(完)妹の婚約者を誘惑したと言うけれど、その彼にそんな価値がありますか?

青空一夏

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★ 私は登りつめてみせる! けれど・・・・・・こんなはずじゃなかった(エラ視点)

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*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚エラの回想と新しい生活*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚ 


 私は、お姉様のジョセフィーヌが大嫌いだった。理由は簡単だ。容姿も負けているし、多分頭も負けている。ジョセフィーヌは、メイド扱いされていたけれど、隠れて図書館で借りたとても難しい本を読んでいた。料理もお裁縫も楽しそうにして、愚痴一つ言わない。叶わないからこそ憎かった。

 お父様は、ジョセフィーヌを”厄介者”だと言った。お父様もお母様も、ジョセフィーヌを折檻していたのは知っていた。『ざまあみろ』と思っていたわ。

 ジョセフィーヌが侯爵令嬢になるなんて思わなかった。亡くなった母親がルドレア女侯爵の妹だと言っていた。気が狂ったストーカー女が高位貴族だったなんて笑っちゃう。

 悪いのはジョセフィーヌの母親でしょう? お父様と相思相愛のお母様との間に無理矢理、割り込んだ性悪女だ!
そんなクソ女のせいで、私は貴族ではなくなった。

 でも、高級娼婦って贅沢できて、時の権力者達をパトロンにできるんでしょう? だったら、そこで上り詰めてやるんだから。そして、いつか、ジョセフィーヌより偉くなってやる!  

 侯爵令嬢なら公爵より下でしょう? なら、私が公爵の愛人になれば私が勝ったってことだわ。見てなさいよ。ジョセフィーヌよりきっと上に・・・・・・


*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*


「着いたぞ。降りろ」

 私は、大きな洒落た建物の前で降ろされた。その外壁の色は落ち着いたベージュで、お金持ちの屋敷にしか見えない。ここが、娼館だとは扉の文字がなければ気がつかない。

『貴族様専用:悦楽の館』

と、扉には大きく書かれ、ここが間違いなく高級娼館であることがわかった。

 中は、とても広くまばゆいシャンデリアが天井で輝き、床には分厚い絨毯が敷かれていた。着飾った美しい女性達が紳士達と笑いながら話し込んでいるサロンの様子は優雅で、ここが娼館とは思えない。

 私も、あんなふうに着飾って笑っていればいいのよね。ところが、与えられた部屋は見習いばかりを集めた3人部屋の狭い小汚いところだった。来る日も、来る日も、語学とマナーの授業を受けた。 

 さらに、体重管理があった。ここでは、ほっそりした女性が好まれる。

「○キロ! お前は太りすぎ! 食べて良いのは今日から卵とパイナップルだけだ!」

 毎日、体重計に乗せられ、食べる物まで指定された。そして、アレの勉強をするためだと言われて先輩娼婦の部屋に行くのだ。

 見習いとは、ここでは先輩娼婦が嫌なことを代わってやる奴隷みたいなものだった。


*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*



「儂のことを愛しているのなら、ほれ、この総入れ歯を一晩浸した水を美味しそうに飲んでおくれ。そうしたらネックレスを買ってあげよう」
 
 よぼよぼのお爺ちゃん貴族が、手を震わせていろいろなものが浮いている水筒を差し出した。


「はい、もちろん飲みますとも。けれど、このエラが代わって飲みたいと申しておりますので」

 私は、意を決してそれをごくごくと一気に飲んだ。なんともいえない妙な味と匂いは、多分、下水ぐらい気持ち悪い。その後3日間ほど腹痛で苦しんだ。


「このオモチャを使ってみたいのだが」

「この媚薬を試していいかな?」

「体全身を舐めろよ?特に後穴な!」

「縛っていいかい? あ、ついでにこの薬も使っていいかな?エラって子は、なんでもしてくれるって聞いたよ?」



*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*



 「なんで、こんな変態ばっかり来るの? 高級娼婦って、甘やかされて普通にかっこいい紳士とエッチするだけじゃなかったの?」

 私は、先輩娼婦に泣きついた。

「ばかだね! そんな世界なわけないだろ? あのコーラ・パー○だって、いろいろあったはずさ。だから、娼婦っていうんじゃないか?」



 
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