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2 夫の暴言
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カサンドラが妊娠して、とても幸せそうなのが羨ましかった。私はもとから子供が大好き。だから私達も子供ができればいいのに・・・・・・
夕食後の寛ぎのひとときに、私は夫に話を持ちかけた。
「私達もそろそろ子供を作りましょうよ」
「ごめん、疲れているんだ。今はそんな気分じゃないよ」
あっさり断られて反省する。アラディエルは一生懸命領地経営に心を砕いているのだ。疲れているのは当然かもしれない。
その時は引いたものの、やはり定期的に誘ってしまう。私から誘わないと月に1度ほどしかしない夫婦生活だった。これではなかなか子供はできない。けれど・・・・・・
「うるさいなぁ、色狂いめ! アレしか考えられない淫乱女は気持ちが悪いぞ!」
そのような言葉を投げつけられてショックだった。罵られるほど私が悪いの?
「聞いてよ。アラディエルが私に色狂いと言ったの。酷いと思わない?」
親友カサンドラに相談すると、彼女は私を抱きしめて慰めてくれた。
「酷い男ね。それはアラディエルが悪いわよ。私がお説教してあげるわ。可哀想なカロリーヌ」
やっぱりカサンドラはわかってくれる。私はカサンドラに抱きついて泣いた。
「でも、そんなことを言うなんて・・・・・・それに夫婦生活が月に1回だなんて少なすぎだと思うわ。浮気なんてしていないわよねぇーー。あ、ごめん。アラディエルに限ってそんなことはないと思うけれど」
(浮気? 私の夫は浮気をしているの?)
「浮気なら誰としているのかしら。私・・・・・・どうしたらいいの?」
「大丈夫。私がついているわよ。まずはアラディエルに聞いてみましょう」
頼りになるカサンドラに私は感謝しかなかった。
「カロリーヌを色狂いよばわりするのは酷いと思うわ。それに新婚なのに月に1回はちょっと問題よ」
「え?? ・・・・・・まぁ、そうかもしれないね。ごめん、カサンドラ」
アラディエルはあっさり謝ってくれた。
「ほら、私が言えばアラディエルはカロリーヌを大切にするのよ。これからはなんでも私に相談してね」
親友カサンドラの優しさに涙がこぼれた。
それでもカサンドラのいう浮気をしているかも、の言葉が気になる。浮気しているとしたら誰なの?
「カサンドラ。この間の話だけれどアラディエルが浮気しているとしたら誰だと思う?」
「・・・・・・そうねぇーー。フローレン・カレ公爵夫人だったりして。あの方は燃えるような赤毛にエメラルドグリーンの瞳の色っぽい美女でしょう? あんな感じの美女に男性って弱いのよねぇ」
「え? カレ公爵夫人? そんな高貴な女性と?」
もしそれが本当なら私はとても敵わない。あの方は社交界の華だもの。貴族って妻の他にも愛人を持つのが普通とは聞いていたけれど・・・・・・私のお父様に愛人はいないし、お母様を心から大事にしていた。
(侯爵家なんかに嫁がなければ良かったかも。お父様とお母様に相談に行こう)
私はアラディエルに三日ほど実家に帰ることを伝え、パイヤ男爵家に帰った。
「あら、カロリーヌ。アラディエル様とはうまくいっている? 孫の顔を見るのが楽しみだわ」
お母様はニコニコと私に微笑みかける。なにも心配していないとばかりに・・・・・・
「お帰り、カロリーヌ。元気だったかい? アラディエル様には大事にしてもらっているだろう? もしかしておめでたの報告かい?」
お父様もアラディエル様が私を大事にしていることを疑わない。そんな問いかけになんと答えたらいいの? いたたまれなくて翌日にはベルラッテ侯爵家に戻った。
三日の予定のところを一日しか泊まらずベルラッテ侯爵家に戻ると、使用人達が青ざめて私を屋敷に入れようとしない。
「そこをどきなさい。私はベルラッテ侯爵夫人ですよ。この屋敷の主の妻です」
「奥様は三日間お戻りにならないはずでした。ですから、どうかパイヤ男爵家にお戻りください」
古参のベルラッテ侯爵家の侍女長テモーネが私を屋敷の玄関から閉め出そうとするのだった。
(どういうことなの?)
夕食後の寛ぎのひとときに、私は夫に話を持ちかけた。
「私達もそろそろ子供を作りましょうよ」
「ごめん、疲れているんだ。今はそんな気分じゃないよ」
あっさり断られて反省する。アラディエルは一生懸命領地経営に心を砕いているのだ。疲れているのは当然かもしれない。
その時は引いたものの、やはり定期的に誘ってしまう。私から誘わないと月に1度ほどしかしない夫婦生活だった。これではなかなか子供はできない。けれど・・・・・・
「うるさいなぁ、色狂いめ! アレしか考えられない淫乱女は気持ちが悪いぞ!」
そのような言葉を投げつけられてショックだった。罵られるほど私が悪いの?
「聞いてよ。アラディエルが私に色狂いと言ったの。酷いと思わない?」
親友カサンドラに相談すると、彼女は私を抱きしめて慰めてくれた。
「酷い男ね。それはアラディエルが悪いわよ。私がお説教してあげるわ。可哀想なカロリーヌ」
やっぱりカサンドラはわかってくれる。私はカサンドラに抱きついて泣いた。
「でも、そんなことを言うなんて・・・・・・それに夫婦生活が月に1回だなんて少なすぎだと思うわ。浮気なんてしていないわよねぇーー。あ、ごめん。アラディエルに限ってそんなことはないと思うけれど」
(浮気? 私の夫は浮気をしているの?)
「浮気なら誰としているのかしら。私・・・・・・どうしたらいいの?」
「大丈夫。私がついているわよ。まずはアラディエルに聞いてみましょう」
頼りになるカサンドラに私は感謝しかなかった。
「カロリーヌを色狂いよばわりするのは酷いと思うわ。それに新婚なのに月に1回はちょっと問題よ」
「え?? ・・・・・・まぁ、そうかもしれないね。ごめん、カサンドラ」
アラディエルはあっさり謝ってくれた。
「ほら、私が言えばアラディエルはカロリーヌを大切にするのよ。これからはなんでも私に相談してね」
親友カサンドラの優しさに涙がこぼれた。
それでもカサンドラのいう浮気をしているかも、の言葉が気になる。浮気しているとしたら誰なの?
「カサンドラ。この間の話だけれどアラディエルが浮気しているとしたら誰だと思う?」
「・・・・・・そうねぇーー。フローレン・カレ公爵夫人だったりして。あの方は燃えるような赤毛にエメラルドグリーンの瞳の色っぽい美女でしょう? あんな感じの美女に男性って弱いのよねぇ」
「え? カレ公爵夫人? そんな高貴な女性と?」
もしそれが本当なら私はとても敵わない。あの方は社交界の華だもの。貴族って妻の他にも愛人を持つのが普通とは聞いていたけれど・・・・・・私のお父様に愛人はいないし、お母様を心から大事にしていた。
(侯爵家なんかに嫁がなければ良かったかも。お父様とお母様に相談に行こう)
私はアラディエルに三日ほど実家に帰ることを伝え、パイヤ男爵家に帰った。
「あら、カロリーヌ。アラディエル様とはうまくいっている? 孫の顔を見るのが楽しみだわ」
お母様はニコニコと私に微笑みかける。なにも心配していないとばかりに・・・・・・
「お帰り、カロリーヌ。元気だったかい? アラディエル様には大事にしてもらっているだろう? もしかしておめでたの報告かい?」
お父様もアラディエル様が私を大事にしていることを疑わない。そんな問いかけになんと答えたらいいの? いたたまれなくて翌日にはベルラッテ侯爵家に戻った。
三日の予定のところを一日しか泊まらずベルラッテ侯爵家に戻ると、使用人達が青ざめて私を屋敷に入れようとしない。
「そこをどきなさい。私はベルラッテ侯爵夫人ですよ。この屋敷の主の妻です」
「奥様は三日間お戻りにならないはずでした。ですから、どうかパイヤ男爵家にお戻りください」
古参のベルラッテ侯爵家の侍女長テモーネが私を屋敷の玄関から閉め出そうとするのだった。
(どういうことなの?)
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