に入っていく。どんな仕事の話なのやら・・・だって、防音だからね?・・・私は、つい、不埒なことを考えたけれど、30分後には二人ともでてきて、衣服にも髪にも乱れはなかった。
エドガー様が、綺麗な微笑を浮かべて帰っていった後で、私はお姉様に聞いたわ。
「お姉様、マーカス様もエドガー様も、お姉様の『彼氏』なんでしょう? 本命はエドガー・オリオン伯爵様ね?」
「あらぁー。うふふ。どうかしらねぇーー? 私の恋愛事情はアドリアーナちゃんには、関係ないでしょう? 」
お姉様は、私を子供扱いして『ちゃん』なんてつけて呼んだわ。私は、とてもバカにされている気がした。悔しいなぁ・・・絶対、あのエドガー様を取ってやろう! 固く心に誓った。
次の瞬間、お姉様は私に、こう言ったのだった。
「そうそう。来週、エドガー様のお屋敷で夜会があるんですって。アドリアーナちゃんも、一緒に行く?」
18
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説

姉の引き立て役の私は
ぴぴみ
恋愛
アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。
「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
姉は優しい。でもあるとき気づいて─
私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます
めぐめぐ
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。
気が付くと闇の世界にいた。
そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。
この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。
そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを――
全てを知った彼女は決意した。
「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」
※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪
※よくある悪役令嬢設定です。
※頭空っぽにして読んでね!
※ご都合主義です。
※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)


愛を知らないアレと呼ばれる私ですが……
ミィタソ
恋愛
伯爵家の次女——エミリア・ミーティアは、優秀な姉のマリーザと比較され、アレと呼ばれて馬鹿にされていた。
ある日のパーティで、両親に連れられて行った先で出会ったのは、アグナバル侯爵家の一人息子レオン。
そこで両親に告げられたのは、婚約という衝撃の二文字だった。

【完結】旦那様、お飾りですか?
紫崎 藍華
恋愛
結婚し新たな生活に期待を抱いていた妻のコリーナに夫のレックスは告げた。
社交の場では立派な妻であるように、と。
そして家庭では大切にするつもりはないことも。
幸せな家庭を夢見ていたコリーナの希望は打ち砕かれた。
そしてお飾りの妻として立派に振る舞う生活が始まった。

【完結済】ラーレの初恋
こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた!
死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし!
けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──?
転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。
他サイトにも掲載しております。
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています
春野オカリナ
恋愛
エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。
社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる