2 / 18
1 ソフィア、難病による余命宣告を受ける!
しおりを挟む
倦怠感と筋力低下・体重減少に悩んだ私は、近頃評判のお医者様を屋敷に招き診察を受けた結果をサロンで聞いていた。いつも側に仕えているハッサンのいる前で、名医と言われるお医者様はこうおっしゃった。
「ソフィア様は難病に認定されている症状と一致しているようです。残念ですが今の医学では明確な治療法もなく、できることは進行を少しでも遅らせることしかありません。実のところ、僕はこういった難病を研究する医療チームを運営しています。さまざまな方面から寄付など支援をいただいておりまして・・・・・・医学では容易に治せないものも、祈祷や気功を組み合わせることにより治る場合もあります。優秀な祈祷師と気功師をご紹介させていただき、ここは複合的な治療を行っていくことが最善かと思われます」
「先生! 私がその難病であるならば、私の命はあとどのくらいなのですか?」
「えぇっと・・・・・・2年から3年というところでしょうか・・・・・・状況によってはまた違ってくるでしょうが、5年以上は生きられないかと思われます。場合によっては1年とか半年の場合も・・・・・・ただ、腕のいい祈祷師や気功師がおりますので、複合的治療を受けていただければ望みはあります」
「はいはい。余命の期間が実に曖昧ですね。半年と5年ではずいぶんと開きがあります。医者でありながら祈祷師や気功師も勧めるのですか?」
整いすぎているがゆえに冷酷にも見える美貌のハッサンはフェラーリ家の顧問弁護士で私の専属執事でもあるのだが、渋い顔つきで明らかに不機嫌そうにそう言った。
ハッサンはなんでも疑ってかかる懐疑的思考回路の持ち主なのだ。私はその祈祷師や気功師は、きっととても力のある方だと思う。だから私より先に診てほしい方がすぐに思いついたのである。
「その素晴らしい祈祷師様やら気功師様という方を保安自警団長のアダムおじ様にご紹介したいわ。 最近食欲も落ちてお体の調子が悪いそうですから。アダムおじ様は亡くなった私のお父様の大親友ですのよ。難病すら治せると言う気功師様に診ていただければ、きっとすぐにアダムおじ様も良くなるでしょう?」
私はにっこりと微笑みながらそのお医者様に提案したのだ。
「え? あのアダム・コルホネン自警団長様ですか? たしかその息子のジョナサン様は裁判官じゃなかったですか?」
「えぇ。そうよ。そのジョナサン様に、私は幼い頃から妹のようにかわいがっていただいたのよ」
「・・・・・・えぇと・・・・・・いけない、忘れていました。この後もう一件、診なければいけない患者さんがいたのでした。すみません、失礼させていただきますよ。申し訳ない・・・・・・あーー、忙しい、忙しい。そのお話はまた後日に!」
「あら、残念。次回はその素晴らしい祈祷師様と気功師様をぜひお連れくださいね。日時を教えていただければアダムおじ様を必ずお誘いしますわ。そうね、ジョナサン様も誘うことにしましょう。だって私にとってはお兄様のような存在だし、最近は肩がとても重いと愚痴っていらしたから・・・・・・」
私の言葉が終わらないうちになぜか青い顔をして慌てて去っていたお医者様。
「あら、まぁ、あんなに急いで行ってしまわれたわ。お医者様って大変なのね? きっとすさまじいハードスケジュールなのですわね?」
私はハッサンにそう言った。
「最高の応答をなさいましたね。ソフィア様はいつでも穏やかな表情で鋭いパンチを繰り出すから愉快ですよ。詐欺師が大嫌いな正義感の塊のコルホネン親子を誘うって・・・・・・あっははは」
「パンチ? なんのことかしら? おかしなハッサンですこと」
ハッサンは私に意味不明な言葉を投げかけて、その黄金の瞳にからかうような色を浮かべたのだった。
「ソフィア様は難病に認定されている症状と一致しているようです。残念ですが今の医学では明確な治療法もなく、できることは進行を少しでも遅らせることしかありません。実のところ、僕はこういった難病を研究する医療チームを運営しています。さまざまな方面から寄付など支援をいただいておりまして・・・・・・医学では容易に治せないものも、祈祷や気功を組み合わせることにより治る場合もあります。優秀な祈祷師と気功師をご紹介させていただき、ここは複合的な治療を行っていくことが最善かと思われます」
「先生! 私がその難病であるならば、私の命はあとどのくらいなのですか?」
「えぇっと・・・・・・2年から3年というところでしょうか・・・・・・状況によってはまた違ってくるでしょうが、5年以上は生きられないかと思われます。場合によっては1年とか半年の場合も・・・・・・ただ、腕のいい祈祷師や気功師がおりますので、複合的治療を受けていただければ望みはあります」
「はいはい。余命の期間が実に曖昧ですね。半年と5年ではずいぶんと開きがあります。医者でありながら祈祷師や気功師も勧めるのですか?」
整いすぎているがゆえに冷酷にも見える美貌のハッサンはフェラーリ家の顧問弁護士で私の専属執事でもあるのだが、渋い顔つきで明らかに不機嫌そうにそう言った。
ハッサンはなんでも疑ってかかる懐疑的思考回路の持ち主なのだ。私はその祈祷師や気功師は、きっととても力のある方だと思う。だから私より先に診てほしい方がすぐに思いついたのである。
「その素晴らしい祈祷師様やら気功師様という方を保安自警団長のアダムおじ様にご紹介したいわ。 最近食欲も落ちてお体の調子が悪いそうですから。アダムおじ様は亡くなった私のお父様の大親友ですのよ。難病すら治せると言う気功師様に診ていただければ、きっとすぐにアダムおじ様も良くなるでしょう?」
私はにっこりと微笑みながらそのお医者様に提案したのだ。
「え? あのアダム・コルホネン自警団長様ですか? たしかその息子のジョナサン様は裁判官じゃなかったですか?」
「えぇ。そうよ。そのジョナサン様に、私は幼い頃から妹のようにかわいがっていただいたのよ」
「・・・・・・えぇと・・・・・・いけない、忘れていました。この後もう一件、診なければいけない患者さんがいたのでした。すみません、失礼させていただきますよ。申し訳ない・・・・・・あーー、忙しい、忙しい。そのお話はまた後日に!」
「あら、残念。次回はその素晴らしい祈祷師様と気功師様をぜひお連れくださいね。日時を教えていただければアダムおじ様を必ずお誘いしますわ。そうね、ジョナサン様も誘うことにしましょう。だって私にとってはお兄様のような存在だし、最近は肩がとても重いと愚痴っていらしたから・・・・・・」
私の言葉が終わらないうちになぜか青い顔をして慌てて去っていたお医者様。
「あら、まぁ、あんなに急いで行ってしまわれたわ。お医者様って大変なのね? きっとすさまじいハードスケジュールなのですわね?」
私はハッサンにそう言った。
「最高の応答をなさいましたね。ソフィア様はいつでも穏やかな表情で鋭いパンチを繰り出すから愉快ですよ。詐欺師が大嫌いな正義感の塊のコルホネン親子を誘うって・・・・・・あっははは」
「パンチ? なんのことかしら? おかしなハッサンですこと」
ハッサンは私に意味不明な言葉を投げかけて、その黄金の瞳にからかうような色を浮かべたのだった。
8
お気に入りに追加
1,327
あなたにおすすめの小説
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?
ねーさん
恋愛
公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。
なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。
王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!
さようなら、たった一人の妹。私、あなたが本当に大嫌いだったわ
青葉めいこ
恋愛
おいしい?
よかったわ。あなたがこの世で飲む最後のお茶になるからね。
※番(つがい)を否定する意図はありません。
小説家になろうにも投稿しています。
どうして別れるのかと聞かれても。お気の毒な旦那さま、まさかとは思いますが、あなたのようなクズが女性に愛されると信じていらっしゃるのですか?
石河 翠
恋愛
主人公のモニカは、既婚者にばかり声をかけるはしたない女性として有名だ。愛人稼業をしているだとか、天然の毒婦だとか、聞こえてくるのは下品な噂ばかり。社交界での評判も地に落ちている。
ある日モニカは、溺愛のあまり茶会や夜会に妻を一切参加させないことで有名な愛妻家の男性に声をかける。おしどり夫婦の愛の巣に押しかけたモニカは、そこで虐げられている女性を発見する。
彼女が愛妻家として評判の男性の奥方だと気がついたモニカは、彼女を毎日お茶に誘うようになり……。
八方塞がりな状況で抵抗する力を失っていた孤独なヒロインと、彼女に手を差し伸べ広い世界に連れ出したしたたかな年下ヒーローのお話。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID24694748)をお借りしています。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
愛しているのは王女でなくて幼馴染
岡暁舟
恋愛
下級貴族出身のロビンソンは国境の治安維持・警備を仕事としていた。そんなロビンソンの幼馴染であるメリーはロビンソンに淡い恋心を抱いていた。ある日、視察に訪れていた王女アンナが盗賊に襲われる事件が発生、駆け付けたロビンソンによって事件はすぐに解決した。アンナは命を救ってくれたロビンソンを婚約者と宣言して…メリーは突如として行方不明になってしまい…。
恋愛に興味がない私は王子に愛人を充てがう。そんな彼は、私に本当の愛を知るべきだと言って婚約破棄を告げてきた
キョウキョウ
恋愛
恋愛が面倒だった。自分よりも、恋愛したいと求める女性を身代わりとして王子の相手に充てがった。
彼は、恋愛上手でモテる人間だと勘違いしたようだった。愛に溺れていた。
そんな彼から婚約破棄を告げられる。
決定事項のようなタイミングで、私に拒否権はないようだ。
仕方がないから、私は面倒の少ない別の相手を探すことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる