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16 最終話 セオside みんなが幸せに
しおりを挟むセオside
「やぁ、おかえり! セオ叔父ちゃん!」
セオは無言でうなづいて、目をそっと拭った。
イレーヌはセオに6人の子供達を紹介するが、初めに紹介された子供にセオは首をかしげていた。この顔立ちは誰かに似ている……そう、あのシェリルの面影があった。
「まさか、あの子は……」
「そうよ、シェリルが門の前に置いていった子でシェリロという名前よ」
「……まさか、子供を捨てるなんて……あの子はずっとここで育ててもらったのですか?」
「えぇ、そうよ。あまりセオには似ていない気がするけれど……シェリルには少し似ているわね」イレーヌは困惑気味だ。
「あぁ、シェリロはポワゾン侯爵家の血が入っていないように思うね。髪の色も瞳の色も顔つきも、かなり違うと……」
ジャクソンは言葉を慎重に選んで言いにくそうである。
セオはジャクソンとイレーヌの言葉に頷いたが、にっこりと微笑んだ。
「確かにあの子は私の子ではないかもしれませんね。それでも、私は自分のするべきことを確信しましたよ。どんな経験も私の役者人生にはプラスになりますからね」
セオはゆっくりとその少年に近づくと、
「やぁ、迎えに来るのが遅くなってごめんね。私が君の父親だよ」と満面の笑みで告げたのだった。
ジャクソンとイレーヌ、グレイソンとラーニーがその言葉に一瞬驚きの表情を浮かべたが、今までよりもさらに和やかな空気があたりを漂う。
「今ではシェリロも私の弟のようなものですよ。7人兄弟姉妹で育ったシェリロを一人で隣国に行かせたらかわいそうだ。セオ叔父ちゃんが公演で家を空けるときにはひとりぼっちになりますからね。ですから、セオ叔父ちゃんがポワゾン侯爵家に戻ってきたらどうですか? もちろん、家賃と食費は有名俳優に相応しい額を請求しますがね」最後の言葉にジャクソンとグレイソンの笑い声が響く。
「ラーニーにはかなわないなぁ」
セオは頭をかいて眉尻を下げたのだった。
完
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シェリルに関しては…
まあ、あんなもんでしょう😮💨
セオも家族がいなければ
同じだったかも、です。
感想ありがとうございます!
こ、こちらもお読みくださるとは・・・・・・嬉しいです😭
>役者は天職ですね、きっと。
はい、そうなんですよ
天職を見つけて才能を活かせたセオは良い感じの大人の男性になりました
役者って良いですよね
たくさんの人生が経験できて(#^.^#)
それを言うと、このような小説を書いている私も
いろいろな人生を疑似体験している気分なので書いていて楽しいんですよ😁
>シェリルに関しては…
まあ、あんなもんでしょう😮💨
うんうん
わかるーー
あんなもんだよね
>セオも家族がいなければ
同じだったかも、です。
確かに
おっしゃる通りです😆👌
こちらもお読みいただきありがとうございます🙇🏻♀️✨😭
こんにちは🌈
あはは😆
確かに主人公が誰だったか分かんなくなってしまうことが多々あります(笑)
このような物語が大好きと言っていただいてとてもうれしいです🎵
ですね、彼の周りの人たちはとても優しいです
はい、変わらない人もいて
その人はやはり幸せにはなれないと言う因果応報の世界ですね💦
面白かったと言っていただきとてもうれしいです✨🎶
感想いただきありがとうございました🌷
また最後まで読んでいただき感謝感激💐
⋀🎀⋀
(* ❛ᴗ❛ *)
ー U^^^Uー
│✨ ⭐️ ✨│
│✨ 感 ✨│
│✨ 謝 ✨│
│✨ 状 ✨│
│✨ ⭐ ✨│
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こんばんは🌠
返信が遅くなってすみません😔
そうですね
多分長くは生きられなかったと思います😅
少し残酷ですが……
感想いただきありがとうございました✨🌈