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2 エヴァリン視点 メソン伯爵家も切り捨てられる
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翌日は、イライジャ・メソン伯爵が、シャー家にやって来た。
「エヴァリンのお父様に会わせてくれ!」
私の腕をきつく握るので、痛くて顔を歪めた。アレクは低く唸った。
イライジャ様は、すぐに私の腕を放した。
「あぁ、すまないね。とにかく会わせてくれないか?」
イライジャ様は、必死になって私に頼んだ。
「なにごとかね?」
お父様が、騒ぎを聞きつけてやって来た。
「申し訳ありません。メソン家の事業に投資していただいたお金を、全部、引きあげるとはどういうことでしょうか?」
イライジャ様が、悲痛な悲鳴に近い声で詰問してきたのだった。
「あぁ、それは当然だろう? メソン家の事業の業績が、悪すぎるからだろう? 私は、慈善事業をしているのではないからな」
「そ、そんな・・・・・・私と、エヴァリンは婚約者同士ですよ? 血も涙もないのですね!」
「あぁ、婚約者というだけなら、まだ身内ではないからな! 身内であったとしても、私は無条件に優しくはないよ? 血も涙もなくて、結構だ。なんと言われようと構わん。それと、エヴァリンとの婚約は解消させてもらうよ? 破産する家の男のもとに嫁がせるつもりはない」
お父様は私の頭を撫でて、きっぱりと宣言した。
「なんという金の亡者だ! いいですか? 金より心の方が大事なんだ! 家柄や爵位はメソン家の方が上だ! 今に思い知らせてやる! そうさ、経営の天才と言われる貴方だって、いずれ亡くなるだろう? 私は全ての力を使って、いずれ、絶対にシャー子爵家に仕返しをしてやりますよ!」
イライジャ様は、目が血走り鬼の形相でおっしゃった。
「ふふふ。あっははは! 若造が甘いわ! そのセリフは、私がいないところで吐くものだ。今、イライジャ様は私に真っ向勝負を挑んできたのだろう? 喜んで受けよう。このシャー子爵家にいずれ仕返しをすると宣言するのなら、徹底的にメソン伯爵家を潰そう。さぁ、お帰りいただこうか?」
お父様は、後ろにブリザードのようなオーラを背負っておっしゃった。
メソン伯爵家は多大な借金を背負い、イライジャ様は失踪した。
私は、生涯、イライジャ様と会うことはなかった。
ただ、数年後、貧困街で亡くなっていた人のなかに、イライジャ様にとてもよく似た人がいたそうだ、と噂に聞いだけだった。
「エヴァリンのお父様に会わせてくれ!」
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イライジャ様は、必死になって私に頼んだ。
「なにごとかね?」
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「申し訳ありません。メソン家の事業に投資していただいたお金を、全部、引きあげるとはどういうことでしょうか?」
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お父様は私の頭を撫でて、きっぱりと宣言した。
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イライジャ様は、目が血走り鬼の形相でおっしゃった。
「ふふふ。あっははは! 若造が甘いわ! そのセリフは、私がいないところで吐くものだ。今、イライジャ様は私に真っ向勝負を挑んできたのだろう? 喜んで受けよう。このシャー子爵家にいずれ仕返しをすると宣言するのなら、徹底的にメソン伯爵家を潰そう。さぁ、お帰りいただこうか?」
お父様は、後ろにブリザードのようなオーラを背負っておっしゃった。
メソン伯爵家は多大な借金を背負い、イライジャ様は失踪した。
私は、生涯、イライジャ様と会うことはなかった。
ただ、数年後、貧困街で亡くなっていた人のなかに、イライジャ様にとてもよく似た人がいたそうだ、と噂に聞いだけだった。
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