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10 ハッサン、ソフィアへの愛に気がつく(ハッサン視点)
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ハッサン視点
「息子ができたようなものだ! 大事にするよ。これでフェラーリ家は安泰だ」
父上はソフィアの怪我に大変な負い目を感じたし、フェラーリ家当主はソフィアに極甘で僕を気に入ってもいたようだ。お互いの家の取引の為にもこの取り決めは都合が良かったのだろう。
僕はフェラーリ家から貴族学園に通いながら、フェラーリ家のさまざまな仕事を勉強することになった。
「ハッサン。君をソフィアの婿養子にしたい。もとからそのつもりだ」
フェラーリ家当主の亡くなる少し前の言葉にはなんの感情も湧かなかった。ソフィアを妹のようにしか思えなかったからだ。ただ結婚は家同士の繋がりがある為、拒むことはできない。黙って受け入れることになるのだろう。
だが、あっけなく当主夫妻は事故で亡くなり、ソフィアは心の隙間をチャーリーという貧乏貴族の次男で埋めた。これは予想外のことではあった。
会うたびにソフィアに花を贈り、ぞっとするような甘い言葉をなよっとした雰囲気で、さらりと言えるいけ好かない野郎だ。アメリアといやに親密すぎるのも気になる。
だが心に傷を負ったソフィアはあまりにも急いでチャーリーと籍を入れ、あっというまに人妻になってしまった。
ソフィアの結婚以来、イライラと気が立ちチャーリーの言動がいちいち気に障った。
こいつにはいいところなんて一個もない! 仕事はできない。できないなら努力をするかといえばそれもない。
僕のソフィアがこんなアホ男に引っかかるなんて・・・・・・ちょっと待て、僕のって・・・・・・
妹だと思っていたソフィアが他の男の妻になった途端、たまらなく心に渦巻いていたこのもやもやは・・・・・・これは嫉妬以外のなにものでもなかった・・・・・・
気づくのが遅すぎたな・・・・・・ なんてことだ! 僕はソフィアを愛しているのか・・・・・・
そうして、ソフィアの余命宣告。ふざけるな! インチキ医者め! すぐにあの医者を尾行させると、やはり何人もの患者に難病だと宣告し金をぼったくりしていたのが判明する。
だろうな。ソフィアの身体の不調なんて僕でも原因がわかる。つまりは偏食と睡眠不足だ。
朝食をチョコレートドリンクだけで済まそうとしたり、昼食も仕事にかまけて薄いキュウリを挟んだプチサンドイッチしか食べない。かといって夕食はまともにするのかと言えば、ほんの少量の肉をかじるだけで終わりだ。
そりゃ、体調不良にもなるだろう?
「ソフィア様! もっと栄養バランスを考えて召し上がってください!」
「だって、両親と一緒に食べたお料理には思い出がありすぎて。悲しくなってきて、喉を通らないわ。この食卓で皆で囲んだ食事、ハッサンだってあの頃は一緒に食べていたわ。でも、今じゃぁ一緒に食べようともしないでしょう?」
「それは今のソフィア様にはチャーリーがいますからね。新婚夫婦の食卓に僕が同席するわけにはいきませんよ。あの頃とは事情が違います」
「ハッサンはお兄様のようなものよ。身内と同じだわ。ハッサンが本当のお兄様だったらどんなに良かったかしら」
専属執事兼顧問弁護士のハッサンとして僕はこのフェラーリ家を支えている。ソフィアを守る為にこれからもここで生きていく。ソフィアを愛していることは気づかれてはいけない。
ソフィアは僕に兄の役割を求めているのだから・・・・・・
「息子ができたようなものだ! 大事にするよ。これでフェラーリ家は安泰だ」
父上はソフィアの怪我に大変な負い目を感じたし、フェラーリ家当主はソフィアに極甘で僕を気に入ってもいたようだ。お互いの家の取引の為にもこの取り決めは都合が良かったのだろう。
僕はフェラーリ家から貴族学園に通いながら、フェラーリ家のさまざまな仕事を勉強することになった。
「ハッサン。君をソフィアの婿養子にしたい。もとからそのつもりだ」
フェラーリ家当主の亡くなる少し前の言葉にはなんの感情も湧かなかった。ソフィアを妹のようにしか思えなかったからだ。ただ結婚は家同士の繋がりがある為、拒むことはできない。黙って受け入れることになるのだろう。
だが、あっけなく当主夫妻は事故で亡くなり、ソフィアは心の隙間をチャーリーという貧乏貴族の次男で埋めた。これは予想外のことではあった。
会うたびにソフィアに花を贈り、ぞっとするような甘い言葉をなよっとした雰囲気で、さらりと言えるいけ好かない野郎だ。アメリアといやに親密すぎるのも気になる。
だが心に傷を負ったソフィアはあまりにも急いでチャーリーと籍を入れ、あっというまに人妻になってしまった。
ソフィアの結婚以来、イライラと気が立ちチャーリーの言動がいちいち気に障った。
こいつにはいいところなんて一個もない! 仕事はできない。できないなら努力をするかといえばそれもない。
僕のソフィアがこんなアホ男に引っかかるなんて・・・・・・ちょっと待て、僕のって・・・・・・
妹だと思っていたソフィアが他の男の妻になった途端、たまらなく心に渦巻いていたこのもやもやは・・・・・・これは嫉妬以外のなにものでもなかった・・・・・・
気づくのが遅すぎたな・・・・・・ なんてことだ! 僕はソフィアを愛しているのか・・・・・・
そうして、ソフィアの余命宣告。ふざけるな! インチキ医者め! すぐにあの医者を尾行させると、やはり何人もの患者に難病だと宣告し金をぼったくりしていたのが判明する。
だろうな。ソフィアの身体の不調なんて僕でも原因がわかる。つまりは偏食と睡眠不足だ。
朝食をチョコレートドリンクだけで済まそうとしたり、昼食も仕事にかまけて薄いキュウリを挟んだプチサンドイッチしか食べない。かといって夕食はまともにするのかと言えば、ほんの少量の肉をかじるだけで終わりだ。
そりゃ、体調不良にもなるだろう?
「ソフィア様! もっと栄養バランスを考えて召し上がってください!」
「だって、両親と一緒に食べたお料理には思い出がありすぎて。悲しくなってきて、喉を通らないわ。この食卓で皆で囲んだ食事、ハッサンだってあの頃は一緒に食べていたわ。でも、今じゃぁ一緒に食べようともしないでしょう?」
「それは今のソフィア様にはチャーリーがいますからね。新婚夫婦の食卓に僕が同席するわけにはいきませんよ。あの頃とは事情が違います」
「ハッサンはお兄様のようなものよ。身内と同じだわ。ハッサンが本当のお兄様だったらどんなに良かったかしら」
専属執事兼顧問弁護士のハッサンとして僕はこのフェラーリ家を支えている。ソフィアを守る為にこれからもここで生きていく。ソフィアを愛していることは気づかれてはいけない。
ソフィアは僕に兄の役割を求めているのだから・・・・・・
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