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45 前ワイマーク伯爵とシルヴィアス
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穏やかな日差しが差し込む居間で、5歳になったシルヴィアスは、両親と祖父母に囲まれながら遊んでいた。夢中になっていたのは子供向けのボードゲームで、戦略を考えながら領地を広げるというものだった。ギャロウェイ伯爵夫妻は孫の叡智に驚きながらも誇らしく思い、目を細めてシルヴィアスを見つめていた。
ボードゲームはシルヴィアスの圧勝で終わり、次に彼は本が読みたくなった。じっと二階を見上げながら、「今読んでいる冒険物語が読みたいな」と小さな声でつぶやく。
その瞬間、居間に飾られた花々がふわりと揺れ、茎がまるで意志を持っているかのように伸び始めた。花はまっすぐに二階へと向かい、シルヴィアスの欲しい本をつかみ取ると、ふわりと軽やかに彼の手元に運んできた。シルヴィアスは喜びに満ちた表情で本を抱きしめた。
喜び勇んで本を開こうとしたシルヴィアスに、アリッサが優しく声をかけた。
「シルヴィアス……」
彼女は穏やかな笑みを浮かべながらも、少し厳しい視線を送る。
「お花たちに頼むのもいいけれど、自分で取る方がもっと素敵よ」
シルヴィアスは驚いたように母を見上げ、小さな声で答えた。
「でも、お花たちが手伝ってくれるんだ……」
今度はラインが膝をついて、息子と同じ目線に合わせて話しかける。
「花たちはシルヴィアスを愛しているから手伝ってくれるんだ。でも、自分の力でできることをやることも大切なんだよ。それに、もし他の人がこの光景を見たら、シルヴィアスが特別な力を持っていることに気づいてしまうかもしれない」
シルヴィアスは少し首をかしげ、真剣な顔つきで聞き返した。
「それって、だめなことなの? 僕は普通じゃないの?」
アリッサは一瞬言葉を詰まらせたが、ギャロウェイ伯爵が静かに口を開いた。
「悪いことじゃないさ。ただ、特別な力を持っていると、周りの人が驚いたり、怖がったりすることがある。時には、その力を悪用しようとする者も現れるんだ」
シルヴィアスは真剣に考え込んだ。
「じゃあ、僕はその力を隠さなきゃいけないの?」
アリッサは優しく微笑んで、彼の手をそっと握った。
「いつも隠す必要はないわ。でも、大事なのは、いつ、どうやって使うかを理解することよ。シルヴィアスの力は素晴らしいものだけれど、それを守ることも大切なの」
シルヴィアスはその日から、力の使い方に気をつけるようになった。自分でできることは花たちに頼まず、家族以外がいる時はその力を隠すように心がけるようになったのだ。
「シヴィは本当に賢いわね。私の自慢の孫だわ。シヴィのお母様も、とっても賢かったのよ」
シルヴィアスは祖母を見上げ、にっこりと微笑んだ。
「お祖母様、大好きです。いつも褒めてくれるから、僕、すごく幸せなんです」
「おやおや、シヴィ。お祖父様を忘れてはいないだろうな?」とギャロウェイ伯爵が笑う。
「私もお前をいつも褒めているじゃないか。クリスタルは美しく礼儀正しいし、シヴィは賢く、何でもすぐに覚える。両家を継ぐお前を、私は何も心配していないよ。シヴィなら、ギャロウェイ伯爵家もワイマーク伯爵家も、さらに繁栄させるだろうからな」
シルヴィアスは、母方の祖父母が大好きだった。ワイマーク伯爵邸の居間は、ギャロウェイ伯爵家の別荘とつながっており、家族が集う場所となっていた。そこにはいつも笑い声が響き、温かい時間が流れていたのだった。
一方で、ラインの父である前ワイマーク伯爵は、のんびりと趣味の釣りを楽しみながら隠居生活を送っていた。彼は新聞で孫が生まれたことを知り、アリッサの賢さを称える記事も度々目にしていた。
「一度会ってみたいが……孫が生まれた時から五年も経って、今さら行ったところで歓迎されるだろうか……」
そんな悶々とした思いを抱えていた前ワイマーク伯爵の屋敷に、可愛い客が訪れたのはその日の午後だった。
「シルヴィアス様がお見えです。ライン様のお子様です」
「なんだと? ラインの子供がここに訪ねてきたのか? サロンに通してくれ。すぐに行くから」
急いでサロンに向かった前ワイマーク伯爵の目に映ったのは、若草色の髪と瞳を持つ、まるで絵から飛び出してきたかのような美しい少年だった。
「お祖父様、初めまして。僕はシルヴィアス・ワイマークです。お会いできて嬉しいです」
「……ラインかアリッサさんと一緒に来たのではないのかね? 一人で?」
「いいえ、料理長のマルタと来ました。彼女は馬車で待っています。マルタが珍しいキノコを採りに行くというので、僕も一緒についてきたんです。それでお祖父様の屋敷がすぐ近くだと聞いて、お邪魔しに来ました」
シルヴィアスはマルタと親友のような関係で、珍しい食材を求める彼女に頼み込んで、よく同行していた。アリッサやギャロウェイ伯爵夫人もマルタを信頼しており、快く送り出してくれていた。
「ふむ・・・・・・マルタか。長らく会っていないな。シルヴィアスは彼女と仲がいいんだな?」
「はい。僕は皆と仲良しです。お母様、お父様、そしてお母様の両親とも。でも、お父様の方のお祖父様にはまだお会いしたことがなくて・・・・・・それでご挨拶に来ました。忙しいところをお邪魔してしまったでしょうか?」
この年頃で、これほどハキハキと利発な子供に出会ったのは、前ワイマーク伯爵にとって初めての経験だった。確かにラインも幼少期は賢い子供だったが、シルヴィアスほどの聡明さや、これほどまばゆい美貌を持っていた記憶はない。
「シルヴィアスは・・・・・・お母様に似たのかな? ラインにはあまり似ていないようだし、賢さも特別だな」
「ありがとうございます。庭師のグスタフによると、僕は特別な子供らしいですよ。若草色の髪と瞳を持つ子供は500年に一度、ワイマーク伯爵家に現れるのだそうです。それに、僕は・・・・・・お花たちと仲良しなんです」
そう言って、シルヴィアスは椅子からそっと降り、前ワイマーク伯爵のそばに歩み寄ると、彼の耳元で小声で囁いた。
「この部屋から侍女や執事を下がらせてください。お祖父様にだけ教えたいことがあるんです」
前ワイマーク伯爵は思わず笑みをこぼした。5歳の子供が真剣な顔つきで、人払いを要求するなど、これまでに見たことがなかったからだ。
「ふむ。お前たち、しばらく下がっていなさい。これから孫と秘密の話をする。誰もこの部屋に近づかせるな。近づいた者は鞭で打つぞ」
その言葉に、シルヴィアスの可愛い顔が一瞬で曇った。小さな眉をひそめ、彼は毅然とした態度で祖父に説教を始めた。
「お祖父様、使用人に鞭を使うなんていけませんよ。もう、そういう時代じゃありません。お母様も、罰よりご褒美を大切にするべきだって言っていました。僕のお祖父様には、もっと寛大でいてほしいです」
「ほう、褒美とな? どんなご褒美を与えたらいいかね?」
「そうですね・・・・・・この場合、僕たちの秘密を守るために、サロンから一番遠い部屋にお菓子とお茶を用意して、使用人たちにそこでしばらく休憩させてあげるんです。さらに、立ち聞きしていたら減給になると、事前に伝えておくんです」
前ワイマーク伯爵は笑いをこらえられなかった。
「ははは! シルヴィアスの案はおもしろいな。従えばお菓子とお茶、逆らえば減給か。確かにこれなら誰も立ち聞きしようとは思わないだろうな」
「そうでしょう? お祖父様は鞭なんて捨てたほうがいいですよ。罰を与えるより、ご褒美を使った方が、信頼できる使用人を育てられます」
まるで大人のような口調で諭す幼い声を聞きながら、前ワイマーク伯爵はますます愉快な気分になった。
「はいはい、賢い嫁が産んだ孫にはかなわんな。執事よ、今すぐ使用人たちに休憩を与えてやれ。大食堂にお菓子とお茶を用意させ、皆に振る舞うように」
執事は、幼い客人による突然の改革に目を丸くしつつも、深く一礼して部屋を後にした。
「さて、小さな策士よ、秘密の話というのは一体なんだね?」
前ワイマーク伯爵は穏やかな声で問いかけた。
シルヴィアスはテーブルに飾られた薔薇のつぼみに目をやった。すると、薔薇のつぼみが一斉にほころび始め、たちまち見事に咲き誇った。それだけでなく、茎が伸び、薔薇たちはシルヴィアスの周囲で揺らめき、まるで踊るように動き出したのだった。
ボードゲームはシルヴィアスの圧勝で終わり、次に彼は本が読みたくなった。じっと二階を見上げながら、「今読んでいる冒険物語が読みたいな」と小さな声でつぶやく。
その瞬間、居間に飾られた花々がふわりと揺れ、茎がまるで意志を持っているかのように伸び始めた。花はまっすぐに二階へと向かい、シルヴィアスの欲しい本をつかみ取ると、ふわりと軽やかに彼の手元に運んできた。シルヴィアスは喜びに満ちた表情で本を抱きしめた。
喜び勇んで本を開こうとしたシルヴィアスに、アリッサが優しく声をかけた。
「シルヴィアス……」
彼女は穏やかな笑みを浮かべながらも、少し厳しい視線を送る。
「お花たちに頼むのもいいけれど、自分で取る方がもっと素敵よ」
シルヴィアスは驚いたように母を見上げ、小さな声で答えた。
「でも、お花たちが手伝ってくれるんだ……」
今度はラインが膝をついて、息子と同じ目線に合わせて話しかける。
「花たちはシルヴィアスを愛しているから手伝ってくれるんだ。でも、自分の力でできることをやることも大切なんだよ。それに、もし他の人がこの光景を見たら、シルヴィアスが特別な力を持っていることに気づいてしまうかもしれない」
シルヴィアスは少し首をかしげ、真剣な顔つきで聞き返した。
「それって、だめなことなの? 僕は普通じゃないの?」
アリッサは一瞬言葉を詰まらせたが、ギャロウェイ伯爵が静かに口を開いた。
「悪いことじゃないさ。ただ、特別な力を持っていると、周りの人が驚いたり、怖がったりすることがある。時には、その力を悪用しようとする者も現れるんだ」
シルヴィアスは真剣に考え込んだ。
「じゃあ、僕はその力を隠さなきゃいけないの?」
アリッサは優しく微笑んで、彼の手をそっと握った。
「いつも隠す必要はないわ。でも、大事なのは、いつ、どうやって使うかを理解することよ。シルヴィアスの力は素晴らしいものだけれど、それを守ることも大切なの」
シルヴィアスはその日から、力の使い方に気をつけるようになった。自分でできることは花たちに頼まず、家族以外がいる時はその力を隠すように心がけるようになったのだ。
「シヴィは本当に賢いわね。私の自慢の孫だわ。シヴィのお母様も、とっても賢かったのよ」
シルヴィアスは祖母を見上げ、にっこりと微笑んだ。
「お祖母様、大好きです。いつも褒めてくれるから、僕、すごく幸せなんです」
「おやおや、シヴィ。お祖父様を忘れてはいないだろうな?」とギャロウェイ伯爵が笑う。
「私もお前をいつも褒めているじゃないか。クリスタルは美しく礼儀正しいし、シヴィは賢く、何でもすぐに覚える。両家を継ぐお前を、私は何も心配していないよ。シヴィなら、ギャロウェイ伯爵家もワイマーク伯爵家も、さらに繁栄させるだろうからな」
シルヴィアスは、母方の祖父母が大好きだった。ワイマーク伯爵邸の居間は、ギャロウェイ伯爵家の別荘とつながっており、家族が集う場所となっていた。そこにはいつも笑い声が響き、温かい時間が流れていたのだった。
一方で、ラインの父である前ワイマーク伯爵は、のんびりと趣味の釣りを楽しみながら隠居生活を送っていた。彼は新聞で孫が生まれたことを知り、アリッサの賢さを称える記事も度々目にしていた。
「一度会ってみたいが……孫が生まれた時から五年も経って、今さら行ったところで歓迎されるだろうか……」
そんな悶々とした思いを抱えていた前ワイマーク伯爵の屋敷に、可愛い客が訪れたのはその日の午後だった。
「シルヴィアス様がお見えです。ライン様のお子様です」
「なんだと? ラインの子供がここに訪ねてきたのか? サロンに通してくれ。すぐに行くから」
急いでサロンに向かった前ワイマーク伯爵の目に映ったのは、若草色の髪と瞳を持つ、まるで絵から飛び出してきたかのような美しい少年だった。
「お祖父様、初めまして。僕はシルヴィアス・ワイマークです。お会いできて嬉しいです」
「……ラインかアリッサさんと一緒に来たのではないのかね? 一人で?」
「いいえ、料理長のマルタと来ました。彼女は馬車で待っています。マルタが珍しいキノコを採りに行くというので、僕も一緒についてきたんです。それでお祖父様の屋敷がすぐ近くだと聞いて、お邪魔しに来ました」
シルヴィアスはマルタと親友のような関係で、珍しい食材を求める彼女に頼み込んで、よく同行していた。アリッサやギャロウェイ伯爵夫人もマルタを信頼しており、快く送り出してくれていた。
「ふむ・・・・・・マルタか。長らく会っていないな。シルヴィアスは彼女と仲がいいんだな?」
「はい。僕は皆と仲良しです。お母様、お父様、そしてお母様の両親とも。でも、お父様の方のお祖父様にはまだお会いしたことがなくて・・・・・・それでご挨拶に来ました。忙しいところをお邪魔してしまったでしょうか?」
この年頃で、これほどハキハキと利発な子供に出会ったのは、前ワイマーク伯爵にとって初めての経験だった。確かにラインも幼少期は賢い子供だったが、シルヴィアスほどの聡明さや、これほどまばゆい美貌を持っていた記憶はない。
「シルヴィアスは・・・・・・お母様に似たのかな? ラインにはあまり似ていないようだし、賢さも特別だな」
「ありがとうございます。庭師のグスタフによると、僕は特別な子供らしいですよ。若草色の髪と瞳を持つ子供は500年に一度、ワイマーク伯爵家に現れるのだそうです。それに、僕は・・・・・・お花たちと仲良しなんです」
そう言って、シルヴィアスは椅子からそっと降り、前ワイマーク伯爵のそばに歩み寄ると、彼の耳元で小声で囁いた。
「この部屋から侍女や執事を下がらせてください。お祖父様にだけ教えたいことがあるんです」
前ワイマーク伯爵は思わず笑みをこぼした。5歳の子供が真剣な顔つきで、人払いを要求するなど、これまでに見たことがなかったからだ。
「ふむ。お前たち、しばらく下がっていなさい。これから孫と秘密の話をする。誰もこの部屋に近づかせるな。近づいた者は鞭で打つぞ」
その言葉に、シルヴィアスの可愛い顔が一瞬で曇った。小さな眉をひそめ、彼は毅然とした態度で祖父に説教を始めた。
「お祖父様、使用人に鞭を使うなんていけませんよ。もう、そういう時代じゃありません。お母様も、罰よりご褒美を大切にするべきだって言っていました。僕のお祖父様には、もっと寛大でいてほしいです」
「ほう、褒美とな? どんなご褒美を与えたらいいかね?」
「そうですね・・・・・・この場合、僕たちの秘密を守るために、サロンから一番遠い部屋にお菓子とお茶を用意して、使用人たちにそこでしばらく休憩させてあげるんです。さらに、立ち聞きしていたら減給になると、事前に伝えておくんです」
前ワイマーク伯爵は笑いをこらえられなかった。
「ははは! シルヴィアスの案はおもしろいな。従えばお菓子とお茶、逆らえば減給か。確かにこれなら誰も立ち聞きしようとは思わないだろうな」
「そうでしょう? お祖父様は鞭なんて捨てたほうがいいですよ。罰を与えるより、ご褒美を使った方が、信頼できる使用人を育てられます」
まるで大人のような口調で諭す幼い声を聞きながら、前ワイマーク伯爵はますます愉快な気分になった。
「はいはい、賢い嫁が産んだ孫にはかなわんな。執事よ、今すぐ使用人たちに休憩を与えてやれ。大食堂にお菓子とお茶を用意させ、皆に振る舞うように」
執事は、幼い客人による突然の改革に目を丸くしつつも、深く一礼して部屋を後にした。
「さて、小さな策士よ、秘密の話というのは一体なんだね?」
前ワイマーク伯爵は穏やかな声で問いかけた。
シルヴィアスはテーブルに飾られた薔薇のつぼみに目をやった。すると、薔薇のつぼみが一斉にほころび始め、たちまち見事に咲き誇った。それだけでなく、茎が伸び、薔薇たちはシルヴィアスの周囲で揺らめき、まるで踊るように動き出したのだった。
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